半導体エンジニアにおすすめの資格10選!取得のメリット・必要なスキルも解説

半導体エンジニアとしてのキャリアを築くにあたり、資格取得の必要性について悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
確かに、半導体エンジニアになるために必須の資格はありません。しかし、適切な資格を持っていることで、専門性を証明でき、キャリアの可能性を広げることができます。
この記事では、半導体エンジニアを目指す方におすすめの資格や、資格取得のメリット、そして必要なスキルについて解説します。
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半導体エンジニアを目指す人におすすめの資格10選
半導体エンジニアになるために必須の資格は特にありません。
しかし、専門的な知識や技術を証明できる資格を持っていることで、転職時の評価が高まったり、より多くの業務に携われたりするメリットがあります。
ここでは、半導体エンジニアを目指す人に特におすすめの資格を10個紹介します。
- 半導体製品製造技能士
- 半導体技術者検定
- CAD利用技術者試験
- 機械保全技能検定
- ディジタル技術検定
- 統計検定
- QC検定
- 危険物取扱者
- エネルギー管理士
- 衛生管理者
半導体製品製造技能士
半導体製品製造技能士は、半導体製品製造に関する知識・スキルを証明できる国家資格です。都道府県職業能力開発協会が実施する22職種の試験の一つです。
受験資格として、2級は2年以上、1級は7年以上(2級取得後は2年以上)、特級は1級取得後5年以上の実務経験が求められます。
試験内容は、実技試験と学科試験に分かれます。合格するためには、実技試験で100点満点中60点以上、学科試験で65点以上を取る必要があります。
参考:中央職業能力開発協会|技能検定のご案内
半導体技術者検定
「半導体技術者検定(SECC:Semiconductor Engineer Career Certification)」は、半導体デバイスの研究・開発から製造、販売などで実務上求められる知識を証明する民間資格です。
一般社団法人 パワーデバイス・イネーブリング協会(PDEA)が実施しています。
エレクトロニクス4級から1級まであり、2級では「設計と製造」「応用と品質」「パワーエレクトロニクス」という3つの専門領域から選択して受験できます。
受験資格は、4級から2級までは誰でも受けられますが、1級は2級・3級に合格していることが条件です。31問/45問以上正答で合格です。
参考:半導体技術者検定
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、CADの知識とCADを使った図面作成の技術を証明する民間資格です。一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施しています。
この資格には「2次元CAD利用技術者試験」と「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があります。半導体エンジニアは平面図を作成する機会が多いため、2次元CAD利用技術者試験がおすすめです。
試験は基礎・2級・1級の3つがあります。1級の受験には2級を取得しておく必要があります。
試験方式は基礎・2級が筆記試験のみ、1級は実技試験と筆記試験の両方です。1級の合格基準は、実技試験・筆記試験がそれぞれ5割以上、および総合が7割以上です。
参考:CAD利用技術者試験
機械保全技能検定
機械保全技能検定は、機械の保全業務に関する知識・スキルを認める資格です。公益社団法人 日本プラント統計質保証推進協会メンテナンス協会が実施しています。
半導体製造装置のトラブルや劣化は品質不良や製造ラインの停止につながるため、特に製造工程の監視や評価を行う「プロセスエンジニア」を目指す方に欠かせない資格の一つです。
3級・2級・1級・特級の4等級が用意されています。2級は2年以上、1級は7年以上の実務経験が必要で、特級は1級合格後に5年以上の実務経験が求められます。
参考:機械保全技能検定
ディジタル技術検定
ディジタル技術検定は、文部科学省後援の国際文化カレッジが主催している資格です。半導体の製造に必要なプログラミングスキルや制御システムの設計など、現場で活用できるIT知識を証明することができます。
しかし、2023年6月から検定を休止しました。そのため、現在は取得することができません。
統計検定
統計検定は、統計学に関する知識やスキルを証明できる資格です。一般財団法人 統計質保証推進協会が実施しています。
工業分野では製品の不良や製造工程の評価に統計学が活用されており、特に「プロセスエンジニア」を目指す方にはおすすめの資格です。
統計検定には1級から4級まで5段階があり、いずれも受験資格の制限はありません。合格基準は、4級から準1級で100点満点中60点以上です。1級に関しては合格基準を公開していません。
参考:統計検定
QC検定
QC検定は、品質管理の知識を問う資格です。日本規格協会グループが主催しています。
半導体業界では特に高水準の品質管理が求められるため、プロセスエンジニアのキャリアを目指す方に適した資格といえます。
4級から1級まであり、すべての等級で受験資格は不要です。試験は筆記試験形式で、2級から4級はマークシート方式、1級はマークシートと論述形式となっています。
参考:QC検定
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法で定められている危険物の取り扱い・管理を行うための国家資格です。一般財団法人 消防試験研究センターが実施しています。
半導体の製造過程では赤りんや石油類など、可燃性・爆発性のある危険物を使用します。工場などで危険物を取り扱う場合は危険物取扱者を設置しなければなりません。
丙種・乙種・甲種の3種類があり、丙種・乙種は誰でも受験可能です。また、一度受験して終わりではなく、新しい知識や技能を習得するために、決められた期間内ごとに講習を受ける必要があります。
参考:一般財団法人 消防試験研究センター|危険物取扱者試験
エネルギー管理士
エネルギー管理士は、省エネ法で定められている電気や熱エネルギーの管理を行うための国家資格です。
規定量以上のエネルギーを扱う工場では、エネルギー管理士の資格保有者からエネルギー管理者を選任することが義務付けられています。
試験科目は熱と電気の2つの分野があり、どちらも受験資格の制限はありません。マークシート方式の筆記試験です。
参考:エネルギー管理士
衛生管理者
衛生管理者は、労働安全衛生法で定められている衛生管理の国家資格です。公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施しています。
半導体工場では労災や従業員の健康被害を防ぐため、衛生管理業務従事者の選任が必要とされています。
第一種・第二種の2種類があり、どちらも学歴や実務経験などの受験資格が必要です。第一種衛生管理者は第二種より広い業種での衛生管理を担当できるため、第一種の取得をおすすめします。
参考:公益財団法人 安全衛生技術試験協会|衛生管理者
ワールドインテックのテクノ事業部では、資格取得をサポートする充実した制度が整っています。資格手当の支給や資格受験料の補助が受けられるため、働きながらスキルアップを目指すことが可能です。実務経験を積みながら、自己成長やキャリアアップをサポートする環境が整った職場なので、「半導体エンジニアに興味があるけれど、スキル面が不安…」という方はぜひチェックしてみてください。
半導体エンジニアを目指す人が資格を取得するメリット
資格取得は、半導体エンジニアとしてのキャリアを築く上で強みとなります。
資格を持つことで、専門性を証明できるだけでなく、より幅広い業務に携わる機会も増えていきます。
スキルを客観的に証明できる
資格を取得すれば、専門的な知識や技術を客観的に証明できます。半導体エンジニアが働く現場では、同程度の知識・技術を持つ人材が多く、実務経験の差が評価基準となりがちです。
しかし、半導体関連の資格を持っていることで、自身の専門性を明確に示すことができ、人事評価にプラスの影響を与えることが期待できるでしょう。
さらに、資格を履歴書や職務経歴書に記載することで、就職・転職時により高い評価を得られる可能性が高まります。面接時にも自分の専門性を資格によって裏付けることができ、採用におけるアピールポイントとなります。
任される仕事の幅が広がる
半導体製造にはおおよそ400~600もの工程があり、各工程における専門の技術者が必要です。資格取得によって専門的な知識・スキルを身につけることで、従事できる業務の幅が広がるでしょう。
より多くの実務経験を積むことができ、やりがいのある工程について専門性を高めたり、プロセスエンジニアや管理職といったキャリアアップの機会も増えていきます。
また、職場によっては資格取得を管理職への昇進条件として設定しているケースもあるため、そうした職場では取得する必要があります。
半導体エンジニアに求められるスキル
半導体エンジニアには、技術的なスキルだけでなく、幅広い能力が求められます。
- 英語スキル
- プログラミング・ソフトウェア関連スキル
- 電気・電子工学関連スキル
- 情報収集スキル
- コミュニケーションスキル
英語スキル
半導体エンジニアは、海外の技術文献や資料を読む機会が多くあります。最新の技術情報や製品仕様書は、英語で記載されていることが一般的です。
また、海外企業との取引も増加傾向にあり、英語でのコミュニケーションが必要となるケースも少なくありません。
外資系企業では、社内の公用語として英語を使用していることがあるため、基本的な英語力は必須のスキルとなっています。企業によっては、TOEICやTOFELの受験を求められます。
プログラミング・ソフトウェア関連スキル
半導体エンジニアの仕事には、集積回路の設計やシステム開発が含まれます。そのため、プログラミング言語やCADなどの設計ソフトウェアを扱うスキルは欠かせません。
特に設計段階では、回路の動作確認やシミュレーションを行うためのソフトウェアを使用する機会が多く、こうしたツールを扱える能力が求められます。
電気・電子工学関連スキル
半導体は電気を制御する部品であるため、電気・電子工学の基礎知識も必須です。電子回路の仕組みや電気特性の理解、各種規格への適合性の確認など、専門的な知識が求められます。
また、製造工程における品質管理や性能評価にも、これらの知識が活かされるでしょう。
情報収集スキル
半導体業界は技術革新のスピードが速く、最新の技術動向や市場ニーズを常に把握しておく必要があります。
国内外の専門誌やWebサイト、技術セミナーなどから効率よく情報を収集し、自身の業務に活かせる形で整理・分析する能力が重要です。
収集した情報を実務で活かせると、半導体エンジニアとしての人材価値は高まります。
コミュニケーションスキル
半導体エンジニアの仕事は、チームプレーです。設計部門、製造部門、品質管理部門など、さまざまな部署のメンバーと連携しながら業務を進めることが基本です。
また、取引先や協力会社とのやり取りも多いため、円滑なコミュニケーション能力が求められます。半導体の知識を持たない人に分かりやすく説明する力や、チーム内で効果よく情報共有する力も欠かせません。
半導体エンジニアに関するよくある質問
2つのよくある質問を回答します。
半導体エンジニアの資格は難易度が高いですか?
半導体関連の資格は、その種類によって難易度が大きく異なります。
国家資格である「半導体製品製造技能士」は、特に上級の資格において実務経験と専門的な知識が求められます。また、「機械保全技能検定」も上級になるほど実務経験年数の要件が厳しくなり、高度な技術力が必要です。
一方で「半導体技術者検定」の下級や「統計検定」、「QC検定」などは、誰でも受験でき、しっかりと準備すれば合格を狙える資格といえます。
自身のキャリアステージに合わせて、段階的に資格取得を目指すのが効果的でしょう。
半導体エンジニアの資格取得は意味がないのでしょうか?
冒頭でお伝えしたように、半導体エンジニアとして働く上で必須の資格はありません。
ただ、資格取得には大きな意味があります。資格を持っていることでキャリアの可能性が広がり、より専門的な業務に携わるチャンスも増えます。
多くの企業では資格手当を設けており、給与面でのメリットも期待できます。管理職への昇進条件として資格保有が設定されているケースもあり、キャリアアップにつながるでしょう。
昇給・昇進のためでなくとも、自分自身の興味関心を深めたり、専門性を高めたりするために資格取得はおすすめです。
まとめ
この記事では、半導体エンジニアに推奨される10種類の資格とその取得メリットについて解説してきました。
半導体製品製造技能士や半導体技術者検定といった資格は専門性の証明となり、より広い昇給や昇進といったキャリアップにつながります。
ワールドインテックのテクノ事業部では、資格取得をサポートする充実した制度が整っています。資格手当の支給や資格受験料の補助が受けられるため、働きながらスキルアップを目指すことが可能です。実務経験を積みながら、自己成長やキャリアアップをサポートする環境が整った職場なので、「半導体エンジニアに興味があるけれど、スキル面が不安…」という方はぜひチェックしてみてください。