三交代制とはどのような働き方?メリット・デメリットやシフト例についても解説
私たち現代社会において、24時間365日稼働し続けるサービスや施設は不可欠な存在となっています。そんな中で重要な役割を果たしているのが「三交代制」という勤務形態です。
病院や工場、警察、消防など、途切れることなく運営を続けなければならない現場で採用されている三交代制について、その仕組みと特徴を解説していきます。
三交代制とはどのような勤務形態?
三交代制とは、24時間を主に日勤・準夜勤・深夜勤の3つの時間帯に分け、従業員が交代で勤務する働き方です。一般的に日勤は朝8時から夕方16時頃、準夜勤は16時から深夜0時頃、深夜勤は0時から朝8時頃までという形で分かれています。
この勤務形態は、製造業の工場だけでなく、24時間体制での対応が必要な病院や介護施設、ホテル、コンビニエンスストアなど、様々な業界で採用されています。
二交代制が1日を昼と夜の2つの時間帯に分けて勤務するのに対し、三交代制は1回の勤務時間が比較的短くなるため、労働者の身体的負担が軽減されるというメリットがあります。
特に、深夜帯を含む長時間勤務による疲労やストレスを軽減できる点で、働く人の健康管理の面で優れた勤務形態とされています。
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三交代制がやめとけと言われる理由3つ
三交代制が「やめとけ」と言われる理由は、主に以下の点にあります。
- 生活リズムが不規則になりがち
- 家族や友人との予定を合わせにくい
- 長期休暇を取りにくい
生活リズムが不規則になりがち
三交代制では、勤務時間帯が週単位で変動するため、睡眠や食事の時間が一定せず、体内時計が乱れやすい状態が続きます。例えば、今週は日勤で朝型の生活をしていても、翌週は深夜勤務となれば、生活リズムを180度変更しなければなりません。
人間の体は急激な生活リズムの変更に適応することが難しく、このような不規則な生活が続くことで、良質な睡眠が取れなくなります。
このような生活リズムの乱れは、単なる疲労感だけでなく、深刻な健康上のリスクをもたらす可能性があります。不規則な食生活による胃腸の不調や肥満、睡眠不足による集中力低下や免疫力の低下、さらには生活習慣病やメンタルヘルスの悪化にもつながりかねません。
また、家族との時間が取りにくくなることでワークライフバランスが崩れ、社会生活にも支障をきたす可能性があります。
家族や友人との予定を合わせにくい
三交代制の最大の課題は、一般的な生活リズムとの大きなズレにより、家族や友人との時間を確保することが難しくなる点です。多くの人が活動する日中に深夜勤務明けで睡眠を取らなければならなかったり、友人が休みである週末に準夜勤や深夜勤のシフトが入ったりすることで、社会的な活動に参加する機会が著しく制限されてしまいます。
例えば、子どもの運動会や授業参観といった学校行事、友人との食事会や旅行の計画も、シフトの都合で参加できないことが頻繁に発生します。また、シフトが毎週変わることで生活リズムが一定せず、家族との食事の時間も合わせづらいです。
このような社会的孤立は、単なる不便さだけでなく、精神的にも悪影響を及ぼす可能性があり、長期的なキャリアを考える上で重大な懸念事項となっています。
長期休暇を取りにくい
三交代制では、勤務シフトを組む際に各時間帯に必要な人員を確保する必要があるため、長期休暇の取得が困難になります。特に、医療現場や介護施設など、専門的なスキルが必要な職場では、代替要員の確保が容易ではありません。一人が長期休暇を取得すると、残りのスタッフの負担が著しく増加し、過重労働や疲労の蓄積につながる可能性があります。
また、休暇を取得する際は、事前に同僚との調整が必要で、他のスタッフの予定や希望と重なると調整が難しくなります。さらに、夜勤や休日出勤の代替要員を確保する必要があるため、連続した休暇の取得が特に困難です。
このような状況は、ワークライフバランスの崩壊や心身の疲労につながり、最終的に離職となりかねません。
三交代制で働くメリット4つ
三交代制は、生活リズムが大きく変わり、健康面や社会生活に影響を与える可能性がある一方で、以下のようなメリットも存在します。
- 夜勤に入れば給与が高くなる
- 残業が少ない
- 平日の日中を有効活用できる
- 通勤ラッシュに巻き込まれにくい
夜勤に入れば給与が高くなる
三交代制の大きな利点として、給与面でのメリットが挙げられます。労働基準法では、深夜時間帯である22時から翌朝5時までの勤務に対して、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが事業主に義務付けられています。
この規定により、深夜勤務のシフトに入ることで、基本給に加えて割増賃金を受け取ることができ、結果として月収を増やすことが可能です。
特に、休日の深夜勤務の場合は、休日割増と深夜割増が合算され、さらに高い割増率が適用されることもあります。このため、三交代制で働く人々は、自身のライフスタイルに合わせてシフトを選択することで、効率的に収入を増やすことができます。
残業が少ない
三交代制のメリットとして、残業時間が少ない点も挙げられます。一般的に三交代制の職場では、1日24時間を8時間ずつの3つのシフトに明確に区切って運営されています。
例えば、日勤帯(8時〜16時)で仕事をしている場合、16時になれば準夜勤のスタッフが出勤してきて業務を引き継ぐため、必然的に残業が発生しにくい環境となります。また、引き継ぎ時間も勤務時間内に組み込まれているため、時間外労働を強いられることが少なくなります。
このように、次の時間帯の従業員との引き継ぎを前提とした勤務システムであることから、定時での帰宅が実現しやすく、労働時間の管理がしやすいという利点があります。
平日の日中を有効活用できる
三交代制のメリットの一つは、平日の日中に自由な時間を確保できることです。日勤以外のシフトに入っている場合や休日の場合、平日の日中が空くため、一般的な9-5の勤務では難しい用事を済ませることができます。
例えば、役所での各種手続きや銀行取引、病院の通院といった、平日の営業時間内でしか対応できない用事を比較的スムーズに行うことが可能です。
また、平日の日中は混雑が比較的少ないため、ショッピングやジムなども快適に利用できます。育児中の場合は、保育園の送迎や学校行事への参加なども、シフトを調整することで対応しやすくなります。
通勤ラッシュに巻き込まれにくい
三交代制のメリットには、朝の通勤ラッシュを避けられる可能性が高いこともあります。準夜勤の場合、出勤時間が午後になるため、混雑する朝の電車やバスを利用する必要がありません。また、夜勤シフトでは深夜から早朝にかけての勤務となるため、通勤時の人混みをほぼ完全に回避することができます。
満員電車でのストレスや疲労を軽減でき、より快適な通勤が可能です。特に大都市圏では、朝の通勤ラッシュ時の混雑は深刻で、体力的にも精神的にも大きな負担となりますが、三交代制ではこの問題から解放されます。
三交代制で健康的に働くために意識すべき注意点
三交代制は、高収入が期待できる一方で、健康への影響が懸念される働き方です。健康的に働くためには、以下の注意点を守ることが重要です。
- 食事・睡眠をきちんと摂る
- 休日はきちんと体を休める
- シフトがしんどいときは職場に相談する
食事・睡眠をきちんと摂る
三交代制で健康を維持するためには、規則正しい食事と十分な睡眠の確保が重要です。特に夜勤時は、生活リズムが乱れやすいため、意識的に食事時間を設定し、栄養バランスの取れた食事を摂ることが必要です。深夜帯の食事は消化に負担がかかりやすいため、軽めの食事を選び、カフェインの過剰摂取は避けましょう。
睡眠については、夜勤明けは昼夜が逆転するため、寝室を暗くし、耳栓やアイマスクを活用して良質な睡眠環境を整えることが大切です。
また、シフト変更の際は体内時計の調整が必要となるため、次のシフトに備えて徐々に睡眠時間をずらしていく工夫も効果的です。これらの習慣を意識的に続けることで、体調管理が維持でき、長期的な健康障害のリスクを軽減することができます。
休日はきちんと体を休める
三交代制で健康を維持するためには、休日の過ごし方も意識しましょう。特に夜勤明けの休日は、単に寝て過ごすだけでなく、質の高い睡眠を確保することが必要です。そのためには、部屋を暗くして外からの光を遮断し、睡眠環境を整えることが大切です。また、SNSやスマートフォンの使用を控えめにし、体内時計の乱れを最小限に抑えるよう心がけましょう。
さらに、休日には適度な運動や趣味の時間を設けることで、心身のリフレッシュを図ることも重要です。ただし、激しい運動は逆効果となる可能性があるため、ウォーキングなど軽めの運動がおすすめです。
休日を「ただ休む日」ではなく、「次の勤務に向けて体調を整える大切な時間」として意識的に過ごすことが、三交代制での長期的な健康維持につながります。
シフトがしんどいときは職場に相談する
三交代制で健康的に働き続けるためには、体調の変化に素直に向き合い、無理が生じた際は速やかに職場に相談しましょう。特に夜勤や深夜勤務は、体内リズムの乱れを引き起こしやすく、睡眠障害や慢性的な疲労感につながる可能性があります。このような症状を感じ始めたら、我慢せずに上司や人事担当者に相談し、シフトの調整を依頼することが望ましいでしょう。
多くの職場では、従業員の健康管理を重視しており、個々の状況に応じてシフトの見直しや一時的な勤務時間の調整などの対応をしてもらえるはずです。早めの相談は、深刻な健康問題の予防になるだけでなく、長期的なキャリア継続にもつながります。
三交代制に関するよくある質問
ここからは、三交代制についてよくある質問に回答していきます。
三交代制のシフト例を教えてください
三交代制のシフト例は、企業や業種によって様々ですが、一般的には以下の3つのシフトに分かれます。
- 日勤:通常の昼間の時間帯に勤務するシフト
- 準夜勤:日勤と夜勤の間の時間帯に勤務するシフト
- 夜勤:夜間の時間帯に勤務するシフト
一つの例として、以下のようなシフトが考えられます。
曜日 | 日勤 | 準夜勤 | 夜勤 |
---|---|---|---|
月 | 8:00~16:00 | ||
火 | 16:00~24:00 | ||
水 | 24:00~8:00 | ||
木 | 8:00~16:00 | ||
金 | 16:00~24:00 | ||
土 | 24:00~8:00 | ||
日 | 休日 |
三交代制と二交代制はどちらがきついですか?
二交代制と三交代制のどちらがきついかは、個人の生活リズムや体力、家庭環境などによって大きく異なります。三交代制は1回の勤務時間が比較的短く、身体的負担が軽減される一方で、生活リズムが不規則になりやすいというデメリットがあります。一方、二交代制は勤務時間が長いものの、シフトの切り替えが少なく生活リズムを整えやすいという特徴があります。
重要なのは、自分のライフスタイルや体力に合った働き方を選択することです。例えば、育児や介護との両立を考える場合は、生活リズムが比較的安定しやすい二交代制が適している可能性があります。逆に、長時間勤務での集中力維持が難しい人には、三交代制の方が向いているかもしれません。
職場選びの際は、各勤務形態の特徴を理解した上で、自分の生活スタイルや優先事項に照らし合わせて判断することをお勧めします。
まとめ
三交代制は、24時間を日勤・準夜勤・深夜勤の3つに分けて交代で勤務する形態で、病院や工場、警察など24時間体制が必要な職場で採用されています。主なメリットとしては、夜勤手当による高収入、残業の少なさ、平日の日中活用、通勤ラッシュ回避などが挙げられます。一方で、生活リズムの乱れ、家族や友人との時間調整の難しさ、長期休暇が取りにくいなどのデメリットもあります。
健康的に働くためには、規則正しい食事と睡眠の確保、休日の適切な活用、体調不良時の速やかな職場相談が重要です。特に夜勤時は体内リズムが乱れやすいため、意識的な生活管理が必要となります。三交代制を続けるには、自身の健康状態を把握し、無理のない範囲で働くことが大切です。
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