化学系資格おすすめ一覧17選!メリット・デメリットを把握して就職に活かそう
「化学系の資格は何がある?」
「資格を取得するメリットは?」
化学系の企業への就職・転職を検討している場合、有利になる資格があるのか気になっている方もいるでしょう。化学系の仕事のなかには、資格がないとできない業務もあります。
本記事を読めば、どのような資格が化学系の仕事に活かせるのかがわかり、自分に必要な資格を検討できるでしょう。化学系の仕事に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
化学系の資格とは?
化学系の資格は、薬品や危険物を取り扱うために必要です。資格保有者のみができる業務を希望する場合は、化学系の資格の取得は必須になります。
そのため、化学メーカーをはじめ、理系の就職に活用できる資格です。
化学系の資格を取得するメリット・デメリット
化学系の資格を取得すると、専門的な知識が身につき、就職・転職が有利になります。また、資格手当がつく会社であれば収入アップにつながるでしょう。
ただし、時間やお金がかかるデメリットもあります。
化学系の資格取得によるメリット
化学系の資格を取得すると、下記のメリットがあります。
● 専門的な知識が身につく
● 資格が必要な会社に就職・転職ができる
● 資格手当がつく可能性がある
化学系の資格を取得しようか迷っている人は、参考にしてください。
専門的な知識が身につく
資格を取得するために勉強することで、専門的な知識が身につきます。受験するまでの勉強期間で学んだ知識が、なによりも自分の財産になるからです。
合格するに越したことはありませんが、不合格だったとしても勉強した知識は身についています。その知識を用いて、スキルアップやキャリアアップにつなげることもできるでしょう。
資格が必要な会社に就職・転職ができる
資格があると、就職や転職などで有利になります。化学系の会社は、資格保有者のみしか取り組めない業務があるからです。学生のうちに資格を取得していれば、自分の付加価値になるでしょう。
転職では第二新卒を過ぎると経験や実績が求められるため、募集条件に必須の資格が含まれている場合もあります。資格が必要な会社も含めた就活が可能になり、キャリアアップ転職も目指せるでしょう。
資格手当がつく可能性がある
資格取得者には、資格手当がつく会社も多いです。資格手当は、主に数千円~数万円 程度です。収入に直結するのであれば、資格を取得しておいて損はありません。
例えば毎月3,000円の資格手当がつけば、年間で3万6000円にものぼります。教材費や講習に費用がかかったとしても、採算が取れるでしょう。なお、資格の種類によって手当の額は異なります。
化学系の資格取得によるデメリット
化学系の資格を取得するうえでのデメリットは、下記のとおりです。
● 資格取得まで勉強しなければいけない
● 費用がかさむこともある
化学系の資格は必要なのかどうか、悩んでいる人は参考にしてください。
資格取得まで勉強しなければいけない
資格を取得するまで勉強しなければならず、時間や根気が必要になります。働きながら資格を勉強することに苦手意識のある人には、難易度が高いでしょう。時間を見つけて勉強したり学習の計画を立てたり、プライベートの時間が少なくなることは間違いありません。
その点と資格取得のメリットを天秤にかけ、デメリットを強く感じるのであれば化学系の資格取得は厳しい道です。
費用がかさむこともある
資格を取得するためには、費用がかかるケースも少なくありません。必ず費用がかかるわけではないものの、参考書や問題集などを購入していると、経済的な負担になることがあります。
費用をネックに感じる人は「どの資格を取得すると資格手当がもらえるのか」「なにがキャリアアップに役立つか」など、費用の元を取れるかどうかを考えましょう。
見方を借りれば、年収に影響しない資格は取得しても大きな利益を感じにくいと考えられます。
化学系の資格で注目したい2つのポイント
化学系の資格を取得する前に、知っておきたい2つの注目ポイントがあります。
1. 資格の中にはいくつかの種類にわかれているものがある
2. 計画的な学習と過去問で対策すると効率的
化学系の資格を取得したいと考えている人は、ポイントを押さえておきましょう。
資格の中にはいくつかの種類にわかれているものがある
化学系の資格のなかには、いくつか種類にわかれているものがあります。例えば、次のとおりです。
1. 3級、2級、1級の順に難易度が上がる
2. 丙種(へいしゅ)、乙種、甲種の順に難易度が上がる
等級はさまざまな資格で採用されているため、知っている人は多いでしょう。丙種、乙種、甲種のなかでも、最も難易度の高いレベルは甲種です。
それぞれのレベルによって許可される(取り扱える)業務が異なるため、自分のやりたい業務に合った資格を選びましょう。
計画的な学習と過去問で対策すると効率的
化学系の資格を取得するためには、計画的な学習と過去問での対策が効率的な方法です。
やみくもに勉強しても、難易度の高い試験には合格できません。受験日から逆算して学習計画を立て、過去問を繰り返し解くようにすると、合格に近づけるでしょう。
【難易度:低】6つの化学系資格
難易度の低い化学系の資格は、下記のとおりです。
● 公害防止管理者
● 毒劇物取扱責任者
● 化学分析技能士
● 特定化学物質作業主任者
● 衛生管理者
● 有機溶剤作業主任者
自分に必要な資格はどれか見ていきましょう。
公害防止管理者
公害防止管理者とは、工場から出る汚染物質を取り除いて排出したり、騒音や振動による影響がでないように配慮したりするよう、企業活動を監督するための資格です。該当する企業は、公害防止管理者の設置が法律で義務付けられています。
公害防止管理者の資格は13種類にわかれており、誰でも受験可能です。各資格の令和4年度の合格率は、下記のとおりです。
資格の種類 | 令和4年度の合格率 | |
大気関係 | 第1種 | 28.0% |
第2種 | 28.2% | |
第3種 | 18.4% | |
第4種 | 19.2% | |
水質関係 | 第1種 | 27.2% |
第2種 | 13.5% | |
第3種 | 31.3% | |
第4種 | 18.5% | |
ダイオキシン類関係 | 23.9% | |
騒音・振動関係 | 34.4% | |
特定粉じん関係 | 21.5% | |
一般粉じん関係 | 49.7% | |
公害防止主任管理者 | 26.7% |
合格率は全体的に年々下がっている傾向です。難易度が高くなっていると考えられるため、計画的な学習がカギとなるでしょう。
毒物劇物取扱責任者
毒物劇物取扱責任者とは、毒物や劇物を取り扱う企業内で、人々の健康が損なわれることがないように管理するために必要な資格です。毒物劇物取扱責任者の資格は、臨床検査業務や工業薬品の製造、販売、使用の業務などに役立ちます。
試験で問われる内容は、毒物・劇物に関する法規や基礎科学、性質、識別方法、取り扱い方法などです。
毒物劇物取扱責任者の令和4年度の合格率は、40.9% です。およそ3人に1人は合格しているため、難易度は低めです。
なお、薬剤師または厚生労働省令で定める学校で応用化学に関する学課を修了した者は、毒物資格を取得しなくても劇物取扱責任者になれます。
化学分析技能士
化学分析技能士(化学分析技能検定試験)の資格とは、化学製品の安全性や環境への影響などをチェックし、物質を化学的に分析するスキルのある人に与えられるものです。3~1級まであり、等級ごとに設定されている受検資格を満たしている人が受験できます。
試験は化学分析法、化学一般、安全衛生が学科の出題内容です。実技は化学分析作業(試薬及び標準溶液の調製などが問われ、学科・実技ともに、等級ごとに難易度が上がります。
各等級を統計した令和4年度の合格率は、約65% です。受験者の半分以上が合格しているため、難易度は低いと考えられます。
特定化学物質作業主任者
特定化学物質作業主任者の資格は、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を受け、修了試験に合格すると取得できます。特定化学物質を使った危険性や有害性の高い作業をする際は、特定化学物質作業主任者が指揮のもとおこなわなければなりません。
技能講習は2日間おこなわれ、2日目に修了試験を受けます。受講内容は、健康障害やその予防措置、特定化学物質を扱う際に使用する保護具、作業環境、関係法令の知識についてです。合格率は90%以上 と言われており、講習をきちんと受けていれば多くの人が取得できる資格でしょう。
衛生管理者
衛生管理者の資格とは、職場において労働者の健康障害を防ぐための知識が問われるものです。常時50人以上の労働者を使用する事業者は、衛生管理者を設置しなければなりません。
衛生管理者の資格は、2種類あります。
● 第一種衛生管理者:すべての業種において衛生管理者になれる
● 第二種衛生管理者:有害業務と関連の少ない一定の業種の事業場において飲み、衛生管理者になれる
化学系の職種を希望するのであれば、第一種衛生管理者の取得を目指すとよいでしょう。試験内容は関係法令、労働衛生、労働生理の3科目が出題されます。
令和3年度の合格率は第一種で42.7%、第二種で49.7% のため、国家資格のなかでは高い合格率です。
有機溶剤作業主任者
有機溶剤作業主任者とは、有機溶剤を取り扱う場合に必要となる資格です。資格は2日間の講習を受け、修了試験に合格すると取得できます。
受講内容は、健康障害やその予防措置、特定化学物質を扱う際に使用する保護具、作業環境、関係法令の知識についてです。難易度は低く、真面目に講習を受けていれば合格できるでしょう。
有機溶剤作業主任者の資格は、自動車整備士や塗装工、化学工場の作業員などで活かせます。
【難易度:中】9つの化学系資格
難易度が真ん中の化学系の資格は、下記のとおりです。
● 高圧ガス製造保安責任者
● 危険物取扱者
● 特殊化学設備作業者
● エネルギー管理士
● 機械保全技能士
● ボイラー技士
● フォークリフト運転技能講習
● QC検定
● TOEIC
詳しく見ていきましょう。
高圧ガス製造保安責任者
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスの保安業務に必要な資格です。保安業務では、LPガス(プロパンガス)を安全に使うために、消費者宅の定期的な点検・調査や、周知をおこないます。
資格は販売免許を除き、下記の9種類です。
種類 | 取得するとできる業務 | 令和4年度の合格率 |
甲種化学責任者 | 高圧ガスの保安技術管理者、保安主任者、保安係員などに選任され、石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所において保安業務をおこなえる | 61.7% |
甲種機械責任者 | 56.3% | |
乙種化学責任者 | 甲種と同じだが、保安技術管理者の場合、高圧ガスの処理能力が1日につき100万立方メートル未満の事業所に限られる | 44.2% |
乙種機械責任者 | 42.1% | |
丙種化学(液化石油ガス)責任者 | 36.0% | |
丙種化学(特別試験科目)責任者 | 保安技術管理者や保安主任者にはなれず、保安係員にのみ選任される | 53.9% |
第一種冷凍機械責任者 | 大型冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで、冷凍製造に関する保安業務をおこなえる | 64.0% |
第二種冷凍機械責任者 | 冷媒ガスの種類は第一種と同じだが、1日の冷凍能力が300t未満の製造施設のみに限られる | 45.9% |
第三種冷凍機械責任者 | 冷媒ガスの種類は第一種や第二種と同じだが、1日の冷凍能力が100t未満の製造施設のみに限られる | 32.4% |
化学と機械の違いは、試験内容に化学関連が多いか、機械関連が多いかです。取り扱う業務は変わらないため、化学が得意な人は化学を選びましょう。
危険物取扱者
危険物取扱者試験とは、消防法により、危険物(薬品や石油など)を取り扱う場合に必要な資格です。資格は、下記のとおり8種類あります。
種類 | 取り扱える危険物 | 令和4年度の合格率 |
甲種 | 乙種1~6類すべて | 36.9% |
乙種1類 | 塩素酸塩類、過塩素酸塩類など | 69.4% |
乙種2類 | 硫黄、金属粉、マグネシウムなど | 68.9% |
乙種3類 | カリウム、ナトリウムなど | 71.1% |
乙種4類 | ガソリン、アルコール酸、灯油、軽油など | 31.4% |
乙種5類 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物など | 70.9% |
乙種6類 | 過塩素酸、過酸化水素など | 70.1% |
丙種 | ガソリン、灯油、軽油、重油など、一定の第4類危険物 | 50.7% |
甲種が最も取り扱える危険物が多く、難易度が高い傾向にあります。キャリアアップや転職で有利になるためには、甲種がよいでしょう。
特殊化学設備作業者
特殊化学設備作業者とは、特殊化学設備の取扱いや整備、および修理業務に必要な資格です。主な特殊化学設備は、下記のとおりです。
● 反応器
● 蒸留塔
● 吸収塔
● 抽出器
● 混合器
● 沈でん分離器
● 熱交換器
● 計量タンク
● 貯蔵タンク
特殊化学設備作業者の資格は2日間の講習を受け、修了すると取得できます。そのため、試験はありません。
エネルギー管理士
エネルギー管理士とは、省エネ法に基づき、エネルギーを消費する設備の維持やエネルギーを使用する方法の改善・監視など、現場の管理業務をおこなうために必要な資格です。一定の実務経験があれば、誰でも取得を目指せます。
試験内容は必須基礎区分と専門区分にわかれており、専門区分は熱分野、電機分野のいずれかを選択します。令和4年度の合格率は約34.2% のため、難易度は高めです。
機械保全技能士
機械保全技能士は、機械が正常に稼働できるように、劣化や故障の予防やメンテナンスなどの保全業務をするために必要な技能・知識を認定する資格です。これらの業務は資格がなくても取り組めますが、機械保全技能士を取得していると技能・知識の証明になり、資格手当が支給される会社もあります。
資格の種類は、4つの等級にわけられます。
等級 | 令和3年度の合格率 |
特級 | 39.5% |
1級 | 27.7% |
2級 | 32.2% |
3級 | 71.2% |
3級の難易度は低いですが、特級~1級までは合格の壁が高くなってくるでしょう。
ボイラー技士
ボイラー技士とは、一定規模以上のボイラーの運用、管理、保守点検などをおこなうために必要な資格です。
等級は3種類あります。
等級 | 携われる業務 | 合格率 |
特級 | すべてのボイラーを扱える | 21.0% |
1級 | ボイラーの伝熱面積が25平方メートル以上、500平方メートル未満に限られる | 48.5% |
2級 | ボイラーの伝熱面積が25平方メートル未満に限られる | 53.4% |
等級が上がるほど合格率は下がり、特級はかなり難易度が高いです。なお、規模の小さな簡易ボイラーの業務に資格は必要とされていませんが、一定規模以上のボイラーを設置している事業所では、2級以上のボイラー技士の専任が義務付けられています。
フォークリフト運転技能講習
フォークリフト運転技能講習は、荷物を積載するために使用する荷役運搬車両、フォークリフトの資格を取得するためのものです。最大荷重1t以上のフォークリフトの運転作業に従事する人は、講習を修了しなければなりません。
フォークリフト運転技能講習は化学系の仕事に直結する資格ではありませんが、化学系の工場に勤務する場合、荷役作業でフォークリフトを使用する可能性があります。18歳以上であれば誰でも受講でき、技能講習を受講後、学科試験及び実技試験に合格すると修了証が公布されます。
きちんと受講していれば、多くの人が合格できる難易度 です。
QC検定
QC検定(品質管理検定)とは、品質管理に関する知識を有する人に与えられる資格です。検定の等級は4つにわかれており、主な対象者が公表されています。
等級 | 対象者 | 令和4年度合格率 |
1級 | 品質管理部門のスタッフ、技術系部門のスタッフなど、品質管理全般についての知識が要求される業務にたずさわる人 | 12.69% |
2級 | QC7つ道具を使い、品質に関わる問題を解決することが求められる人や、小集団活動などでリーダー的な役割を担い、改善活動をリードしている人 | 44.33% |
3級 | QC7つ道具を使い、品質に関わる問題を解決することが求められる人や、小集団活動などでメンバーとして活動している人、大学生、高校生、工業高校生など | 54.39% |
4級 | これから企業で働こうとする人、人材派遣企業に登録している派遣社員の人、大学生、高専生、高校生など | 85.15% |
大学生であれば、3・4級を取得するとよいでしょう。企業に勤めている人であれば、2級以上を取得しているとキャリアアップや転職に役立つはずです。
TOEIC
TOEIC(トーイック)とは、英語能力を問う世界共通の基準テストです。結果は合否で決まらず、スコアで評価されます。
企業によっては「TOEIC〇点以上」と募集要項に記載されている場合もあります。化学系の企業でも英語力は求められるため、TOEICを勉強して損はありません。
平均点は600点程度で、600点以上あれば平均的な英語力があるといえるでしょう。そのため就職・転職の際にアピールできるスコアの基準は、600点以上からだと言われています。外資系企業を希望する場合は、700点以上を目指しましょう。
【難易度:高】2つの化学系資格
難易度が高い化学系の資格は、下記のとおりです。
● 技術士
● 技術士補
より高いキャリアを目指すのであれば、上記の資格はアピールポイントになります。
技術士
技術士には各部門があり、化学系は化学製品にたずさわる化学部門が該当します。指定された教育課程を修了、または第一次試験を合格すると技術補になり、第二次試験を受けて合格した人が技術士の資格を取得できます。
ただし、第二次試験を受けるためには、一定の実務経験(例:7年を超える実務経験)が必要になるため、誰でも受けられるわけではありません。
令和3年度の合格率は、17.9% です。かなり難易度が高いため、試験勉強をとおして知識が高まり、資格を取得できれば収入アップも期待できます。
技術士補
技術士補は、技術士の一歩手前の段階です。化学系は化学部門が該当し、指定された教育課程を修了、または第一次試験を合格すると技術補として登録できます。
第一次試験(技術補)の令和4年度の合格率は、55.2% です。技術補は技術士になる人材を育成することを目的とした資格のため、第一次試験合格後は第二次試験を目指す人が多いでしょう。
まとめ
化学系の資格を取得すると、専門的な知識が身につき、就職・転職や収入アップへ有利になるでしょう。勉強するためには時間と費用がかかる場合もありますが、難易度の高い資格ほど、それらの採算を取れる価値があります。
各資格が必要な職種を希望するのであれば、ぜひ受験を検討してください。万が一、合格しなくても、勉強したことで自分の知識が増え、キャリアアップやスキルアップが期待できます。