クレーンに関する主な国家資格を紹介!おすすめの勉強法や向いている人の特徴も解説
クレーンは工場や建築現場などに欠かせない機械であり、さまざまな現場で目にすることがあるため、クレーン運転士に興味がある人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、クレーンに関する主な国家資格について紹介するとともに、おすすめの勉強法や向いている人の特徴も解説します。
クレーンを操作する仕事が気になっている人や建設現場などでさらなるキャリアアップを図りたい人は、ぜひ参考にしてください。
クレーンの主な国家資格
吊り上げ荷重が5t以上のクレーンの運転には、国家資格が必須です。免許は、学科試験と実技試験に合格するか、教習所に通い学科試験に合格すると取得できます。ここでは、クレーンの運転免許の種類を詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーンとデリックはよく似た機械ですが、それぞれに異なる特徴があります。
クレーンは、吊り上げた荷物を水平に移動する機械です。デリックは荷物を吊り上げることに特化した機械で、水平移動できるものとできないものがあります。
「クレーン・デリック運転士免許(限定なし)」があれば、5t以上の吊り上げ荷重に対応でき、天井クレーンや橋形クレーン、ジブクレーンなどすべてのクレーンとデリックを運転可能です。
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
吊り上げ荷重が5t以上のクレーンを操作できる免許です。ただし床上で運転するため、移動する際は運転士が動くことなく定位置で操作するか、クレーンの動きとともに移動する方式のクレーンに限定されます。
クレーン・デリック運転士免許 (クレーン限定)
5t以上の吊り上げ荷重に対応したクレーンのみ運転可能な免許で、デリックの運転はできません。なお、デリック限定の免許は存在しないため、デリックを運転するには「クレーン・デリック運転士免許(限定なし)」を取得する必要があります。
揚貨装置運転士免許
吊り上げ荷重が5t以上の揚貨装置の操作に必要な免許です。揚貨装置とは、船舶に取りつけられたクレーンやデリックのことで、「揚貨装置運転士免許」があれば港湾での荷役作業が可能です。
移動式クレーン運転士免許
吊り上げ荷重5t以上のクレーンを操作できる免許であり、本体が移動するクレーンを運転できるため、多くの現場で活躍できます。
なお、クレーン車を公道で運転する際は、別途自動車運転免許が必要なので注意しましょう。
小型移動式クレーン運転手の国家資格(技能講習)
クレーン資格の中には、都道府県労働局長から指定を受けた教習所で受講する技能講習が必要になる資格があります。
小型移動式クレーン
吊り上げ荷重が1t以上5t未満のクレーンは、「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了することで運転が可能になります。
未経験者の場合は、以下のような内容の13時間の学科講習と7時間の実技講習が必要です。
【学科講習】
- 小型移動式クレーンに関する知識
- 原動機・電気に関する知識
- 運転のために必要な力学に関する知識
- 運転に関係する法令
【実技講習】
- 小型移動式クレーンの運転の仕方
- 運転のための合図
なお、クレーン運転に関する他の資格を取得している場合は、特定の科目が免除されます。
床上操作式クレーン
工場などの天井に設置されている床上操作式クレーンは、ペンダントスイッチで操作し、クレーンの動きと一緒に操縦者も移動する方式です。床上操作式クレーンの技能講習は、3日間行われる学科講習と実技講習を受講することで運転資格が得られます。
ただし、床上操作式クレーンの講習を修了することによってクレーンによる吊り上げが可能になりますが、荷物を移動するためには下記で紹介する玉掛けの資格が必要なので、注意しましょう。
玉掛け(1t以上)
クレーンのフックに荷をかけたり外したりする作業のことを「玉掛け」と言います。玉掛けの資格はクレーン作業を行う際に必要な工程であるため、必ず取得しておくようにしましょう。
資格は、2日間の学科講習と1日の実技講習を修了することで取得が可能です。
移動式クレーン運転手の国家資格(特別教育)
吊り上げ荷重が1t未満のクレーンは、「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」を修了することで運転可能です。特別教育は教習所で受講できるほか、職場で実施される場合は社内で受けられることもあるでしょう。
講習時間は、9時間の学科講習と4時間の実技講習の合計13時間で、特別教育の内容は以下の通りです。
【学科講習】
- 移動式クレーンに関する知識
- 原動機・電気に関する知識
- 運転のために必要な力学に関する知識
- 運転に関係する法令
【実技講習】
- 移動式クレーンの運転の仕方
- 運転のための合図についての指導
クレーン国家資格のおすすめ勉強方法を紹介!
ここでは、クレーンの国家資格に合格するためのおすすめ勉強法を紹介します。
過去問・問題集を繰り返して解く
基本的に、クレーン・デリック運転士の学科試験は、過去に出題された類似問題で構成されることが多い傾向にあります。そのため、過去数年に出題された問題を理解すれば合格に近づけるでしょう。試験に挑む際は、出題パターンが見えてくるまで過去問や問題集を繰り返し解くことが大切です。
ただし、出題パターンが決まっているとはいえ、毎年まったく同じ問題が出るとは限りません。過去問を解く際は、回答をただ暗記するのではなく、応用できるように問題の中身をきちんと理解しておきましょう。
クレーン運転士学科試験準備講習に参加する
自主的に勉強することが苦手な人は、「一般社団法人 日本クレーン協会」が主催する「クレーン運転士学科試験準備講習」に参加してみましょう。
講習代とテキスト代が必要ですが、合格のためのポイントをわかりやすく教えてもらえるため、効率的に学べます。
クレーン運転士に向いている人の特徴
最後に、クレーン運転士に向いている人の特徴を紹介します。
精神的にタフ
クレーン運転士の仕事は単調な作業が多いながらも、非常に重たい資材の運搬という責任の伴う作業を行わなければなりません。そのため、重要な作業をするストレスや自身のスキルによって作業の進捗が左右されるプレッシャーに耐えられる人に向いていると言えます。
集中力が高い
重量のあるものを高所へ吊り上げるクレーンの操作は、少しの操作ミスが事故につながりかねません。荷物の落下はもちろん、周囲の建物などにぶつかるようなことがないように集中して慎重に操作し、周りの状況を把握しながら行う必要があります。
協調性がある
現場では、多くの人々がかかわっており、安全で円滑なクレーン操作を実現するためには、周囲とのコミュニケーションや声かけが必須です。円滑なコミュニケーションができるほか、協調性のある人に向いていると言えるでしょう。
まとめ
クレーンの免許は、手に職をつけたい人におすすめの国家資格です。また、クレーン運転士はさまざまな現場で需要があり、年齢を重ねても勤められます。試験の難易度も高すぎず、合格のためのポイントをわかりやすく教えているクレーン運転士学科試験準備講習も開催されているため、本記事を参考にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。