機械学習エンジニアの仕事内容を徹底解説!必要なスキル・向いている人の特徴も説明
AI技術の進化により、機械学習エンジニアの需要が高まっています。しかし、高度なスキルが求められるため「どこから始めればいいのか」「ついていけるか不安」という声もあるでしょう。
本記事では、機械学習エンジニアの仕事内容、必要なスキル、キャリアアップの方法をわかりやすく紹介します。
機械学習エンジニアとは
機械学習エンジニアとは、「AIエンジニア」の職種の一つで、コンピューターが自ら学んでいくアルゴリズムを実装・運用する専門家です。
身近な例を挙げると、機械学習によってスマートフォンの顔認識や音声アシスタント、オンラインショップのおすすめ商品などが実現できています。
機械学習エンジニアの主な役割は、膨大なデータセットから有用なパターンを見つけ出すこと、そしてこれらのパターンを利用して未来の出来事を予測したり、意思決定をサポートしたりするシステムを構築することです。
機械学習エンジニアの仕事内容
機械学習エンジニアの主な仕事内容は、以下の通りです。
- アルゴリズムの開発・実装
- 機械学習で使用するデータの収集・整形
- 機械学習を行うための環境構築
- 最新技術の調査・研究
アルゴリズムの開発・実装
機械学習エンジニアの核となる仕事は、データから学習して予測や分類を行うシステムを作ることです。そのために、データの種類や問題の性質に応じたアルゴリズムを選び、それをプログラミング言語で実装します。
また、システムの性能を最大限に引き出すためにどの情報を重視するか、どう設定するかなど(ハイパーパラメータ)を調整します。
機械学習で使用するデータの収集・整形
機械学習の基盤は、質の高いデータです。
エンジニアは必要なデータをさまざまな情報源から集めますが、集めたデータはそのままでは使えないことが多いため、誤ったデータの修正、欠けているデータの補完、重複データの削除などのクリーニング作業(データクレンジング)などを行います。
こうした前処理でデータの偏りや異常値を発見したり、有用な情報を抽出したりすることができます。
機械学習を行うための環境構築
機械学習エンジニアは、開発したシステムを正常に動かすための環境を整える役割も担います。例えば、世界中の人々が同時にサービスを利用しても快適に動作するよう、システムを設計し管理します。
大規模なデータを扱う場合、1台のコンピューターでは処理能力が足りないことがあるため、複数のコンピューターを連携させて使用することもあります。データを保存・管理するためのシステムも構築します。
さらに、開発したモデルを実際のサービスに組み込む作業や、システムの監視、性能の最適化なども行います。
最新技術の調査・研究
AI技術が進化するスピードは速いため、機械学習エンジニアは常に最新の動向をキャッチアップする必要があります。
新しい機械学習アルゴリズムやフレームワーク、ツールなどを調べ、これらを実際のプロジェクトに反映できるかどうかを研究します。また、学会や論文、技術ブログなどから情報を集めて、自身やチームのスキルアップに役立てましょう。
機械学習エンジニアに必要なスキル
機械学習エンジニアに必要な主なスキルは、以下の通りです。
- プログラミングスキル
- 学習ライブラリ・フレームワークに関する知識
- 数学・統計学に関する知識
- データプレパレーションスキル
- システム開発に関する知識
- データベース・セキュリティに関する知識
- クラウドに関する知識
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、機械学習エンジニアにとって最も基本的で重要なスキルです。
特にPythonやR言語が機械学習の分野でよく使われています。これらのプログラミング言語で、データの処理やアルゴリズムの実装、モデルの構築などを行います。
こうしたスキルを身につけるには、オンライン学習や書籍を活用し、実際にコードを書く練習を重ねることが大切です。また、GitHubなどでオープンソースプロジェクトに参加することも、スキルを磨くのに役立ちます。
学習ライブラリ・フレームワークに関する知識
機械学習エンジニアは、TensorFlowやscikit-learnなどの機械学習ライブラリを使いこなせる必要があります。
Googleが開発したTensorFlowは主に深層学習モデルの開発に使われ、画像認識や自然言語処理など複雑なAIシステムの構築に適しています。
一方、scikit-learnはPythonのオープンソースライブラリで、回帰分析やクラスタリングなどのデータ分析のタスクに利用されています。
数学・統計学に関する知識
機械学習の理論を理解し、データ分析を行うためには、統計学や線形代数などの数学に関する知識が必要です。こうした知識は、アルゴリズムの選択や最適化、モデルの評価などに役立つためです。
大学の数学や統計学の授業を受講したり、オンラインの数学コースを利用したりするといいでしょう。
データプレパレーションスキル
データプレパレーションは、rawデータ(情報源にある生のデータ)を機械学習アルゴリズムが使用できる形に整える作業です。データのクリーニング、特徴量エンジニアリング(予測精度を高めるための入力データ加工)、データの変換などが含まれます。
データプレパレーションスキルを身につけるためにはPandas、NumPyなどのデータ処理ライブラリの使い方を学び、実際のデータセットを使って練習することが大切です。
システム開発に関する知識
機械学習モデルを実際のアプリケーションやサービスに組み込むためには、ソフトウェア開発の知識が必要です。
ソフトウェアアーキテクチャ(設計図の作成)、デザインパターン(効率のよいソフトウェア作成)、バージョン管理(変更履歴の管理)などの知識・スキルが含まれます。
データベース・セキュリティに関する知識
機械学習プロジェクトでは、膨大なデータを効率よく管理し、セキュアに扱わなければなりません。そのため、データベース管理システム(DBMS)の知識や、データセキュリティの原則を理解することが重要です。
これらの知識を身につけるにはSQLなどのデータベース言語を学び、実際にデータベースを設計・運用する経験を積むことが大切です。また、データ保護やプライバシーに関する法規制についても学んでおく必要があるでしょう。
クラウドに関する知識
多くの機械学習プロジェクトはクラウド環境で実行されるため、AWS、Google Cloud Platform、Microsoft Azureなどのクラウドサービスの知識も欠かせません。
各クラウドプロバイダーが提供している無料のオンライントレーニングや認定資格を活用するといいでしょう。また、実際にクラウド上で機械学習プロジェクトを展開する経験を積むことも大切です。
機械学習エンジニアに向いている人の特徴
機械学習エンジニアに向いている人の特徴は、以下の通りです。
- プログラミングスキルがある人
- データ分析スキルがある人
- 論理的思考力がある人
- 新しいことを学ぶのが好きな人
プログラミングスキルがある人
ここまで触れたように、プログラミングスキルは機械学習エンジニアの基礎です。
アルゴリズムの実装やデータ処理、モデルの構築など、ほとんどの作業がプログラミングを通じて行われるため、コードを書くことに慣れている人は機械学習エンジニアに向いています。
特にPythonやRなどの言語に精通している人は、スムーズに仕事に取り組めるでしょう。
データ分析スキルがある人
機械学習は膨大なデータを扱います。そのため、データを適切に分析し、有用な情報を引き出せる人が機械学習エンジニアに向いています。
データの前処理や特徴量エンジニアリング、結果の解釈など、データ分析スキルはプロジェクトの成功に貢献するでしょう。
論理的思考力がある人
機械学習アルゴリズムの設計や問題解決には、論理的な思考力が欠かせません。
複雑な問題を細かく分解し、順序立てて解決策を見つけられる人は、機械学習エンジニアとして活躍できるでしょう。
また、数学や統計学を理解するだけでなく、その知識を実際の問題解決に役立てられる力も必要です。
新しいことを学ぶのが好きな人
好奇心旺盛で、自己学習能力の高い人は機械学習エンジニアに向いています。AI技術は日進月歩で進化しているため、常に新しいやり方や知識を学び続けることが大切です。
新たなアルゴリズムやツール、フレームワークなどに興味を持ち、積極的に学習できる人は、この分野で長く活躍できるでしょう。
機械学習エンジニアに関するよくある質問
以下では、機械学習エンジニアに関するよくある質問に回答します。
機械学習エンジニアの年収は?
厚生労働省のデータによると、AIエンジニアの年収は約558万円です。
機械学習エンジニアはAIエンジニアの中の職種の一つであるため、同程度の年収が期待できます。ただし、経験や技術力、勤務する企業によって大きく変動する可能性があります。
参照:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/325
機械学習エンジニアに必要な資格は?
資格取得は必須ではありませんが、以下の資格を持っていると有利です。
- 基本情報技術者試験
- G検定(ジェネラリスト)
- E資格(エンジニア)
- Pythonエンジニア認定試験
- 統計検定
基本情報技術者試験は、IT全般の基礎知識を証明する国家資格でプログラミングからネットワークまで幅広くカバーしています。
G検定(ジェネラリスト)は、AIと機械学習の基礎知識を評価する民間資格です。一方、E資格(エンジニア)はディープラーニングの専門知識と実装するスキルを証明する上級資格です。
Pythonエンジニア認定試験は、Python言語のスキルを証明します。統計検定は、データ分析や機械学習に欠かせない統計的思考力を証明できます。
機械学習エンジニアの将来性は?
機械学習エンジニアの将来性は高いと言えます。
生成AIの台頭をきっかけに世界中でAIへの注目が集まり、機械学習に関してもさまざまな産業で需要が増加しています。自動運転、医療診断、金融予測など、応用分野は広がり続けています。
主なキャリアパスとしては、データサイエンティスト(ビッグデータに基づく意思決定者)、プロダクトマネージャー、ITコンサルタントなどへ進むこともできます。また、起業してAI関連のスタートアップを立ち上げる選択肢もあるでしょう。
機械学習エンジニアはやめとけって本当?
機械学習エンジニアは難しい道かもしれません。勉強に時間がかかり、プログラミング言語だけでなく、複雑なアルゴリズムやツールの理解も求められます。
企業からの期待も高く、即戦力として成果を出すプレッシャーもあります。人材不足のため、ハードワークになりがちで、残業や休日出勤も珍しくありません。
しかし、機械学習エンジニアは将来性のある魅力的な職業です。高い収入やニーズがあるだけでなく、技術の進歩に貢献し、社会に大きなインパクトを与える可能性があります。学習意欲が高く、挑戦を楽しめる人にとってはやりがいのある仕事です。
機械学習エンジニアは未経験でもなれる?
未経験からの機械学習エンジニアへの転職はハードルが高いですが、可能性はあります。一部の企業では未経験者向けの求人も存在します。ただし、プログラミングやデータ分析の基礎的なスキルを応募条件とされる場合があるでしょう。
粘り強く学習を続け、チャンスを逃さず応募することで、機械学習エンジニアになる道が開けるかもしれません。
まとめ
機械学習エンジニアは、コンピューターが自ら学んでいくシステムを開発・実装する専門家で、プログラミングスキルや数学的知識などが必要です。将来性が高く年収も魅力的な仕事と言えます。
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