塗装とはどんな仕事?塗装工が活躍する業種や給料相場を紹介
「手に職を付けたい」と考えている人に人気がある仕事のひとつに、塗装工があります。
未経験者でも応募が可能で、比較的条件の良い塗装工の募集を見かけたことがあるのではないでしょうか?
塗装工の仕事に興味があり、仕事内容や給料相場が気になっている人もいるでしょう。
この記事では、塗装工の仕事や給料、活躍している業種を紹介します。
塗装工に向いている人の特徴や仕事のやりがい、将来性も解説しているので、参考にしてください。
塗装の仕事とは?
塗装の仕事は、ペンキなどの塗料を対象物に塗ったり、吹き付けたりするで、塗装を行う職人を塗装工といいます。
建物の塗装作業をする建築塗装工、自動車やバイクの塗装作業をする板金塗装工など、塗装する対象によって呼び方は変わります。
塗装するだけではなく、古い塗装をはがして点検や修復を行うなど、塗装に関わる仕事全般を行うのが塗装工の仕事です。
美しく塗装する技術はもちろんのこと、さびや熱による劣化を防ぎ、耐久度を上げることも重要な仕事といえます。
仕事の流れ
塗装の一般的な仕事の流れを確認していきましょう。
① 下地を塗る
いきなり塗料を塗るのではなく、下地を塗るところから始めます。
下地を塗ることで塗料が密着しやすくなります。塗装する表面を均一になるよう整えたり、塗料が長持ちするように油分やゴミ・ホコリを取り除く作業を行うのもこの段階です。
塗装するものによっては、さび止め加工をすることもあります。
② 塗装する
塗料を塗ります。
塗装するものの素材や大きさによって、塗り方を使い分ける必要があります。
ハケ塗り ヘラ塗り | 吹付(スプレー) | 粉体 | 電着 |
ハケやヘラなどの道具を使って手作業で塗装する | エアーコンプレッサーやスプレーなどで、霧状に圧縮した塗料を吹き付ける | 塗料を粉状にして、静電気などで付着させてから、熱で溶かして膜のようにする | 水性塗料溶液に製品を漬けて、電気を流して塗る |
③ 乾燥させる
塗料を乾燥させます。
自然乾燥の場合もありますが、熱風をあてて乾かすこともあります。
給料の相場
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」による、塗装工の給料相場は以下の通りです。
塗装工の平均賃金を時給換算して勤務年数別にまとめました。
1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 |
1,183円 | 1,282円 | 1,333円 | 1,392円 | 1,564円 | 1,952円 |
参考:厚生労働省
勤務形態と休日
塗装工の勤務形態は、8:00~17:00までの勤務で1日8時間労働としているところが多いようです。
週休2日制が一般的ですが、天候が塗装の仕上がりに影響するため、気温が低かったり湿度が高すぎる場合は、急きょ休みになることもあります。
企業によっては悪天候でも休みにせず、塗装作業を中断して事務作業などを行うところもあるでしょう。
資格は必要?
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塗装の仕事をするにあたり、特別な資格は必要ありません。
未経験者でも、塗装工として働くことは可能です。
資格がなくても働けますが、塗装工としての技術や知識を証明するための資格として、塗装技能士という国家資格があります。
塗装技能士は、木工・建設・金属・噴霧・鋼橋の5つの分野から選択して試験を受けます。
3級から1級までに分かれており、受験するためには、それぞれ実務経験が必要です。
3級 | 実務経験6ヶ月以上 |
2級 | 実務経験2年以上 |
1級 | 実務経験2年以上 |
民間資格もたくさんあるので、必要に応じて取得すると良いでしょう。
- 外壁診断士
- 外壁劣化診断士
- リウォール診断士
- 外壁塗装マイスター
- 窯業サイディング塗替診断士 など
塗装工が活躍する業種
塗装工は、さまざまな業種で活躍しています。
塗装工の主な活躍の場は、建築関係の企業です。
特に住宅メーカーやリフォームメーカーでの需要は多いでしょう。
外壁や内壁への塗装がメインですが、足場を組んで高いところで作業することもあります。
ほかにも、自動車やバイクなどのボディや部品の塗装をする板金塗装の仕事もあります。
ボディについた傷の修復も行うため、車の知識も必要です。
工芸品や家具などの塗装をするデザイン塗装は、より細やかな技術が必要になります。
色彩感覚やデザインのセンスも求められます。
塗装工の将来性
塗装工といえば建築関係で活躍している人が多いイメージですが、新築住宅の仕事は減っているのが現状です。
新築住宅が減っている一方で、マンションや一軒家のリフォームに関する需要は増えています。
また塗装業は、建築関係の仕事の中でも比較的独立しやすい業種です。
独立後、下請けばかりでなく元受けで仕事をとれるようになれば、収入面も安定してくるでしょう。
さまざまな業界で導入されつつある作業のAI化も心配なところですが、建築関係においては、まだまだロボットで対応できる作業は少ないようです。
人の手による繊細な技術が必要な仕事なので、塗装業に限って言えば「機械に仕事を取られるかもしれない」心配はまだ先のことになるでしょう。
塗装工のやりがい
塗装は一見シンプルな作業ですが、顧客のイメージ通りに仕上げるための配色センスや、美しく耐久性にもすぐれた塗装を行うため、技術を極めるには長い年月がかかります。
技術を磨く努力は結果として見えやすいため、モチベーションの維持に繋がるでしょう。
塗装の仕事は、仕上がりの美しさが客観的にもわかりやすいのが特徴です。
きれいに仕上がれば感謝されることも多くなり、自分への評価も高くなります。
建物や人工物の修繕も塗装工の重要な仕事の一つです。
観光資源や文化遺産などの修繕は、次世代に受け継いでいくべき技術です。
歴史的にも重要な役割となる仕事に携われるのは、大きなやりがいとなるでしょう。
塗装の仕事で大変なこと
塗装の仕事ならではの、大変なポイントはどこでしょうか。
多くの塗装工が仕事で大変だと感じていることをまとめました。
独特のにおいがきつい
塗装の仕事を始めたばかりのころは、扱っている塗料のにおいがきついと感じる人が多いようです。
塗料の種類によって差はあるものの、人によっては、においで頭が痛くなるケースもみられます。
たいていは時間がたてば慣れるようですが、においに敏感な人にとっては、つらい仕事になるでしょう。
塗料に含まれる有機溶剤を吸い込むと、中毒になる可能性もあります。
作業をするときは、マスクで予防するといった対策も必要です。
手についた塗料が落ちにくい
塗料が皮膚につくと、洗ってもなかなか落ちません。
手袋で作業できれば良いですが、なかには素手での作業が必要なときもあります。
塗装中は手袋をしていても、塗装が終わって養生をはがすとき、道具をかたづけるときなどに素手で作業して、うっかり乾いていない塗料が付いてしまうこともあるでしょう。
仕事が天候に左右される
塗装の仕事は、天候によっては作業できません。
屋外での作業は雨が降れば作業できませんし、屋内であっても気温や湿度によっては、塗装の仕上がりに影響するため作業を中止することもあります。
急に仕事が休みになることもあれば、休んだ分の遅れを取り戻すために、休日出勤や残業が増えることもあるでしょう。
塗装の仕事に向いている人の特徴
塗装の仕事は、どのような人に向いているのでしょうか。
ここでは、塗装工に向いている人の特徴を紹介します。
体力に自信がある人
塗装の仕事では、重い塗料や道具を運びます。
安全に作業するために足場なども、組み立てるのに体力が必要です。
また長時間立ちっぱなしで作業することが多く、塗装箇所によっては、中腰のまま作業しなければならないこともあります。
重い荷物を持ち運んだり、長時間同じ姿勢で作業できる体力が不可欠です。
丁寧に作業できる人
肉体労働と思われがちな塗装の仕事ですが、丁寧な作業も欠かせません。
男性の多い職場で、細かいことは気にしなくても良さそうなイメージもありますが、作業中のちょっとしたミスが後々大きなトラブルにつながる可能性もあります。
「これくらいなら手を抜いてもいいだろう」という考えの人には、塗装の仕事は向きません。
塗装の仕事は細かいところに気が付き、丁寧に作業できる人に向いているでしょう。
独立を考えている人
塗装工は、建築関係の仕事の中でも独立しやすいのが特徴です。
学歴や経験がなくても、技術さえ身に付ければ独立できます。
もちろん独立してから稼げるようになるにはある程度の資本金、経営の知識も必要になるでしょう。
将来的に独立を考えている人人は、塗装工としての技術を磨きながらお金をため、経営も学ぶことをおすすめします。
面接のポイント
塗装工の求人は学歴や年齢不問の募集も多いので、選考の基準は「仕事を続けられるかどうか」という点になります。
健康面や体力的に問題ないことや、やる気があることをアピールしましょう。
体力面に関しては、学生時代の部活動の経験や現在でも続けている運動などをアピールします。
塗装工になりたい理由は過去のエピソードを交えながら伝えてください。
塗装工として、どういったビジョンを持っているかも答えられるようにしておきましょう。
- 理想的な建物の外観を実現したい
- 防水や断熱など、建物の環境改善に興味がある
- 手に職を付けて技術を高めたい
上記のように理想の塗装工の姿をイメージしておくと面接のときに困りません。
まとめ
塗装工は体力的に大変な一面があるものの、将来性があってやりがいも得られる仕事です。
学歴や年齢を問わない求人も多いので、未経験者でも挑戦しやすい職種だと言えます。
塗装工にも建築関係や板金関係、より細やかな技術が必要なデザイン塗装など、携わる分野によって必要な知識や技術は異なります。
今回紹介した仕事内容や給料相場を参考に、自分が興味のある分野の仕事を見つけてくださいね。