工場(製造業)の営業職とは?工場勤務との違いや向いている人を解説
「工場の営業職はどんな仕事?」
「製造業の営業に向いている人の特徴は?」
日本にはさまざまな製造業の工場があります。しかし、製造業の営業の年収ややりがい、仕事内容や向いている人の特徴は、知らない方も多いでしょう。
本記事では、厚生労働省の資料から製造業の営業年収を紹介し、営業の役割や向いている人、必要なスキルについて解説します。
製造業の営業職とは
製造業の営業職とは自社の工場で製造された製品を売る仕事で、メーカー営業と呼ばれています。
商社や卸売店など法人の顧客に対して営業をおこなう法人営業が多く、なかには直接個人への購入を促す個人営業をおこなう企業もあります。
製造業の業種は幅広く、主な業種は次のとおりです。
● 電気機器
● 自 動車
● 半導体
● 食品
● 食品
● 化粧品
製造業の営業は、既存の顧客に対して営業するルート営業と、新規顧客を獲得するための新規営業の2種類です。企業によりルート営業と新規営業のどちらをおこなうかや営業の割合は異なります。
製造業における営業職の年収
営業職の平均年収は次のとおりです。
営業職の平均年収
法人営業 | 個人営業 | |
---|---|---|
平均年収 | 447万円 | 424万円 |
製造業の営業は業種により年収は異なり、工場で製造された製品が高価なほど、営業の年収は高くなる傾向があります。また、営業の一般的な給料は基本給に加え、実績に応じて報酬が増えるインセンティブ制度を取り入れている企業が多く、実績が良ければ給料も上がる可能性があります。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、製造業の平均年収は以下の314.5万円です。製造業の営業は業種や実績により年収は異なりますが、製造業の平均年収より多いケースが多いでしょう。
製造業における営業職のやりがい
製造業における営業職のやりがいは、次のとおりです。
● 顧客の役に立てて直接感謝される
● 自社の成長に貢献できる
● がんばり次第で給料が上がる
● 真摯に対応し信頼関係を築ける
● 人間として成長できる
顧客や社内の人から必要とされ、信頼してもらえるのはやりがいを感じる瞬間です。納期の調整やクレーム処理など、難しい仕事もありますが課題を解決すると、さらに信頼されます。
製造業の営業はやりがいが多く、企業や自分も成長していける仕事です。
工場勤務との主な違い
製造業の営業と工場勤務との主な違いは次のとおりです。
製造業の営業と工場勤務の違い
製造業の営業 | 工場勤務 |
---|---|
仕事の自由度が高い | 自由度が低い |
結果を求められる | 決められた作業を黙々とこなす |
クレーム処理がありストレスがかかる | クレーム処理はない |
実績により給料アップや昇格がある | 給料はほぼ一定で昇格は見込めない |
営業は自由度が高く責任が大きいため、ストレスがかかる面もありますが、実績により給料アップや昇格が期待できます。一方、工場勤務は取り組みやすい作業をこなす分、自由度は低く給料が上がりにくいのが特徴です。
どちらの仕事にも向き不向きがあり、自分に合うほうを選ぶ必要があります。
製造業における営業職の仕事内容
製造業の営業職は、製品を売るだけではなく販売前後の仕事もこなします。製造業における営業職の仕事内容は、主に次の4つです。
● 新規営業先の開拓
● アフターサービス
● クレーム処置
● 工場とのやりとり
新規営業先の開拓
製造業の営業職の主な仕事として、新規営業先の開拓があります。自社製品をどのように売り込み、契約を成立させるかを試行錯誤しながら改善し、新規顧客の獲得を目指します。
営業のやり方やスタイルは企業により異なり、飛び込みや電話、メールなどでアポイントを取る方法が一般的です。また、新規営業先の開拓だけではなく、既存の顧客に対して継続して契約してもらうためにおこなう営業活動もあります。
アフターサービス
すでに取引がある企業のアフターサービスも、営業職の仕事です。
● 納品した製品に満足しているか
● 製品に不具合がないか
● 改善の希望はあるか
上記の内容などを定期的に訪問してヒアリングをおこない、顧客の満足度を維持する必要があります。また、定期的に訪問しながら契約が続くよう信頼関係を築き、ほかに役立てる製品があれば提案するなどの営業活動も大切です。
アフターサービスは、継続的な契約と今後の売上向上に必要な仕事です。
クレーム処置
製品の不具合でのクレーム処理も営業職の大事な仕事です。自分自身が製造した製品ではないですが、顧客との窓口として対応をしているため、営業が対応する必要があります。
また、クレーム処理は誠心誠意、迅速におこなえば顧客満足度を高められる機会でもあります。ときには自社製品とは関係のない、納品ミスや納期の遅れなどのトラブルに対応するのも営業の仕事です。
クレーム処理やトラブル対応は、ストレスが貯まるときもありますが、とても重要な仕事の1つです。
工場とのやりとり
契約企業からの希望納期や、生産数などの調整を工場側とやりとりするのも営業職の仕事です。営業と工場側の連係ミスで、希望の納期や生産数を守れない場合、契約企業の信頼を損なう可能性があるため、慎重に進める必要があります。
また、企業からのサンプル依頼や、工場見学を希望された場合も営業と工場で話し合い、調整をおこないます。企業からの要望と工場の都合が合わないケースもあるため、間に入り双方に不満がないように調整するのも営業の大切な仕事です。
製造業の営業職に向いている人
製造業の営業職は、自由度が高い反面ストレスがかかる場合もあり、向いている人と向いていない人に分かれます。
製造業の営業に向いている人の特徴は、次のとおりです。
● 自由度高く働きたい人
● 人とのコミュニケーションが好きな人
● 自社製品に誇りを持っている人
● 柔軟に対応できる人
自由度高く働きたい人
営業職はノルマや結果を求められますが、自由度高く働けるため、決められた働き方をしたくない人におすすめです。自分の営業次第で結果につながり、契約まではある程度の裁量が与えられているため、自分で考えて仕事を進めたい人に向いています。
たとえば商談のアポイントを夕方にして、商談後に顧客との親交を深める時間にしたり、直接家に帰り自分の時間にしたりできます。製造業の営業は、自分のやり方で自由に仕事を進めたい人であれば、やりやすい職業です。
人とのコミュニケーションが好きな人
営業職は他人とのコミュニケーションが好きな人に向いています。顧客とのコミュニケーションは、営業の重要な仕事の1つで、自分の実績や自社の売上に影響するからです。
自社製品の良さを知り、顧客の役に立てる提案をどれだけできるかで、顧客の信頼を積み上げられます。柔軟なコミュニケーションが取れ、顧客との会話を楽しめる人は製造業の営業がおすすめです。
自社製品に誇りを持っている人
自社製品に誇りを持っている人も、製造業の営業職に向いています。自社製品のメリットやデメリットを深く知れば、顧客に最適な提案ができ、営業として信頼を積み上げられるからです。
提案している自社製品への誇りや熱意が最後の一押しとなり、契約につながるケースも珍しくありません。また信頼されている営業マンであれば、提案する製品に自信があるのを顧客が理解し、契約につながりやすくなります。
自社の製品について自信を持ちながら提案できる人は、製造業の営業がおすすめです。
柔軟に対応できる人
顧客が求めているものを把握して、柔軟に最適な提案ができる人も、製造業の営業職に向いています。営業は顧客と自社、互いにメリットがある契約になるように、対応していく必要があるからです。
たとえば商談した結果、今提案している製品より別の製品のほうが、お互いメリットがあるなら別の提案に切り替えます。また、クレームやトラブル時にも柔軟な対応を求められ、できるだけ顧客に迷惑がかからないようにする必要があります。
常に顧客と自社の利益を考え、柔軟に対応を変えられる人は、製造業の営業がおすすめです。
製造業の営業職に必要なスキルや資格
企業の顔として顧客との対応をおこなう製造業の営業職は、必要なスキルや資格があります。
今はなくても、学びながら実践すれば得られるスキルや資格のため、興味のある人はチェックしておきましょう。
製造業の営業職に必要なスキルや資格は、次のとおりです。
● プレゼンテーションスキル
● ビジネスマナー
● 業界に特化した資格
プレゼンテーションスキル
製造業の営業職には、自社製品のメリットを伝えるプレゼンテーションスキルが求められます。新規顧客や既存の顧客に対して、自社製品の魅力をわかりやすく伝えられれば、契約につながる可能性が大きく上がるからです。
たとえば業界用語をなくしてわかりやすくしたり、実際の使用例を資料にまとめたりすると、企業側も製品をイメージしやすくなります。ほかにも実際に工場を見せながらや、サンプルを使用して説明するなど、さまざまな提案方法があります。
会話や資料作成で、顧客に魅力的なプレゼンができるスキルは、営業のスキルとして必要です。
ビジネスマナー
製造業の営業職は、自社の顔として他社の企業と接するため、失礼にならないように最低限のビジネスマナーを守る必要があります。自社製品がとても魅力的でも、ビジネスマナーが守られていない、失礼な営業マンであれば、契約できる可能性が大きく下がります。
守るべき主なビジネスマナーは次のとおりです。
● 正しい敬語
● 挨拶
● ビジネスメール
● 時間厳守
● 適切な報連相
製造業の営業には最低限のビジネスマナー必要なため、営業に出る前に身につけておきましょう。
業界に特化した資格
製造業の営業職として、業界に特化した資格の取得はおすすめです。必須ではないですが、業界に特化した資格を取得すると知識が深まり、より顧客に役立つ提案をできます。
住宅メーカーでは「宅建士」、電化製品では「家電製品アドバイザー」などの資格があれば、専門的な話ができ、信頼されやすくなります。業界ごとにさまざまな資格があるので、製造業の営業として活躍したい人は、資格の取得を検討しましょう。
まとめ
製造業の営業職は自社製品を顧客に売る仕事で、製造業の平均と比べると年収が高く、工場勤務の人とは働き方が異なります。営業の主な仕事内容は、新規開拓やクレーム処理を含めた顧客対応、工場とのやり取りなどです。
必要なスキルは提案力やビジネスマナーで、業界に特化した資格を取得すれば営業としてさらに信頼されるようになります。製造業の営業は自由度が働き方をしたい人や、人とのコミュニケーションが好きで、柔軟に顧客や自社のメリットを考えられる人におすすめです。
とくに自分の自由に仕事を進めたい人は、製造業の営業にチャレンジして、スキルアップさせていくキャリアを検討しましょう。