半導体エンジニアがやめとけと言われる3つの理由!年収や将来性についても解説
ここ数年、半導体業界は活況を迎えています。給与水準の高さや、最先端技術に携われる魅力から「半導体エンジニアになりたい」という声も多く聞かれます。しかし、ときには「半導体エンジニアはやめとけ」という声を耳にすることもあるでしょう。これは、なぜでしょうか。
本記事では、半導体エンジニアという職業の実態に迫り、将来性や向いている人の特徴を詳しく解説していきます。
半導体エンジニアが「やめとけ」と言われる3つの理由
半導体エンジニアが「やめとけ」と言われる理由として、主に以下の3点が挙げられます。
半導体業界に将来性がないとされている
半導体エンジニアが敬遠される理由のひとつとして、業界の将来性への不安が挙げられます。確かに半導体は現代のデジタル社会を支える重要な基盤技術ですが、製造拠点の海外シフトが加速し、国内での開発・製造機能は縮小傾向にあります。かつて日本が世界をリードしていた半導体産業も、現在は台湾や韓国、中国の後塵を拝する状況となっています。
このような産業構造の変化に伴い、国内エンジニアの活躍の場が限られつつあることも懸念材料です。さらに、技術革新のスピードが速く、常に最新の知識やスキルの習得が求められる一方で、その努力が必ずしもキャリアの安定性や待遇の向上につながらないというジレンマも存在します。経験を積んでも、より良い条件での転職機会が限られるという現実も、この職種を躊躇する要因となっているのです。
人手不足で激務になりがち
半導体エンジニアが避けるべき職業とされる理由には、深刻な人材不足による過酷な労働環境があります。半導体産業の急速な発展と需要の高まりに対し、経験豊富なエンジニアの数が圧倒的に不足しているのが現状です。その結果、一人のエンジニアが抱える業務量は増大の一途をたどり、長時間労働や休日出勤が常態化しています。
また、技術の進歩が速く、常に新しい知識や技術の習得が求められる一方で、十分な学習時間を確保できないというジレンマも存在します。経験者不足により、本来なら段階的に身につけるべき技術を短期間で習得することを強いられ、メンタル面での負担も大きくなっています。
労働環境が過酷になりやすい
半導体エンジニアがやめとけと言われる要因には、過酷な労働環境も影響しています。特に製造現場では、24時間稼働の工場に合わせたシフト勤務が一般的で、深夜勤務や休日出勤も頻繁に発生します。また、クリーンルーム内での作業は、防護服の着用が必須となり、長時間の立ち仕事や細かな作業の連続による身体的な負担も大きいものです。
さらに、製品の歩留まりや品質管理への要求は極めて厳しく、わずかなミスも許されない緊張感の中で働き続けなければなりません。装置トラブルやライン停止などの緊急事態が発生すれば、すぐに対応しなければならず、プライベートな時間が突如奪われることも珍しくありません。
半導体エンジニアは将来性が高い仕事
半導体エンジニアの将来性は、むしろ非常に有望だと言えます。デジタル社会の進展に伴い、あらゆる電子機器に不可欠な半導体の需要は今後も拡大の一途を辿ると予測されています。
これに伴い、半導体エンジニアの求人は着実に増加しており、業界全体で人材不足が深刻化しています。経験者はもちろん、未経験者でも研修制度が充実した企業が増えており、キャリア形成のチャンスは広がっているでしょう。給与水準も高く設定される傾向にあり、技術力を磨けば安定した収入を期待できます。
確かに労働環境には課題もありますが、将来性という観点では、半導体エンジニアは極めて魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。
半導体エンジニアに向いている人の特徴
半導体エンジニアに向いている人の特徴は、大きく分けて以下の3つです。
ものづくりに興味関心がある人
半導体エンジニアとして活躍するには、何よりもものづくりへの純粋な情熱と探究心が重要です。半導体製造は、目に見えない微細な世界での精密な加工と制御が求められ、その製造工程は数百にも及びます。そのため、製品が完成するまでの過程に強い興味を持ち、一つ一つの工程の意味や影響を理解したいという知的好奇心が必要です。
また、製造装置や製造条件の微調整を繰り返しながら、より良い製品づくりを追求する粘り強さも求められます。時には予期せぬトラブルに直面することもありますが、それを面倒と感じるのではなく、改善の機会として前向きに捉えられる姿勢が大切です。
最新技術に関わってみたい人
半導体エンジニアは、最新のテクノロジーの最前線で活躍できる職種です。特に、半導体技術は日進月歩で進化を続けており、新しい製造プロセスや材料、設計手法が次々と開発されています。そのため、常に最新の技術動向にアンテナを張り、新しい知識を吸収することに喜びを感じられる人に向いています。
また、AI、IoT、自動運転など、世界を変える革新的な技術の基盤となる半導体の開発に携われることは、技術者冥利に尽きる経験となるでしょう。さらに、国際的な企業との協業も多いため、グローバルな視点で技術革新に貢献したいという意欲のある人にとっては、やりがいのある職場となります。
ただし、技術の進歩が速いため継続的な学習と自己研鑽が求められます。新しい課題に対して強い好奇心と探究心を持って取り組める人が、半導体エンジニアとして成功する可能性が高いと言えます。
コミュニケーション力がある人
半導体エンジニアには、高度な技術力だけでなく、優れたコミュニケーション能力を持つ人が特に適性があります。半導体製造は多岐にわたる工程を経る複雑なプロセスであり、設計、製造、検査、品質管理など、様々な部門のメンバーと密接に連携する必要があるためです。
また、装置メーカーや材料サプライヤーとの折衝も頻繁に発生し、技術的な課題や仕様について正確に情報を共有し、建設的な議論を行うことが求められます。さらに、海外企業との取引も多いため、グローバルなコミュニケーション能力も重要です。
問題が発生した際には、状況を分かりやすく説明し、関係者と協力して迅速な解決策を見出す必要があります。このように、半導体エンジニアは、専門知識を他者と共有し、チームワークで成果を上げられる人が向いている職種といえるでしょう。
半導体エンジニアに関するよくある質問
ここからは、半導体エンジニアについてよくある質問に回答していきます。
半導体エンジニアの年収は?
一般的に、半導体エンジニアの年収は他の業種と比較して高めの傾向です。平均年収は688.2万円(※1)となっており、日本の平均年収が460万(※2)なので、高収入といえるでしょう。
半導体エンジニアとひと口に言っても、大企業と中小企業とでは、基本給や昇給率が異なるため、年収に差が生じます。外資系企業の場合、日本企業と比較して高額な報酬体系を採用していることがあります。
参照:厚生労働省「jobtag」(※1)
国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査(※2)
半導体エンジニアになるためには資格がいるの?
半導体エンジニアになるために必ずしも特定の資格が必要というわけではありません。大学で電気電子工学や情報工学などを学び、専門知識を身につけることが基本です。しかし、いくつかの資格を取得することで、専門性をアピールしたり、キャリアアップに繋げたりすることが可能です。
半導体エンジニアにおすすめの資格には、以下のようなものがあります。
- 半導体技術者検定:半導体に関する幅広い知識を問われる資格で、特に専門性を示したい場合におすすめです。
- デジタル技術検定:デジタル回路設計に関する知識を評価する資格です。
- CAD利用技術者試験:CADソフトの操作スキルを証明する資格です。
- 半導体製品製造技能士:半導体製造に関する実務能力を評価する国家資格です。
- 情報処理技術者試験:プログラミングやシステムに関する知識を評価する資格で、幅広い分野で役立ちます。
半導体エンジニアに求められるスキルは?
半導体エンジニアには、技術面とソフトスキルの両方が求められます。技術面では、電気・電子工学の基礎知識、半導体の物性や製造プロセスの理解、プログラミング能力、測定・分析技術が必要です。
また、コミュニケーション力や問題解決能力といったソフトスキルも重要で、特にチームワークや製造現場でのトラブル対応には欠かせません。これらのスキルは実務を通じて段階的に習得していきましょう。
半導体エンジニアは未経験でもなれる?
近年は半導体業界の人材不足を背景に、多くの企業が未経験者の採用と育成に積極的です。
特に大手メーカーでは、充実した研修制度を設けており、電気・電子工学の基礎から、製造プロセス、品質管理まで、体系的に学べる環境が整っています。また、OJTを通じて、実践的なスキルを段階的に習得できる仕組みも確立されています。
ただし、全くの未経験者の場合、理工系の学部卒以上であることが求められることが多いです。また、入社後は地道な基礎学習と実務経験の積み重ねが必要となります。
まとめ
半導体エンジニアは、最先端技術に携わり高給が期待できる魅力的な職種として注目を集めています。一方で「やめとけ」という声も聞かれ、その背景には過酷な労働環境の存在があります。24時間稼働の製造現場でのシフト勤務や、クリーンルームでの長時間の立ち仕事、緊急対応による不規則な勤務など、身体的・精神的負担が大きいことが課題として挙げられます。
しかし、デジタル社会の発展に伴い、半導体需要は拡大傾向にあり、業界の将来性は極めて有望です。さらに、ものづくりへの情熱、最新技術への探究心、優れたコミュニケーション能力を持つ人にとっては、やりがいのあるキャリアパスとなり得ます。確かに課題はありますが、適性のある人にとっては、検討に値する魅力的な選択肢と言えるでしょう。
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