転職や就職に有利なボイラー技士の仕事とは?きついって本当?
求人情報のポータルサイトで、「ボイラー技士の募集」という求人を見たことがありませんか?
ボイラー技士に興味はあっても「仕事内容がわからない」という人もいるのではないでしょうか。
「きついって話も聞くし、大変そう」というイメージもあるようです。
そこで今回は、ボイラー技士の仕事内容について紹介します。
ボイラー技士の資格を取得するメリットや、ボイラー技士に向いている人の特徴もまとめました。
これからボイラー技士を目指したいという人はぜひ参考にしてください。
ボイラー技士とは
ボイラー技士は、一定規模以上のボイラーを扱うために必要な国家資格で、ボイラーの運用やメンテナンスなどを行います。
ボイラーは高温ガスや火気をエネルギーとするため、扱いには危険が伴います。
安全に運用するためにも、専門的な知識や技術が必要です。
ただし、電熱面積が0.5平方メートル以下の簡易ボイラーや1平方メートル以下の小型ボイラーは、事故のリスクが低いため、ボイラー技士の資格がなくても扱えます。
ボイラー整備士との違い
ボイラー技士のほかに、ボイラー整備士という資格もあります。
同じような資格として混同されがちですが、ボイラー技士とボイラー整備士では、できる仕事の範囲が違います。
ボイラー技士はボイラーを運転してお湯を供給し、空調を管理するのが仕事です。
一方ボイラー整備士は、ボイラーや圧力容器を点検し、整備するのが仕事です。
ボイラーを操作するのがボイラー技士、ボイラーの整備を行うのがボイラー整備士というように、それぞれ役割が違います。
運転と整備の両方の業務に携わる場合は、どちらの資格も持っていなくてはなりません。
ボイラー技士が活躍する仕事
ボイラー技士は、大きなボイラーを使う設備で活躍します。
例えば、大型の商業施設やオフィスビルなどを管理するビル管理会社やホテル、入院病棟がある病院などは、ボイラー技士が活躍する仕事の一つです。
また建設現場でボイラーを設置する時にもボイラー技士の立ち合いが必要になります。
このように、ボイラーで温水や空調管理を行う設備の多くでボイラー技士が活躍しています。
ボイラー技士の資格を取るメリット
ボイラー技士の資格を取得することで、得られるメリットについても確認しておきましょう。
転職や就職に有利
ボイラー技士の資格があると転職や就職で有利になります。
近年では、ボイラー技士の資格がなくても扱える小型ボイラーや簡易ボイラーも増えています。簡易ボイラーや小型ボイラーが普及したことで、大きなボイラーを扱える人材は減ってきました。
しかし大型施設や病院などでは、まだまだ規模の大きなボイラーが使われています。
ボイラー技士のなり手が少なくなっているために、ボイラー技士の資格があれば重宝される職場がたくさんあるのです。
昇給に繋がる
簡易ボイラーや小型ボイラーを扱う仕事であれば資格がなくても働けます。
現在無資格で働いてるという人もいるでしょう。
しかし同じ仕事であっても、無資格者と専門知識と技術を持つボイラー技士とでは、安心感と信頼感がまったく違います。
簡易ボイラーや小型ボイラーを扱う仕事であっても、ボイラー技士が優遇される傾向があります。
そのため、ボイラー技士の資格を取ることで昇給に繋がることもあるでしょう。
ボイラー技士の資格の種類
ボイラー技士は、2級・1級・特級の3種類に分類されます。
資格の等級によって、扱えるボイラーの大きさが変わります。
等級 | 扱えるボイラー |
2級 | 伝熱面積が25平方メートル未満のボイラー |
1級 | 伝熱面積が25平方メートル以上、500平方メートル未満のボイラー |
特級 | 500平方メートル以上を含むすべてのボイラー |
貫流ボイラーを扱う場合、2級だと250平方メートル未満であれば扱えます。
250平方メートル以上の貫流ボイラーを扱うには、1級の資格が必要です。
ボイラー技士になるには?
続いて、ボイラー技士になるために資格の概要を確認しておきましょう。
受検資格
ボイラー技士の2級は、本人確認書類があれば、受検資格に制限はありません。
1級を取得するには、2級のボイラー技士の資格が必要で、特級の取得には1級の資格が必要になります。
ボイラーに関する専門教育を受けて、実務経験を積むことで受検できる場合もあります。
合格基準
ボイラー技士の試験は、学科試験が各科目40%以上、すべての科目で60%以上の得点率で合格となります。
例えば、ほとんどの科目で高得点だったとしても、1つ苦手科目があって得点率が40%を下回ると、不合格になってしまいます。
これは、どの等級でも一律で同じです。
受検料
ボイラー技士試験の受検料は、どの等級でも一律6,800円(非課税)です。
日程
ボイラー技士の試験日程は以下の通りです。
等級 | 試験の開催日程 |
2級 | 月に一回 |
1級 | 2カ月に1回 |
特級 | 1年に1回 |
等級が上がるほど試験の開催頻度が少なくなるので、事前に確認しておきましょう。
ボイラー技士の仕事で大変なこと
ボイラー技士として働くのであれば、ボイラー技士の仕事で大変なことも確認しておきましょう。
簡易ボイラーの増加
近年簡易ボイラーが増えていることはすでにお伝えしました。
資格がなくても扱えるボイラーが増えることで、ボイラー技士としての仕事がなくなるかもしれないという懸念もあるでしょう。
すぐに仕事がなくなる心配はありませんが、ボイラー技士のとしての知識や技術を発揮できる機会は減るかもしれません。
ただし、簡易ボイラーを扱う場合でもボイラー技士の資格があった方が優遇される傾向があります。
体力が必要
ボイラー技士の仕事には体力が必要です。
ボイラー室はボイラーの熱がこもっているため、作業は暑さとの戦いになるでしょう。
また一か所の不具合を見逃してしまうと、大きな事故に繋がる可能性もあるため、ミスが許されないという精神的な負担も大きくなります。
ボイラー技士には、体力的・精神的な強さが必要です。
ボイラー技士に向いている人
ボイラー技士の仕事は、人によって、向き不向きがあります。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、ボイラー技士に向いている人の特徴を知っておきましょう。
コミュニケーション能力の高い人
ボイラー技士は、専門的な知識と技術が必要ですが、同じくらい大切なのがコミュニケーション能力です。
ボイラーを運用している施設の人や業者とのコミュニケーションを取ることで、円滑な作業ができます。
なにかトラブルがあった時も、日頃からコミュニケーションが取れていれば、スムーズに解決できることもあるでしょう。
速やかに報告や相談ができるコミュニケーション能力の高い人は、ボイラー技士に向いています。
細かいところに気がつく人
ボイラー技士の仕事にミスは許されません。
一つのミスが、大きな不具合や事故に繋がる可能性もあるでしょう。
些細な変化や少しの不具合にもいち早く気がつくことができれば、大きなトラブルになることを防げます。
仕事に対して誠実であり、細かいところに気がつける人は、ボイラー技士に向いているでしょう。
ボイラー技士と合わせておすすめの資格
ボイラー技士として働くにあたり、さらにキャリアアップや収入アップを目指したいのであれば、他の資格の取得も検討しましょう。
ボイラー技士と合わせて持っているとおすすめの資格について紹介します。
電気工事士
電気工事士は、ビルや工場、一般住宅など、電気工事の作業をするために必要な資格です。
ボイラー技士が活躍する現場でも、電気工事の資格が役に立つケースは多々あります。
第二種と第一種に分類されており、第二種は600ボルト以下で受電する設備の工事、第一種は第二種の範囲に加え、最大電力500キロワット未満の工事に従事可能です。
第一種、第二種ともに、年齢や実務経験などの受検資格は問われません。
電気主任技術者
電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事や運用に関わるための資格です。
第一種から第三種までに分けられており、
取り扱いできる電圧によって分類されています。
- 第三種:出力5千キロワット以上の発電所を除く、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物
- 第二種:電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物
- 第一種:すべての事業用電気工作物
どの区分の資格も、受検に必要な実務経験などは定められていません。
建築物環境衛生管理技術者
建築物環境衛生管理技術者はビル管理士ともいい、建築物の衛生的環境を確保するための維持・管理について監督するための資格です。
面積が3,000平方メートル以上ある商業施設では建築物環境衛生管理技術者を選任する必要があります。
建築物環境衛生管理技術者を取得するためには、受検資格として、2年以上の実務経験が必要です。
面接のポイント
ボイラー技士にはコミュニケーション能力も求められるため、自己紹介は重要なアピールポイントになります。
あまり長くなりすぎないように気を付けながらも、堂々と自己紹介できるように練習しておきましょう。
健康面や体力面に自信がある場合はそれもアピールポイントになります。
ボイラー技士の仕事に興味を持った理由について、実体験を交えながら説明しましょう。
ボイラー技士の仕事は、汚れてもいい作業着で行いますが、面接はスーツを着用したほうが好印象を与えます。
シャツのシワや靴の汚れがないかをチェックして、髪は清潔感のある髪型で臨みましょう。
スーツを持っていない場合は、人に借りても良いですが、サイズが合っているかしっかり確認しておく必要があります。
サイズが合っていないと、せっかくのスーツもだらしなく見えるため注意が必要です。
まとめ
ボイラー技士は、転職や就職にも有利な国家資格です。
簡易ボイラーの普及により「ボイラー技士の仕事がなくなるかもしれない」といわれることもありますが、大型ボイラーの需要はまだ高く、簡易ボイラーを扱う場合でもボイラー技士が優遇されます。
熱のこもったボイラー室での作業など、体力的に大変な面はありますが、向いている人にとってはやりがいのある仕事になるでしょう。
今回紹介した資格を取得するメリットや仕事で大変なことも参考に、ボイラー技士の資格取得を検討してくださいね。