メーカーとは?製造業と何が違う?メーカー勤めの魅力や向いている人なども解説!
メーカーとは素材や製品を作っている企業で、製造業とも呼ばれ、素材メーカー、部品加工メーカー、製品加工メーカーに分類されます。メーカー勤務の魅力は、製品が世の中に出回っていること実感できる点や、就職時にスキルがあまり求められない点などです。本記事ではメーカーの概要と、その魅力、向いている人や業界の展望などを解説します。メーカーに就職・転職を希望している人は、本記事で業界の基礎知識を身に着けましょう。
メーカーとは
メーカーとは、製品の製造加工、販売を担う企業を言います。製造業と呼ばれることもあり、ものづくり大国とも言われる日本では、製造業に携わっている人が多いです。メーカーは、素材メーカー、部品加工メーカー、製品加工メーカーに大別できます。素材メーカーのなかに、製紙メーカーや化学メーカーが含まれるように、製造しているものによって、より細かく分類していくことも可能です。
メーカーの分類
メーカーは、下記3つに大別できます。
- 素材メーカー
- 部品加工メーカー
- 製品加工メーカー
それぞれどのような製品を作っているのか解説します。
素材メーカー
素材メーカーは、製品の素材を製造するメーカーです。例えば、鉄そのものを作り出す鉄鋼メーカーや、絹糸や生糸などの繊維素材を作るメーカーなどを始めとして、ガラスや紙、非鉄金属、無機材質などを作り出します。素材の質のよさは、製品のクオリティに直結するため、重要な仕事です。素材メーカーで製造した素材をもとに製品が作られるため、取引先は個人ではなく、企業であることがほとんどです。
部品加工メーカー
部品加工メーカーは、素材メーカーが製造した素材をもとに、部品を製造するメーカーです。自動車や家電、電子機器などさまざまな製品の部品を製造します。日本は優れた部品加工技術を有しており、ナノレベルで加工が可能なメーカーもあります。部品加工の行程では、素材を削る、磨く、プレスするなどして加工していきます。素材メーカー同様、基本的には製品を作っている企業と取引することになります。
製品加工メーカー
製品加工メーカーは、素材や加工された部品を使って、製品を製造するメーカーです。なかには素材製造から、部品加工、製品加工までを一貫して一社で行う企業もあります。そのようなメーカーは総合メーカーと呼ばれることもあり、大手の化学メーカーや、製薬メーカーなどが該当します。そのほか、製品加工メーカーは自動車、食品、化粧品、電子機器、建築、機械などを製造しています。
メーカーは製品販売先によってタイプが異なる
メーカーは作っているものによって、取引相手が異なります。企業が相手のB to Bと、消費者である個人が相手のB to Cの2種類です。下記で、B to B型とB to C型に該当するメーカーの種類を解説します。
BtoB型
B to BとはBusiness to Businessの略で、企業と企業で製品・サービスの取引を行う販売スタイルを指します。製品を企業に販売するメーカーは、B to B型の取引をしています。例えば日本市場だけではなく、海外の企業に向けて鉄鋼を販売している鉄鋼メーカーや、機械部品の一種を自動車メーカーや造船メーカーなどに提供している部品加工メーカー、電子顕微鏡や生化学分析装置の製造や販売をしている製品加工メーカーなどが該当します。B to Bで扱われている製品は直接個人の消費者が目にすることは少ないですが、さまざまな企業の製品製造や活動を支えています。
BtoC型
B to Cとは、Business to Consumerの略で、企業が消費者である顧客に商品やサービスを販売するスタイルです。B to C型でビジネス展開をしているのは製造加工メーカーが主で、自動車の製造、販売を行っている自動車メーカーや、スーパーやコンビニなどで売られている食品を製造している食品メーカー、海外市場でも活躍が目覚ましい化粧品メーカーなどが挙げられます。B to C型のビジネスの場合、携わっている製品が実際に使われている様子を目にする場面が多いため、やりがいにつながりやすいでしょう。
メーカー勤務になった場合の主な業務
メーカー勤務になった場合の主な仕事内容は、下記のとおりです。
- 営業
自社製品を企業や顧客に販売する営業をします。取引先の要望に合う自社製品の提供や、新製品の紹介が主な仕事です。新規顧客開拓業務もあります。
- 生産管理
製品の品質や生産量などを管理する業務です。スケジュールに沿って生産が行われているか、品質が社内規定通りに保たれているかをチェックします。
- 製造現場
製品を製造する業務です。マニュアルに従って製造することが多く、特殊な資格や技能はあまり求められません。昇給を目指すのであれば、資格取得は必須となるでしょう。
- 研究開発
既存製品の改良や、新製品の開発、素材メーカーでは素材そのものの基礎研究を行います。他社との差別化を図るべく、機能性の高い素材や製品を生み出すことが課題です。
- 資材調達
製品を製造するための、資材調達を行います。国内外から高品質な素材を、なるべく低価格で仕入れることが重要です。
メーカー勤めの魅力
メーカーに勤める魅力は、下記のようなものが挙げられます。
- 製品が世の中に出回っている実感を得やすい
- 経験や初期スキルがあまり求められない
- 国内における製造業の規模は比較的大きい
下記で、それぞれの魅力について解説します。就職、転職先としてメーカーを視野に入れている方や、どんなメリットがあるのか知りたい方はぜひ御覧ください。
製品が世の中に出回っている実感を得やすい
自動車や家電、電子機器など、B to Cの製品加工メーカーは、製品が世の中の役に立っていることを実感しやすいでしょう。また、素材加工や部品加工のメーカーであっても、消費者が手にしている製品に自社の素材や部品が使われていることを思うと、やりがいを感じられるはずです。また、テレビCMや街頭広告で自社製品を目にすることもあり、モチベーションにもつながります。
経験や初期スキルがあまり求められない
メーカーに勤めるにあたって、特別な資格やスキルはあまり求められません。ものづくりというと、特定の資格や経験が必要そうに感じられますが、実は未経験や初心者を歓迎してくれるメーカーも多いです。もちろん、そのメーカーにあった資格やスキルはあるほうが就職には有利です。しかし、応募する際に、資格保有が必須となっていることはあまりなく、比較的チャレンジしやすい業界と言えるでしょう。
国内における製造業の規模は比較的大きい
日本国内において、製造業の規模は比較的大きいこともメリットです。業界規模の大きさは、経営の安定につながります。
メーカー勤めに向いている人
メーカーでの仕事内容はさまざまであり、その職種によって、向いている人は異なります。しかし、下記の特徴が当てはまる人は、メーカー勤めに向いていると言えるでしょう。
- ルールを誠実に守れる人
- 単純作業が好きな人
- 新しいアイデアを考えるのが好きな人
これらは、メーカー働くときによく求められる人物像です。下記で、その理由を見ていきましょう。
ルールを誠実に守れる人
メーカーの主な職務である製造では、ルールを誠実に守れる人が求められます。製造現場では、服装や作業の規定などが細かく決められているからです。それらのルールは、安全に製品を作ることや、製品の品質を保持することを目的として定められています。作業自体もマニュアル化されていることが多いため、その手順を守って作業できる人が向いています。
単純作業が好きな人
製造業務には、単純作業が好きな人が向いています。マニュアルに沿って同じ作業を繰り返すことが多いからです。1日中同じ作業をしていても苦ではない人や、繰り返しの作業の中で自分なりに楽しみを見いだせる人はメーカー勤務に向いているでしょう。
新しいアイデアを考えるのが好きな人
新しいアイデアを考えるのが好きな人も、メーカー勤務に向いています。新製品や新素材の開発など、新しいものを作るためには柔軟な発想が必要だからです。特に、B to C型のメーカーでは、顧客のニーズに合わせて新製品を次々と作り出さなければなりません。新しいことにチャレンジしたり、自分で新しいものを作ったりすることが好きな人は向いています。
メーカー(製造業)の今後の展望
現状、国内のメーカー業界全体の国際競争力は低下してきています。製品のコストや人員コスト、輸送コストなどがかさみ、海外メーカーとの価格競争に勝てなくなってきているからです。一方で、就業者数の増加や4年連続の賃上げ実績など、よい兆しもみられます。
かつてのように、作れば売れるわけではなく、今後は、日本製品としてより高度な付加価値を付随することが求められています。その対策として、生産拠点を海外に移しコストカットを実現し、AIやIoTなどを活用したデジタル化を進めています。また、人材不足に対応するため、人材育成や新卒採用に力を入れている企業もあります。メーカーに就職・転職を考えている人は、希望メーカーがデジタル化を進めているか、人材育成に積極的かなどをチェックしておきましょう。
よくある質問
製造業の大手メーカーにはどういった企業がある?
自動車メーカーとして名高いトヨタやホンダ、日産、電気機器メーカーのソニーやパナソニック、キヤノン、日立などがあります。住友電気工業や三菱電機、富士通のようなB to B展開で強みがある企業も多いです。
製造業とメーカーの違いは?
特にありません。メーカーは何がしかのものを作っている企業であり、製造業に携わっています。ただし、メーカーに就職しても、必ずしも製造業に関わるわけではありません。メーカー内の職種は、営業や研究開発、資材調達など製造以外の職種もあるからです。
メーカーと商社の違いは?
メーカーと商社の違いは、自社での製品製造の有無です。メーカーは、素材や製品を製造し、他社や消費者個人に販売します。商社は製品を製造することはなく、国内外の他社で製造された製品を、メーカーに販売します。商社は幅広い製品を取り扱っていることが強みであり、メーカーの要望にマッチする製品を紹介します。
まとめ
メーカーとは素材や製品など、ものを製造する企業のことです。製造しているものによって素材メーカー、部品加工メーカー、製品加工メーカーに大別でき、ビジネススタイルによってB to B型とB to C型に分けられます。メーカーといっても、その業務は多岐にわたり、製造以外に営業や生産管理、研究開発などがあります。どの職種に就くかで向いている人は異なりますが、製造においては単純作業が好きな人やルールが守れる人が向いているでしょう。また、メーカー勤務の魅力は、就職に必須のスキルや資格はほとんどなく、未経験者でも就職・転職が可能な点や、携わっている製品が世の中で役になっているのを目にできる点などが挙げられます。就職の際には、AIやIoTの導入、人材育成に積極的な企業をチェックし、将来性あるメーカーに応募するのがよいでしょう。