AIエンジニアはやめとけと言われる理由は?働く魅力や年収・資格についても解説
「AIエンジニアはやめとけ」というネガティブな声をよく目にする昨今、キャリアの選択に迷う方も多いのではないでしょうか。確かに、AI業界は日々急速に変化し、新しい技術やツールの習得が欠かせません。また、市場の競争も激しく、高いスキルが求められる職種です。しかし、そんな声の裏には、どんな真実が隠されているのでしょうか。
この記事では、「AIエンジニアはやめとけ」という意見の背景について、実際のところどうなのか、様々な角度から検証していきます。AIエンジニアの仕事を検討する上で、キャリア選択の参考になれば幸いです。
AIエンジニアがやめとけと言われる理由5選
求められるスキルが高い
AIエンジニアには、幅広い知識とスキルが要求されます。プログラミングやデータ構造の基礎はもちろんのこと、機械学習の理論や統計学、さらにはビジネス課題を理解する力も必要です。
特に数学的な素養は避けて通れません。線形代数や確率統計、微積分などの理解なしには、アルゴリズムの本質的な理解は難しいでしょう。これだけ多岐にわたるスキルを習得することは、決して容易ではありません。
最新技術を勉強し続ける必要がある
AI分野の技術革新は目覚ましく、昨日の常識が今日には古くなっているということも珍しくありません。ChatGPTの登場で業界が大きく変わったように、新しい技術やフレームワークが次々と登場します。
エンジニアは常にアンテナを張り、最新の論文や技術トレンドをキャッチアップし続けなければなりません。この永続的な学習の必要性は、多くのエンジニアにとって心理的負担となるでしょう。
激務になる可能性がある
AI開発プロジェクトは往々にして複雑で、予期せぬ問題が発生しやすい特徴があります。データの品質問題や、モデルの精度向上に向けた試行錯誤、本番環境での予期せぬ動作など、様々な課題に直面します。
締め切りに追われながらこれらの問題に対応することになり、残業や休日出勤を強いられるケースも少なくありません。
仕事自体がAIに代替される可能性がある
皮肉なことに、AIエンジニアの仕事の一部はAIによって自動化される可能性があります。すでにコード生成AIの性能は日々向上しており、基本的なプログラミング作業の多くを代替できるようになってきています。
より高度な機械学習モデルの設計や実装も、将来的にはAIがサポートしたり、場合によっては代替したりする可能性は否定できません。
今から学習しても手遅れ
AI分野ではすでに多くの優秀なエンジニアが存在し、企業の求める経験値も年々高まっています。特に、GAFAMなどの大手テック企業では、博士号保持者や長年の実務経験者が好まれる傾向です。
今からAIを学び始めても、このような既存の人材との経験の差を埋めるのは困難ではないかという懸念があります。また、参入障壁が下がることで競争が激化し、市場価値が低下する可能性も指摘されています。
AIエンジニアとして働く魅力
AIエンジニアとして働くうえで障壁はあるものの、一方でAIエンジニアとして働く魅力は一言で言い表せないほど多岐にわたります。最先端の技術に触れながら、社会に大きなインパクトを与えられる可能性が、この仕事の最大の魅力と言えるでしょう。
ここからは、AIエンジニアの魅力を具体的に見ていきます。
将来性があり安定して働ける
AIの市場規模は年々拡大を続けており、2027年には日本市場において1兆円規模で拡大すると予測されています。企業のDX推進やAI活用の流れは今後も続くと見られ、需要自体は堅調に推移するでしょう。
参考:総務省|市場概況)
また、現在多くの企業がAIエンジニアを募集しており、ここ数年で求人数が大きく増えています。特に経験者への需要は高く、転職市場でも優遇されやすい状況です。
参考:PR TIMES|AI関連求人が増加。2017年度から約4.7倍に エンジニア系職種だけでなく、営業や企画・管理部門も伸長)
高収入を狙える
AIエンジニアの平均年収は558.3万円(※1)です。日本の平均年収が460万(※2)なので、AIエンジニアは高収入といえるでしょう。
AIエンジニアの収入は、スキルと経験に応じて大きく変動します。特に、機械学習の専門性や大規模プロジェクトの経験を持つシニアエンジニアは、年収800万円以上も十分狙えます。大手テック企業やスタートアップでは、さらに高額な報酬を提示されることもあり、実力次第では年収1,000万円を超えることも不可能ではありません。ただし、これらの高収入を実現するためには、継続的な技術力の向上と実績の積み重ねが必要不可欠です。市場価値を維持するためには、最新技術のキャッチアップと実践的なプロジェクト経験を積み続けることが重要です。
参照:厚生労働省「jobtag」|AIエンジニア(※1)
国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査(※2)
スキルを身につければ独立を目指せる
AIエンジニアがスキルを身につければ、独立を目指すことは十分可能です。実際に、フリーランスのAIエンジニアとして活躍している方も多くいます。
ただしAIエンジニアとして独立することは可能ですが、技術力だけでなく総合的なビジネススキルが求められます。具体的には、AI開発の専門知識に加えて、顧客のビジネス課題を理解し解決策を提案する力、プロジェクトマネジメント能力、そして営業力が必要です。
また、独立後の安定した案件獲得のためには、特定の業界や技術領域での実績作りが重要となります。フリーランスとして活動を始める場合は、まず企業での実務経験を積み、人脈を構築しながら段階的に独立を目指すアプローチが現実的でしょう。
AIエンジニアはやめておいたほうがいい人の特徴
AIエンジニアは、高い専門性と技術力が求められる一方で、非常にやりがいのある仕事です。しかし、誰にでも合う仕事というわけではありません。AIエンジニアとして成功するためには、ある程度の適性やスキルが必要になります。
以下の項目に当てはまる人は、AIエンジニアは向いていない可能性が高いです。
数学・統計学に抵抗がある
AIエンジニアにとって、数学や統計学の知識は必要不可欠です。機械学習のアルゴリズムを理解するには線形代数や確率統計の基礎が必要で、データの前処理や分析には統計的な考え方が求められます。
「数式を見ただけで頭が真っ白になる」「統計用語を聞くだけで気持ちが重くなる」という方は、業務の本質的な部分で苦労することになるでしょう。
論理的思考力がない
AIの開発では、問題を細分化し、原因と結果を明確に結びつけて考える必要があります。なぜその結果になったのか、どうすれば改善できるのかを論理的に考え、仮説を立てて検証するプロセスが日常的に発生します。
感覚的な判断や思い込みだけで物事を進めようとする人は、プロジェクトの方向性を見誤ったり、チームメンバーとの意思疎通に支障をきたしたりする可能性が高くなります。
集中力がない
AIモデルの開発やデバッグには、長時間にわたる集中力が必要です。データの前処理、モデルの学習、パラメータの調整など、一つ一つの工程に細心の注意を払う必要があります。
些細なミスが大きな問題につながることも多く、集中力が続かない人は重要な箇所を見落としたり、効率的に作業を進められなかったりする可能性があります。
コツコツ勉強することに抵抗がある
AI技術は日進月歩で、新しいフレームワークや手法が次々と登場します。最新の技術動向を追い、実装方法を学び、実践で使えるレベルまで理解を深めるには、地道な学習の積み重ねが欠かせません。
「とりあえず動けばいい」という姿勢や、表面的な理解で満足してしまう傾向がある人は、技術の深い理解に到達できず、複雑な問題に直面したときに適切な対応ができない可能性があります。
AIエンジニアに向いている人の特徴
AIエンジニアは、高い専門性とスキルが求められる一方で、非常にやりがいのある仕事です。
以下の項目に当てはまる人は、AIエンジニアに向いていると言えます。
論理的に思考できる
AIエンジニアにとって論理的思考力は最も重要なスキルの一つです。データの特徴を分析し、アルゴリズムの選択理由を説明し、結果を解釈する際に、すべての判断を論理的に組み立てることができます。
「なぜこの手法を選んだのか」「どうしてこの結果になったのか」といった問いに対して、筋道を立てて説明できる能力は、プロジェクトの成功に直結します。また、チームメンバーや顧客との円滑なコミュニケーションにも、この論理的思考力が大きく貢献します。
プログラミングスキルが身についている
基本的なプログラミングスキルを持っている人は、AIエンジニアとしての学習曲線を大幅に短縮可能です。Pythonなどの言語に関する知識があれば、機械学習ライブラリの使用方法やアルゴリズムの実装により集中できます。
また、効率的なコードの書き方や最適化の知識は、大規模なデータ処理や複雑なモデルの実装時に大きな強みとなります。何よりも、プログラミングの基礎が身についていることで、新しいAI関連技術の習得もスムーズに進められます。
問題解決能力がある
AIプロジェクトでは、予期せぬ問題が次々と発生します。データの品質問題、モデルの精度不足、実装上の技術的課題など、様々な障壁に直面します。これらの問題に対して、原因を特定し、解決策を考え、実行に移せる能力は非常に重要です。
また、単に技術的な解決だけでなく、プロジェクトの制約条件(時間、コスト、リソースなど)を考慮しながら、最適な解決策を見出せる人は、AIエンジニアとして高い価値を発揮できます。
新しい技術や未知の領域に対して好奇心を持てる
AI分野は常に進化し続けており、新しい技術や手法が次々と登場します。このような環境で成功するには、常に学びを楽しめる姿勢が必要です。新しい論文や技術に興味を持ち、自発的に学習できる人は、最新のトレンドをキャッチアップし、より効果的なソリューションを提供できます。
また、未知の問題に直面しても、それを学習の機会として前向きに捉え、粘り強く取り組める人は、AIエンジニアとして着実に成長していけるでしょう。
AIエンジニアに関するよくある質問
ここからは、AIエンジニアに関して、よくある質問に回答していきます。
AIエンジニアになるには資格が必要?
AIエンジニアになるために必ずしも特定の資格が必要というわけではありません。しかし、資格を取得することで、あなたのスキルや知識を客観的に評価してもらい、就職活動やキャリアアップに役立つことは間違いありません。
AIエンジニアになるために役立つ資格には、以下のようなものがあります。
- G検定:ディープラーニングに関する基礎知識を問う、一般的な資格
- E資格:ディープラーニングの理論と実装能力を評価する、高度な資格
- 実装レベル検定:G検定、E資格の実装レベルとして設定された検定
- Python資格:AI開発に広く利用されるPythonのスキルを証明する資格
- 情報処理技術者試験:ITの基礎知識を幅広く問う国家資格
- データサイエンティスト検定:データ分析のスキルを評価する資格
- 画像処理エンジニア検定:画像処理に関する知識を評価する資格
AIエンジニアに求められるスキルは?
AIエンジニアに求められるスキルには、以下のようなものがあります。
- プログラミングスキル:Python、R、Javaなどのプログラミング言語を使いこなす能力
- 数学・統計学の知識:機械学習や深層学習の基礎となる数学、統計学の知識
- 機械学習・深層学習の知識:様々なアルゴリズム(決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークなど)の原理を理解し、適切なアルゴリズムを選択し、実装する能力
- データ分析スキル:大量のデータを収集、整理、分析し、そこから意味のある情報を抽出する能力
- クラウドプラットフォームの知識:Google Cloud Platform、AWS、Azureなどのクラウドプラットフォームを利用して、大規模なデータ処理やモデルの学習を行う能力
未経験でAIエンジニアになるにはどうすればいい?
未経験からAIエンジニアを目指すなら、まずプログラミング言語Pythonの基礎から学習を始めると良いでしょう。その後、数学(線形代数・統計学)の基礎を押さえつつ、機械学習ライブラリを使った実践的な演習に取り組みましょう。オンライン学習プラットフォームやUdemyなどの教材を活用し、実際のデータを使った課題に取り組むことで実践力を養えます。
また、Kaggleなどのコンペティションへの参加やGitHubでのポートフォリオ作成も、就職活動で重要なアピールポイントとなります。経験を積んだ後、AI企業のインターンや未経験歓迎の求人に応募すればキャリアをスタートできるでしょう。
【あわせて読みたい!】AIエンジニアになるには?3つの方法や必要なスキルについて解説
まとめ
AIエンジニアという職種は、高い将来性と収入が期待できる一方で、求められるスキルが高く、数学・統計学の知識や継続的な学習が必要です。また、AIによる自動化の可能性や、市場の競争激化という懸念もあります。
向いている人の特徴としては、論理的思考力があることやプログラミングスキルを持っていることなどが挙げられます。一方、数学に抵抗がある人や、集中力が続かない人、コツコツ学習することが苦手な人には向いていないかもしれません。
未経験からAIエンジニアを目指す場合は、Pythonの基礎から始め、徐々に機械学習の知識を深めていくことをおすすめします。資格取得やKaggleへの参加、ポートフォリオの作成なども、キャリアをスタートする上で有効な手段でしょう。
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