溶 接の仕事内容は?向いている人と将来性について解説!
求人情報で溶接工の募集を見て、応募しようかと考える人もいるのではないでしょうか。
溶接工はどのような仕事をするのか、給料の目安や必要な資格なども気になるでしょう。
この記事では、これから溶接の仕事を始めたい人のために、溶接工の仕事内容や給料相場を解説します。
溶接工の将来性ややりがい、面接での志望動機の考え方も紹介しているので参考にしてくださいね。
溶接の仕事内容
溶接とは、2つ以上の金属を接続させる作業です。
溶接する製品のサイズや扱う材料によって、溶接の方法も変わります。
溶接の仕事をしている人を溶接工といい、溶接工は設計を考えるために、図面を読み取らなくてはなりません。
図面は溶接記号で書かれているので、この記号を習熟する必要があります。
図面を見ながら、金属専用のカッターや切断機などの工具を使い、必要な分だけ金属をカットしてから本格的な溶接作業に入るのです。
溶接工といえば「危険な仕事」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
しかし、溶接工の仕事は正しい知識と技術を身につけることで、安全に作業できます。
男性が多い職種ではありますが、女性が活躍している現場もたくさんあります。
勤務場所
溶接の技術は、さまざまな現場で必要になります。
- 自動車部品、建設機械の製造
- 造船、モニュメント、工芸品の製作
- 家具、貴金属、時計などの製造
- 建築現場、橋梁工事 など
自動車部品や建設機械、モニュメントや工芸品の製作は屋内で作業しますが、建築現場や橋梁工事などは屋外での作業になります。
水中や高層ビルなど、特殊な環境で作業するケースもあります。
配管専門、構造物専門など活躍の場によって専門的な知識や技術が必要です。
休日や残業
溶接工の休日は、土日や祝日にしている企業が多いようです。
ただ勤務先によって差があり、土曜日は隔週で休みとしているところもあります。
勤務時間は1日7~8時間に設定されており、午前と午後にそれぞれ休憩時間が設けられているところが大半です。
基本的には定時で帰れますが、受注量が多いときや工期に追われているときなどは残業が続くこともあるでしょう。
工場で働く溶接工の場合、お盆や正月は工場の稼働を止めるため、長期の休暇が取りやすい傾向にあります。
橋や建物などの建築に関わる場合、天候が悪いと作業できないので、急きょ仕事が休みになることもあります。
その場合はスケジュールを組みなおす必要があるため、休日出勤となる可能性もあるでしょう。
給料相場
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」による、溶接工の給料相場は以下の通りです。
溶接工の平均賃金を、時給換算して勤務年数別にまとめました。
1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 |
1,181円 | 1,280 | 1,331円 | 1,389円 | 1,561円 | 1,948円 |
参考:厚生労働省
溶接の種類
溶接には、手溶接とロボット溶接があります。
手溶接は、溶接工が手作業で火や電気を使って溶接作業をすることです。
いっぽうのロボット溶接は、大まかな溶接はロボットに任せ、細かい加工や仕上げを人間が手作業で行います。
ロボット溶接機の導入には多額の資金が必要なので、取り入れている企業の多くは大手です。
どのエネルギーで溶接するかによっても、作業方法は異なります。
ここでは、融接・圧接・ろう接の3種類について見ていきましょう。
融接
熱で溶かした材料を接合した後、接合箇所を冷やして固める方法を融接といいます。
ガス溶接やアーク溶接も、融接の一種です。
ガス融接は、ガスバーナーによる燃焼熱を利用して行う溶接技術のことをいいます。
アーク溶接は放電現象によって発生する熱を利用する方法で、使用する機器やガスの種類によって、TIG溶接・被覆アーク溶接・炭酸ガスアーク溶接などに分けられます。
溶接する部材の性質に応じて溶接方法が異なり、勤務場所や仕事の内容によっては、アーク溶接とガス溶接の両方を使用するケースもあるでしょう。
圧接
圧接とは、プレス機などの機械で圧力を加え、部材を接合する方法です。
金属部材の接合部を、爆発や摩擦によって熱を加え接合する圧接は、硬い金属部材を接合する場合に用いられます。
圧接は機械で数値の制御ができるので、製造過程で自動化をとりいれている現場で多く利用されています。
ガス圧接や抵抗溶接、摩擦圧接、爆発圧接、超音波圧接などがあり、用途によって使い分けられるのが特徴です。
ろう接
ろう接は材料そのものを溶かさず、母材よりも低温で溶ける溶加材を使って部材を接合する技術です。
溶加材にろうが使用されるため「ろう接」といわれますが、溶加材に半田を使用する場合は半田付けといいます。
ろう接の場合は、溶融温度が450度以上のろうを使うのに対して、半田付けでは融解温度が450度未満の半田を使います。
ろう接は気密性が必要なバルブやコネクタ、パイプのほか、耐熱性が必要なバイクや自動車などの部品製造に多く使用されるのが特徴です。
半田付けは電導性が高いので、電気コネクタや電子回路、精密電子部品などに利用されています。
溶接の仕事に必要な資格
溶接の現場では、高温の熱やガスを利用するので危険が伴います。
安全に作業するには専門的なスキルが求められるため、資格が必要です。
ここでは、溶接工として働くために必要な資格を紹介します。
- 溶接技能者
溶接技能者は、溶接工の基本的な資格です。
使用する材料や溶接方法によって、資格の種類が分かれます。
働きたい職種に合わせた資格を選びましょう。
手溶接・半自動・ステンレスなどは、受験者が多い資格です。
特殊な部類として、チタンやプラスチック、銀ろう付などの資格もあります。
- 溶接管理技術者
溶接技能者より上の資格となるのが、溶接管理技術者です。
溶接に関する知識や技術のほかに、工事を計画・実行するための管理能力も求められます。
有資格者が在籍する企業でなければ、官公庁は仕事を発注できないため、官公庁から仕事を受注するのであれば必須の資格です。
- その他
波力発電プラントや海上空港などを建築する現場では、水中で専用の道具を使って溶接するため、潜水士の資格やダイビング技術が必要な場合もあります。
未経験から溶接工を目指すには?
溶接工になる場合、工業高校や専門学校で、溶接技術を学ぶのが一般的です。
社会人になってから溶接工を目指す場合は、職業訓練校で溶接技術を学べます。
また、就職先選びも重要なポイントです。
溶接の技術向上には、たくさんの作業をこなす必要があります。
設備が整っていて、十分に練習できるメーカーへの就職がおすすめです。
大手のメーカーであれば、仕事が安定しているとともに、一定水準の給料も見込めます。
現場で働きながら知識や技術を学ぶOJT(現任訓練)を取り入れている未経験可の求人もあるのでチェックしてみましょう。
溶接工の仕事はなくなる?将来性は?
溶接の現場では、機械化された作業が多くなってきています。
これから先、溶接ロボットができる作業の幅はさらに広がっていくでしょう。
しかし、図面の考案や特殊な材料の加工などは、経験を積み重ねた職人に頼らざるを得ません。
またロボット溶接は導入コストが高いため、これからも溶接工の需要はあると考えられます。
溶接工は、一人前になるまでに時間がかかるのが現状です。溶接工のなり手が減りつつあるため、体力と技術のある若手は重宝される傾向にあります。
溶接工のやりがい
溶接工は、努力が結果につながりやすい、やりがいのある仕事です。
しかし寸分の狂いもなく作業できるようなベテランになるまでには、長い年月がかかります。
最初のうちは、簡単な作業しかできません。しかし地道な努力を重ねることで、徐々に難易度の高い作業をこなせるようになり、任される仕事が増えてきます。
熟練の溶接工になれば、機械よりも正確に作業できる場合もあります。
高度な作業を覚えることで新しい仕事を任されるようになり、自分の成長過程がはっきりわかるため、スキルアップを実感できるでしょう。
また溶接工の仕事は、作業が終わっても目に見える形で残るため、達成感とやりがいを感じられます。
溶接の仕事で大変なこと
やりがいがあって、将来的な需要も見込める溶接工ですが、仕事がつらい、大変というイメージを持たれがちです。
溶接工のどういったポイントが大変なのかまとめました。
健康リスクがある
溶接の仕事をするにあたり、溶接工ならではの健康リスクがあることを覚えておきましょう。
たとえば、熱源から放出される可視光・紫外線・赤外線などによる目のトラブルや溶接現場の騒音による耳への負担。
高温の火花が飛び散る溶接作業では、やけどのリスクも伴います。
作業中は、ゴーグルや保護着を着用したり、作業用耳栓をするといった対策をとることで、健康に関するリスクは抑えられるでしょう。
体力が必要
溶接は、長時間立ちっぱなしだったり、中腰で作業することもあり、体力が必要です。
また、作業場付近は40℃近くになることもあります。
- 睡眠不足に気をつけたり、朝食をしっかりとって体調の自己管理を徹底する
- こまめに水分や塩分補給して熱中症対策をする
こういった対処法も考えておきましょう。
また気分が悪い・めまい・頭痛などの症状を感じたら、すぐに作業を止めることも大切です。
技術を習得する努力が必要
溶接工は、高度で繊細な技術が必要です。
資格を取得するだけでは、溶接工としての技術は不十分でしょう。
日々、現場で経験を積みながら、溶接の技術を磨き続けなればなりません。
技術は一朝一夕で身につかないので、コツコツと努力して、溶接工としての腕を上げることが大切です。
溶接の仕事に向いている人の特徴
溶接の仕事は肉体労働なので、体力がなければ務まりません。
作業中は基本的に立ちっぱなしですし、扱う材料によっては、重い部材を持ち運ぶこともあります。
体力に自信のある人に向いているでしょう。
また溶接は、火やガスを使う危険性の高い仕事です。
ちょっとした油断が、大きな被害を生む可能性もあります。
集中力をもって慎重に作業できることも、溶接工として働くうえで重要なポイントです。
【面接】溶接工の志望動機
面接で合否を決めるポイントとなるのが、志望動機です。
「昔から機械をいじるのが好きだった」「細かい作業が得意」といったモノづくりに対する意欲を伝えましょう。
この時、応募先企業の特徴を交えることも大切です。
たとえば自動車関係の企業なら、「自動車の製造に携わる仕事がしたい」というのも志望動機になります。
体力面に自信がある場合は、それもアピールしましょう。
まとめ
溶接は、人の手による繊細な技術が必要な仕事です。
多くの業種で機械化が進んでいますが、溶接工の需要はまだまだなくならないでしょう。
体力が必要だったり技術を身につけるまでに時間がかかったりと大変な面もありますが、努力した分だけ結果につながる、やりがいのある仕事です。
これから溶接の仕事をしようと考えているのであれば、今回紹介した仕事内容や給料相場を参考にしてください。