PHPの将来性は?やめとけ・時代遅れと言われるのはなぜ?需要の高さを解説
プログラミングを学習するにあたり、どのプログラミング言語を学ぶべきか悩んでいる方もいるでしょう。数多く存在しているプログラミング言語の中で、初心者に向いていると言われているのが「PHP」です。しかし、PHPは「やめとけ」「時代遅れ」と言う声も一部見られます。
本記事では、PHPがネガティブに捉えられている理由を踏まえ、将来性やPHPエンジニアとして年収アップする方法、転職のコツなどを解説します。
PHPとは
PHPとは、主にWebサイトやWebアプリケーションの開発に用いられるプログラミング言語です。主なプログラミング言語として、HTML、JavaScript、Python、Javaなどがありますが、PHPはWeb開発に特化しているという点が大きな特徴といえます。
また、PHPは、Webサイトの開発でよく使用されている「WordPress」の構成プログラミング言語としても有名です。HTMLと組み合わせて使用できるだけでなく、同じURLでもアクセスするたびに文章や画像が変わる「動的なWebページ」が生成できます。
PHPは「やめとけ」、「時代遅れ」と言われるのはなぜ?
WebサイトやWebアプリケーション開発で広く使用されているPHPですが、「やめとけ」、「時代遅れ」とも言われています。なぜPHPがマイナスに捉えられているのか、主な理由は以下の5点です。
- セキュリティ面に不安がある
- Pythonの人気が高まっている
- 独特の難しさがある
- 大規模開発には向かない傾向がある
- Web以外の分野では活躍が難しい面がある
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
セキュリティ面に不安がある
シンプルな構文が特徴でもあるPHPは、サイバー攻撃に弱い傾向があります。
他のプログラミング言語よりも自由にコードを記述できる反面、不完全なコードでも発動してしまう恐れがあるため、セキュリティ面への不安が懸念されているというわけです。
PHPのセキュリティ対策として、PHPのバージョンを最新に保ち続ける必要があります。
Pythonの人気が高まっている
ビッグデータの収集と分析、AIの機械学習分野、仮想通貨のプロックチェーンなど幅広い用途で使用されているプログラミング言語「Python」に人気が高まっているのも、PHPが時代遅れと言われている理由の1つです。
アメリカのアナリスト企業「RedMonk」が発表したプログラミング言語ランキング(2023年第1四半期)によると、第1位のJavaScriptに続き、Pythonが第2位にランクインしています。
Pythonは汎用性が高く、言語がシンプルという面で人気が高まっていますが、日本では広まり始めたばかりということもあり、日本語で読める情報が少ないという点がデメリットです。
出典:RedMonk|プログラミング言語ランキング:2023年1月(英語)
独特の難しさがある
PHPは自由度の高さが大きなメリットとなりますが、自由度が高い分だけ独特の難しさを感じやすい傾向にあります。
前述したように、コードをしっかり記述しなければエラーが発生したり、エンジニアによって記述の仕方が変わったりするからです。複数人で開発を行う場合は、PHPに関するコーディングルールを定めたほうがいいでしょう。
大規模開発には向かない傾向がある
PHPはエンジニアによって記述の仕方が変わることもあるため、大規模開発に向いていないと言われています。
また、PHPはインタプリタ型言語(※1)になるため、実行速度が遅めです。大規模開発では実行速度の速さが重要なカギですので、PHPは大規模開発に向かない傾向があります。
ただし、絶対に大規模開発ができないというわけではありません。コーディングルールを設け、エンジニア間でしっかりと共有すれば大規模開発が可能です。PHPの実行速度も改善傾向にあります。
(※1)人間が書いたプログラムをコンピューターが機械語に変換しながら、同時に実行していくプログラミング言語。
Web以外の分野では活躍が難しい面がある
Web特化型のプログラミング言語になるため、AIやスマートフォンアプリの開発などWeb以外の分野では活躍が難しくなっています。Web上のページとスマートフォンで使用するアプリでは、開発の仕方に明確な違いがあるからです。
アプリやAIの市場においてPHPの活躍は見込めませんが、逆にWeb市場ではPHPが大いに活躍しています。
PHPの将来性が高いとされる5つの理由
ここでは、PHPの将来性が高いとされる理由を紹介します。主に挙げられる理由は、以下の5つです。
- 需要がある
- 初心者でも学習しやすい
- システムの保守で活躍する
- スキルにより年収を上げやすい
- 独立したときも役立つ
それぞれ詳しく説明します。
需要がある
PHPは、「WordPress」を構成しているように、身近なWebサービスなどに利用されています。Webに特化したプログラミング言語だからこそ、WebサイトやWebアプリケーションの開発においては非常に需要が高いプログラミング言語です。
初心者でも学習しやすい
PHP自体は需要が高いため、インターネットや書籍で情報が得やすく、初心者でも学習しやすいというメリットがあります。OSにも制限がないので、MacやWindowsに標準搭載されているツールで気軽に開発できるのも大きなメリットです。
システムの保守で活躍する
PHPは開発だけでなく、システムの保守でも活躍できるプログラミング言語です。システムに何らかの異常が発生した場合、適切かつ迅速な対応はもちろん、正常な状態を保つためのメンテナンスが必要となります。
PHPを用いたシステムの運用保守などで、PHPプログラミングの需要も安定します。
スキルにより年収を上げやすい
ECサイト制作や業務システム開発、Webアプリケーション開発などで使用されているPHPは、スキルを高めた分だけ年収も上げやすい傾向があります。
PHPの案件はWeb上で動くものがほとんどですので、インターネットが普及し続ける限り、PHPエンジニアの需要は下がりません。また、PHP以外にもさまざまなプログラミング言語を取得すれば、用途に合わせて組み合わせたり、さまざまなニーズに応えたりできるでしょう。
独立したときにも役立つ
PHPは独立したときにも大いに役立ちます。たとえば、プログラミング開発会社に属していた経験とスキルを活かし、クラウドソーシングや中小規模の開発にフリーランスとして携わることが可能です。
実際に、Lancers(ランサーズ)、CrowdWorks(クラウドワークス)など、代表的なクラウドソーシングでは、PHPを用いたWebサイトの開発や運用保守、不具合修正の依頼が多く存在しています。
PHPエンジニアで年収アップを目指すための方法は5つ
では、PHPエンジニアで年収アップを目指すには、どのような点に注目すればいいのでしょうか。主な方法は以下の5つとなります。
- PHPの上位ポジションの経験を重ねる
- PHP以外の言語を習得する
- PHPエンジニアに役立つ資格を取る
- サーバ・フレームワークの学習をする
- 幅広い作業フェーズを経験する
PHPの上位ポジションの経験を重ねる
PHPエンジニアの中でも、プロジェクトリーダーやマネージャーといった上位ポジションの経験が年収に影響します。責任のある立場で働いたという経験は自分の自信にも繋がり、さまざまな開発現場で重宝されるでしょう。
特に、プロジェクトリーダーとして、他のPHPエンジニアを率いた経験は年収アップに繋がります。
PHP以外の言語を習得する
前述したように、PHP以外のプログラミング言語を習得することは、PHPエンジニアとしての将来性が高まるだけでなく、年収アップが期待できる要素の1つです。
PHPと組み合わせて使用されることが多いHTMLはもちろん、人気度が高いPythonやava、Rubyなどが好まれる傾向にあります。
PHPエンジニアに役立つ資格を取る
PHPエンジニアに役立つ資格を取得するのも、年収アップを目指す方法の1つです。たとえば、PHP技術者認定(初級・上級・準上級)、PHP技術者認定ウィザード、情報処理技術者試験などがあります。
中でも、PHP技術者認定ウィザードは、PHPに関する資格の最上位です。
サーバ・フレームワークの学習をする
PHP以外に、サーバやフレームワークなどのスキルを身につける方法もあります。PHPの開発環境であるLAMPや、Laravelなどのフレームワークを学ぶことで、要求定義・外部設計といった上流工程で役立ちます。
幅広い作業フェーズを経験する
PHPエンジニアでも、コーディングや運用、上流工程となる外部設計・要件定義など、工程はたくさんあります。幅広い作業工程を経験することは、エンジニアとしての将来性を高める大切なポイントです。
また、幅広い作業を経験しているエンジニアは、転職先の幅も広がります。
PHPエンジニアが転職するときの3つのコツ
PHPエンジニアが転職するときに押さえておきたいコツは、以下の3点です。
- PHPエンジニアとしての経験が浅いならスキルを上げる
- PHPエンジニアとしての経験が3年〜5年なら経験を重視する
- PHPエンジニアのリーダー経験があるなら管理能力を高める
上記のように、PHPエンジニアとしてどのくらいの経験があるかによって、転職のポイントも異なります。
PHPエンジニアとしての経験が浅いならスキルを上げる
経験が1年程度の駆け出しPHPエンジニアは、まだ経験が浅いので、スキルアップに力を入れましょう。
コロナ禍を経て、DXに取り組む企業が増加傾向にあると同時に、エンジニアの人手不足が深刻になっています。エンジニアの育成に力を入れる企業が増えてきているので、スキルアップサポートや育成を行っている転職先を探してみてください。
PHPエンジニアとしての経験が3年~5年なら経験を重視する
3年〜5年というある程度の経験を重ねてきたPHPエンジニアは、これまで経験してきたプロジェクトの内容や案件、使用したサーバやワークフレーム、開発言語など実務経験が重要視されます。
職場で培ってきたスキルと経験をいかにアピールできるかに、転職の成功がかかっていると言えるでしょう。
PHPエンジニアのリーダーの経験があるなら管理能力を高める
PHPエンジニアのリーダーとして経験がある方は、自己管理能力を高めることがポイントです。
自分の業務を把握するのはもちろん、リーダーとしてメンバーやスケジュールの管理など、進捗管理のスキルが求められるようになります。その他、エンジニアの管理職に求められるのは、コミュニケーション能力、決断力、リーダーシップ、テクニカルスキルなどです。
まとめ
PHPは、WebページやWeb上のアプリケーション開発において幅広く使用されているプログラミング言語です。PHPは「やめとけ」、「時代遅れ」と言われることもありますが、コロナ禍を経てDXなどITに力を入れている企業は多く、PHPの需要は安定しています。PHPは開発だけでなく、運用保守にも使用されているため、PHPエンジニアは将来的にも需要があると言えるでしょう。ただしPHPエンジニアとして長く活躍し続けるには、PHP以外の言語を習得したり、さまざまなフェーズを経験したりする必要があります。