クレーンオペレーターの仕事内容|年収・向いている人・必要な資格を紹介
クレーンオペレーターがどのような仕事か知っていますか?工場や建築現場に欠かせないクレーンを操作するクレーンオペレーターは、重機を扱うことに興味のある方におすすめの仕事です。
この記事では、クレーンオペレーターの仕事内容と資格、年収ややりがい、きつい点などの実情を紹介していきます。記事を読むことで、クレーンオペレーターとして働くイメージが湧くはずです。少しでも興味がある方はぜひ参考にしてください。
クレーンオペレーターとは
クレーンオペレーターはクレーンを操作する仕事です。クレーンは建築、運輸、製造など様々な現場や工場で重いものを持ち上げる際に活躍します。活躍する場が多く専門性も必要なので、常に需要のある仕事です。
クレーンオペレーターの業務は、主に以下の2つに分けることができます。
- 資材・荷物の吊り上げ
- 資材・荷物の運搬
1つずつ説明しましょう。
資材・荷物の吊り上げ
クレーンオペレーターの業務の1つが、クレーンで資材・荷物を吊り上げることです。荷物が激しく揺れないよう静止させた状態で吊り上げられるかは、オペレーターの技術にかかっています。荷物が落下すれば大事故につながりますので、周囲の人やものに接触しないよう注意することはもちろん、重い荷物を揺らさずコントロールできるように腕を磨く必要があります。
高所に資材を運ぶ際にも、オペレーターがクレーンを使って地上からワイヤーで資材を吊り上げます。例えば、高層ビルを建設する時には地上からクレーンで資材を吊り上げて上部へ運びます。
資材がなければ建設工事も進みませんから、クレーンで吊し上げる業務を行うクレーンオペレーターは現場の進捗を左右する重要な役割なのです。
資材・荷物の運搬
もう1つのクレーンオペレーターの重要な業務が、資材・荷物の運搬です。クレーンには大きく床上運動式と移動式のものがあり、移動の範囲が違います。
床上運動式クレーンは設けたレールに沿ってものを吊るして水平移動するクレーンです。吊り上げた資材・荷物をクレーンゲームのようにボタンを使って操作します。工場や倉庫では「天井クレーン」という床上運動式クレーンが使われることが多いです。
天井クレーンの両端に脚を設け、屋外でも荷を吊り上げてレールに沿って水平移動させることができるようにしたものが橋形クレーンです。これは主に屋外の貨物ヤードで使用されます。
一方、移動式クレーンはエンジンが内蔵されていて不特定の場所に移動させることができるクレーンです。移動の自由度が高いため、より高度な技術が必要とされます。建築現場や木工工事、整備の現場など、様々な場で移動式クレーンが使われます。
クレーンオペレーターに必要なスキル・資格
クレーンオペレーターになるには、クレーンを運転するための資格が必要です。
荷重5t以上のクレーンを運転するには、クレーン・デリック運転士免許か移動式クレーン運転士免許を取得しなければなりません。クレーン・デリック運転士免許には「限定なし」「クレーン限定」「床上運転式クレーン限定」の3種類があり、クレーンの種類に応じてどれを取得するかが変わります。
免許を取る方法は、実技と学科の試験を受けるか、教習所に通い学科試験のみを受けるかの2択です。教習所は学科11〜15時間、実技9時間で短ければ6日ほどで卒業でき、実技試験も免除されるのでおすすめです。教習所の費用はコースによって異なりますが、10〜20万円が相場となっています。受験料は学科試験が6,800円、実技試験は11,100円です。
荷重5t未満の小型式移動クレーンなら、学科13時間、実技7時間の講習を受講することで運転できます。講習にかかる費用は3万円ほどです。
クレーンオペレーターの年収
クレーンオペレーターになるとどのくらい稼げるのでしょうか?
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、2019年のクレーン運転工の平均年収は510万円でした。同年の日本全体の平均年収は441万円ですから、平均より年収の高い仕事といえます。
一般的には給与の良い仕事ですが、年収は所属する企業や、経験、所有している資格によっても変わります。さらに、現場での仕事は天候によって就業ができない日が続くと収入は下がってしまいます。月毎の給与が不安定という点をストレスに感じる人もいるでしょう。
クレーンオペレーターの高収入な仕事
クレーンオペレーターの給与は、操縦できるクレーンの種類や大きさによって変動します。より重たいものを運ぶクレーンを扱えるほど、高収入になります。
クリーンオペレーターの中でも高収入なのは、港で船荷の積み下ろしを行うガントリークレーンのオペレーターです。扱う荷重が大きく高度なスキルが求められるので、クレーンオペレーターの平均年収より高い600万円付近の年収が相場です。舟会社は1年を通してスケジュール通りに運航を行なっているため、収入が安定していることも特徴です。
ただ、ガントリークレーンのオペレーターは昼夜問わず不規則な時間帯で稼働しなくてはいけないため、体力的にきついとも言われています。
クレーンオペレーターで年収1000万円は可能?
クレーンオペレーターで年収1000万円以上を稼ぐ人もいます。
しかし、平均年収を大幅に上回る額を稼ぐのは簡単ではありません。人並外れた技術があっても、会社員のまま年収1000万円を超えるのはよほど大きな企業に属していないと難しいでしょう。
高収入を目指すなら、経験を積んだ上で独立し、個人で事業を行う「一人親方」として働くことが近道です。一人親方で成功するには、クレーンオペレーターとしてのスキルを磨き操作の難しい重機を扱えるようにした上で、経営者として営業したり仕事を選んだりするスキルも磨く必要があります。
また、同じ仕事でも働く地域によっても報酬が変動するので、大きな企業の多い首都圏やクレーン業務の需要の高い地域で働くことも年収を上げるには有効です。
クレーンオペレーターの求人状況
クレーンは幅広い現場で必要とされており、クレーンオペレーターの職は常に需要があります。求人サイトの「求人ボックス」で「クレーンオペレーター」と検索すると、35.000件以上の求人がヒットします。
数が多いだけに、求人内容も様々です。実際に出ているクレーンオペレーターの求人内容にはこのようなものがあります。
製鋼工場のクレーンオペレーター
- 仕事内容……製鋼工場における天井クレーンのオペレーション
- 必須条件……天井クレーンのオペレオーター経験、クレーン・デリック運転士免許、18歳以上
- 雇用形態……正社員
- 給与……月給20〜38万円
移動式クレーンオペレーター
- 仕事内容……風車部材、鉄道車両、プラント機材などの超大重量物の吊り上げ・移動
- 必須条件……普通自動車免許、移動式クレーン運転士免許
- 歓迎スキル……基本的なPCスキル、大型特殊自動車運転免許、自動車整備士の経験、経験者優遇、年齢不問
- 雇用形態……正社員
- 給与……35万円〜70万円
企業の規模や求められる条件は微妙に違いますが、必要な資格があれば学歴は不問である企業がほとんどです。年齢制限もない場合が多いです。
一方、経験者であることを必須条件としている求人が多い傾向があります。今からクレーンオペレーターになるには、多少給与が低くても「未経験者可」の求人に応募し、まず経験を積むことをおすすめします。
クレーンオペレーターが向いている人
クレーンオペレーターの仕事に興味はあるけれど、自分に向いているか気になるという人もいるでしょう。
クレーンオペレーターが向いている人の特徴として以下の4つが挙げられます。
- 運転や操縦が好き
- 我慢強い
- 注意力が高い
- 協調性がある
ここから詳しく説明します。
運転や操縦が好き
クレーンオペレーターは、とにかく毎日クレーンを操作するのが仕事です。運転や機械の操縦が好きであれば、意欲的に仕事に取り組むことができるでしょう。
普通車の運転に比べクレーンの操作は難易度が高いですが、大きなクレーンを自分の意のままに操縦できるようになる感動は大きいです。移動の際には長距離を運転することもありますので、運転を苦に感じないことも大事です。
我慢強い
精神的に我慢強いことも。クレーンオペレーターに必要な要素です。
まず、作業を毎日繰り返すことへの我慢強さが求められます。クレーンで運ぶものが変わっても作業自体は単調であり、操縦席には1人きりなので、黙々と作業ができる人が向いています。
それから、ストレスに対する我慢強さも要ります。クレーンは何tもある重いものを吊り上げ、移動させる仕事ですから、責任も大きくストレスがかかります。さらに、クレーンで資材を運ばなければ作業が進まない現場では、自分のクレーン技術が進捗を左右するのでプレッシャーもかかります。
また、慎重になりすぎて「遅い」と作業員から文句を言われたり、周囲の安全に関わるために少しでもミスをすると怒られたりすることもありえます。一々深刻に受け止めず、冷静でいる能力があれば楽に仕事ができるでしょう。
注意力が高い
注意力、集中力が高いことは、クレーンオペレーターには必須の特徴です。
クレーンは重たいものを高所へ吊り上げるため、ちょっとした操作ミスが事故につながります。吊り上げる際に荷物が大きく揺れると、ワイヤーが切れてしまうリスクも上がるため慎重に操作をしなければなりません。もしワイヤーが切れて荷物が落下したとしたら、非常に危険です。
吊り上げたものを移動させる時も、周囲を気にしながら操作しなければいけません。操作を間違えて、吊り上げた荷物や周囲の建物が破損してしまうこともあります。
「よく気がつく」「集中力がある」と言われたことがある人は、自分の能力を発揮できるでしょう。
協調性がある
協調性も大切な要素です。
クレーンの操作は1人で行いますが、現場には自分以外の作業員がいます。他の作業員たちとうまくコミュニケーションをとらないと、周囲の人が怪我をしてしまう恐れもあります。声かけなどを行い、安全でスムーズに作業をするために協調性が必要なのです。
現場の仲間と意思疎通ができていれば、クレーン操作について文句をつけられることも防げ、あなた自身のストレスも減ります。
クレーンオペレーターのやりがい
クレーンオペレーターは特別なスキルが必要な分、やりがいも大きい仕事です。
クレーンがないと作業ができない場面が多く、それだけ必要とされています。例えば建設現場では、「自分がクレーンで資材を運んだから建物が立っていってるんだ」と出来上がっていく建物を見ながらやりがいを感じる人が多いようです。自分の仕事が役に立っている様子がはっきり目に見えるのは、嬉しいですよね。
ほかにも、スキルアップを実感した時にもやりがいを感じると言います。荷物を揺れないように吊り上げて思った場所に運ぶのは、想像以上に難しいです。それだけに、自由自在にクレーンを扱えるようになった時は達成感を得られます。
クレーンオペレーターのきつい点
クレーンオペレーターは座って機械を操縦するため、現場仕事の中では体力的に楽ではあります。しかし、体力面以外ではきつい点もいくつかあります。
クレーンオペレーターのきつい点として代表的なのは以下の3つです。
- 同じ作業の繰り返し
- 口喧嘩になることがある
- 危険が伴う
ここから1つずつ説明していきます。
同じ作業の繰り返し
運ぶものは現場によって変わりますが、作業としてはどの現場も同じです。単純作業を延々と繰り返す日々に飽きてしまう人もいます。
しかも、同じ単純作業をする仲間がいるわけではなく、クレーンの操縦席乗って1人で黙々と作業しなくてはならないのも、きついと言われる要因です。
毎日繰り返すクレーンの操縦そのものを楽しめるようになれば、仕事に飽きることはなくなるはずです。また、暑さや寒さのなか作業しなくてはいけない作業員より、冷暖房の効く快適な場所で座って仕事ができるというクレーンオペレーターの恵まれた点に目を向けることで、きついとは思わなくなるでしょう。
口喧嘩になることがある
クレーンオペレーターは、他の作業員と口喧嘩になることもありえます。
現場の作業員は職人気質できつい言葉遣いの人もいますから、クレーンオペレーターに対して荒々しい注意の仕方をする場合があります。その時、クレーンオペレーター側もカチンとして言い返してしまうと喧嘩に発展してしまいます。
クレーンオペレーターの態度が原因で、作業員と喧嘩が起きることもあります。特殊なスキルを持っていることで態度が上からになれば、相手も当然腹が立つでしょう。そのため短気で態度が大きい人は、現場で喧嘩になりやすいです。
喧嘩を避けるには、一緒に働く人のことを考えて謙虚な姿勢でいることが大事です。また同じ現場の作業員と息を合った仕事ができるように、声かけを積極的に行っていくことも喧嘩を避けるコツです。
危険が伴う
クレーンオペレーターの仕事には、危険も伴います。
クレーンで吊り上げたものが落下すれば、下にいる作業員は大怪我を負うでしょう。命に関わる場合もあり、かなり神経を使って作業する必要があります。自分が怪我をするリスクを背負うより、自分の不注意で人に被害が及ぶのは精神的にきついです。
また5t〜100tといった非常に重たいものを移動させるため、吊り荷が軽く当たっただけでも周りの建物や置かれたものにダメージがあります。レバー操作をミスして積み荷が窓ガラスを突き破ったという事故もあります。
危険が伴うからこそ給与も高いので、プレスに捉えて責任感を持って働ければプレッシャーを乗り越えられるでしょう。
まとめ
クレーンオペレーターとは、資材や荷物を吊り上げて移動させるクレーンを操縦する仕事です。5t以上のクレーンを操縦するにはクレーン・デリック運転士免許または移動式クレーン運転士免許が必要です。5t未満の小型式移動クレーンなら講習を受けるだけでも扱えるようになります。
クレーンオペレーターの平均年収は日本全体の平均年収より高く、クレーンオペレーターの中でも特にスキルが求められる仕事につくことで更に高収入を得ることができます。
ただ、実際にクレーンオペレーターとして働くには実務経験が求められる場合が多いです。まずは未経験でも応募可能な求人に応募し、経験を積んだ上で待遇の良い仕事に応募するか、独立すると収入が上がっていくでしょう。
責任が大きくきついこともありますが、必要とされてやりがいを感じる場面も多いです。経験とスキルがあれば歳を重ねても職があるので、長く現場で働きたい人におすすめです。