修士卒が研究職に就くためのポイント!向いている人やおすすめ就職先も紹介
修士課程は、研究者への第一歩として重要なステップです。博士課程への進学を目指す人も、企業で研究開発に携わることを希望する人も、修士課程での学びは将来のキャリアにとって大きな意味を持つでしょう。
しかし、実際のところ、修士課程を卒業するとどのような企業へ就職できるのか、不安に思う人もいるでしょう。
本記事では、修士卒の研究職への就職に関して掘り下げて解説していきます。
【前提】修士卒でも研究職に就職するのは難しい
結論から言うと、修士卒でも研究職に就職するのは狭き門です。
文部科学省が発表した「令和3年度学校基本調査」によると、進学先ごとの研究職への就職率は以下のとおりです。
- 学士:57,666人/170人(ほぼ0%)
- 修士:31,864人/1,783人(約5%)
- 博士:3,079人/418人(約13%)
このデータによると、特に公的機関への就職は博士卒がほとんどとなっています。研究職がそれだけ簡単に就職できる職種ではないことが理解できたかと思います。
修士卒研究職の主な就職先3選
では、研究職を希望する修士卒の人は、実際にどういったところへ就職しているのでしょうか?
主な就職先は以下の3つです。
- 国や地方自治体の研究所
- 大学
- 民間企業
国や地方自治体の研究所
国や地方自治体が運営する研究所は、営利目的の研究は行わず、公共の利益を目的とした研究に注力しています。具体的には、国立感染症研究所や科学警察研究所などが挙げられます。
環境保護や公衆衛生、エネルギー政策、農業技術など、幅広い分野が含まれます。公的な研究機関での仕事は安定性が高く、長期的な研究に携わることが可能です。
とはいえ修士卒での就職は難易度が高く、博士課程を修了していることが望ましいです。
大学
大学での研究職は、基礎研究から応用研究まで、学問の探求に焦点を当てた職務です。ポスドクと呼ばれる職種に就くのが一般的です。
大学院で修得した専門知識を深めながら、次世代の学生たちに知識を伝える教育も担います。大学の研究職は自由度が高く、自分の興味に基づいて研究テーマを選ぶことが多いですが、研究資金の確保や学術的な成果の発表が求められることもあります。
大学の研究職についても、修士卒よりも博士卒のほうが就職しやすい環境です。
民間企業
民間企業における研究職は、新しい製品の開発や既存製品の改良、技術的な問題解決など、会社の商業目標を支える研究に従事します。特に技術革新が求められる業界、例えばバイオテクノロジー、製薬、情報技術、エネルギーなどがあります。
民間企業での仕事は成果が直接ビジネスの成功に結びつくため、実用性と効率が強調されます。また、修士卒でも比較的就職しやすいことが特徴です。
修士卒で研究職に向いている人の特徴
修士卒で研究職に向いている人の特徴は、主に以下の4つです。
- 集中力・忍耐力がある
- 探求心が強い
- 切り替えが早い
- コミュニケーション力がある
集中力・忍耐力がある
研究職では、長時間にわたり同じ問題に取り組むことが多いため、集中力と忍耐力が必須です。
研究は時間がかかるプロセスであり、期待通りに進まないこともしばしばあります。このような状況でも継続して取り組むことができる耐性が求められます。
探究心が強い
好奇心と探求心は研究職において非常に価値がある資質です。
新しい知識を追求し、未知の領域に挑む意欲が研究開発の推進力となります。修士卒であれば、専門分野に対する深い知識と共に、さらなる探求への情熱が求められるでしょう。
切り替えが早い
研究においては、予期せぬ結果に直面することが多く、計画の変更や新しいアプローチへの迅速な切り替えが必要になることがあります。
このような柔軟性と迅速な判断能力は、研究職において非常に重要です。
コミュニケーション力がある
研究成果を共有し、他の研究者と協力するためには、効果的なコミュニケーションスキルが不可欠です。
論文の執筆、プレゼンテーションの実施、また同僚や協力機関との調整など、多岐にわたるコミュニケーションが求められます。このスキルが研究職の効率と影響を大きく左右します。
修士卒が研究職として就職しやすい業界4選
修士卒が研究職として就職しやすい業界は、主に以下の4つです。
- IT業界
- 自動車業界
- 食品業界
- インフラ業界
IT業界
IT業界は、技術の急速な進化とともに、革新的な研究開発を続けています。特に注目されている分野は、人工知能(AI)、機械学習、データサイエンス、セキュリティ技術、ソフトウェア開発などです。
修士卒は、専門的な技術や理論を活かし、新しい製品開発やサービスの改善に貢献することが期待されます。IT業界は、革新的なアイデアと技術が重視されるため、研究職として高い需要があります。
自動車業界
自動車業界では、環境に優しい技術、自動運転、コネクテッドカーなどの研究が進んでいます。これらの技術は、安全性の向上やエネルギー効率の改善に貢献することが期待されており、修士卒はその専門知識を生かして、次世代の自動車技術の開発に携わることが可能です。
自動車業界は、エンジニアリングや物理学、材料科学などの分野で高度な研究が行われています。
食品業界
食品業界では、食品安全、栄養学、新商品の開発、持続可能な食品生産技術など、幅広い研究が行われています。
修士卒は、化学や生物学、栄養学などの専門知識を活かし、健康的で安全な食品の研究に貢献できるでしょう。食品業界は、消費者の健康と環境への配慮が求められるため、これらの分野での研究職の需要は増えています。
インフラ業界
インフラ業界では、エネルギー、交通、水資源管理など、社会基盤の維持と改善に関連する研究が重要です。
修士卒は、土木工学、環境工学、電気工学などの分野で、持続可能なインフラの開発や最適化に貢献することが期待されます。
この業界は、技術的な革新だけでなく、環境への影響を最小限に抑える持続可能な解決策の開発が求められています。
修士卒の研究職に関するよくある質問
ここからは、修士卒の研究職についてよくある質問に回答していきます。
研究職の年収はいくら?
求人サイトによると、平均は547万円程度となっています。大手企業では1,000万円を超えるケースもあるようです。修士卒か博士卒かでも年収に開きが出てくるでしょう。
修士卒業後の進路は?
大学院の修士課程を修了した後の主な進路は、就職するケースと博士課程へ進学するケースの2パターンです。特に理系の修士卒であれば、民間企業へ就職する場合は研究職のほか、開発職へ進むことが多いでしょう。
まとめ
今回は、修士卒が研究職に就職するケースについて深堀して解説してきました。国の機関や大学の研究職に関しては修士卒でも就職は難しいため、博士課程を終えていることが望ましいです。民間企業であれば、修士卒でも比較的就職しやすいです。なかでも、IT業界、自動車業界、食品業界、インフラ業界は就職しやすいとされています。
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