インバータとコンバータの違いとは?仕組みやメリットを紹介!
インバータという言葉をご存じでしょうか。
身の回りにも、インバータを搭載した製品がたくさんあるので、「聞いたことくらいはある」という人も多いでしょう。
しかし、「インバータについて説明して」と言われると、よくわからないというのが正直なところでしょう。
そこでこの記事では、インバータがどのような仕組みで、どこに使われているのかを解説します。
インバータのメリットや今後の課題についてもまとめたので、ぜひご覧ください。
インバータとは
インバータは、回路として捉えられる場合と、装置として捉えられる場合があります。
どちらとして捉えられているかによって、意味合いが大きく変わることを覚えておきましょう。
ここでは、回路としてのインバータと装置としてのインバータ、それぞれを説明します。
回路としてのインバータ
電気は、交流と直流に分類されます。
回路としてインバータを捉える場合は、直流から交流に逆変換する回路を指します。
インバータを回路として用いる場合は、「インバータ回路」と呼ぶのが一般的です。
装置としてのインバータ
インバータを装置として捉える場合は、電圧や周波数を整えて出力を安定させる装置を意味します。
電圧や周波数を整えることで得られる働きは以下の通りです。
- モーターの回転速度をコントロールする
- 電源を安定させる
モーターの回転速度をコントロールする
インバータの周波数を変えることで、モーターの回転速度を調節可能です。
身近なところでは家電製品にも応用されていますが、他にも社会の中で欠かせない様々な場面でインバータが使われています。
- エアコンの風量調節
- 蛍光灯の明るさの調節
- エレベータの上げ下ろし
- 工場で使われるコンベアの稼働 など
電源を安定させる
電源の電圧や周波数は常に一定ではありません。
変動したり瞬間的に停電が起きることもあります。
このような周波数の乱れや瞬間的な停電が起きると、コンピュータや家電製品の故障や誤作動に繋がります。
コンピューターや家電製品を、安全に安定して使うためにも、インバータの働きが必要です。
コンバータとは
コンバータとは、交流を直流に交換するための回路で、整流器または順変換器といわれることもあります。
コンバータ回路は、インバータ回路とは逆の性質を持っています。
また回路としてのコンバータのほかに、コンバータ装置を指す場合もあるでしょう。
インバータ装置の内部で使われるコンバータ回路に対して、コンバータ装置はインバータ装置に外付けして使われます。
インバータ装置では、電圧が上がりすぎて装置が壊れるのを防ぐために、抵抗器を接続してエネルギーを熱に変換して放出します。
放出したエネルギーが無駄にならないよう電源側に戻すのが、外付けしたコンバータ装置の役割です。
インバータとコンバータの違い
インバータとコンバータの違いについて確認しておきましょう。
- インバータ回路:直流から交流に逆変換する回路
- コンバータ回路:交流から直流に変換する回路
- インバータ装置:電圧や周波数をコントロールする装置
インバータ回路は直流から交流に逆変換する回路であり、コンバータは交流から直流に変換する回路です。
そしてインバータ回路とコンバータは、インバータ装置に含まれているということです。
インバータの仕組み
交流の電源は、そのままだと周波数と電圧を変えられません。
ただし、一度コンバータ回路で直流に戻してから交流に変換すると、周波数と電圧を調節できるようになります。
家庭用コンセントの電源は交流ですから、利用するにはコンバータ回路で交流を直流にしてから、インバータ回路で交流に戻さなくてはいけません。
コンバータ回路で交流を平らにならし、インバータ回路でバラバラにした交流を組み合わせて電圧や周波数を変えられる交流を作るのです。
コンピューターによるパルス幅の制御が可能になるので、モーターの回転速度を自由にコントロールできるようになります。
インバータのメリット
インバータのメリットとしてあげられるのが、次の3点です。
- 省エネ
- 車の電源で家電が使える
- 引っ越しても同じ電化製品が使える
各項目について、詳しく見ていきましょう。
省エネ
インバータ最大のメリットともいえるのが、省エネになることでしょう。
たとえばエアコンの場合、インバータがなければ、温度調節は電源のオン・オフで行わなくてはなりません。
エアコンは起動時に一番電力を消費するので、電源のオン・オフで室温を調節するのは不経済です。
インバーターでモーターの回転数を押さえれば、使用エネルギーを抑えられます。
インバータがあれば、電源を入れたまま温度調節できるので、エネルギーを効率よく使えます。
車の電源で家電が使える
インバータがあることで、車の電源で家電製品を使えます。
車のバッテリーは直流12Vが主流ですが、一般的な家庭用のコンセントは交流100Vです。
通常であれば車で家電製品を使うことはできませんが、車載インバータで交流100Vに変換することで、車で家電製品を使用できるようになります。
コネクタをシガーソケットに差すだけで使える手軽さも魅力です。
引っ越しても同じ家電が使える
国内であっても、地域によって電源の周波数が違うことをご存じでしょうか。
【家庭用コンセントから供給される周波数】
地域 | 周波数 |
東日本 | 50Hz |
西日本 | 60Hz |
インバータが普及する前の家電製品は、どちらかの電源にしか対応していませんでした。
引っ越しなどで地域が変わると、家電製品を買い替えなくてはいけなかったのです。
インバータが普及したことで、周波数を気にせずに同じ電化製品を使えるようになりました。
インバータの課題
インバータのデメリットとしてあげられるのが、ノイズが発生することです。
ノイズにより電流の波形がゆがみ、家電製品に影響する可能性があります。
ノイズの発生を防ぐために、以下のような対策が必要です。
- インバータ装置をケースで覆う
- 専用フィルターを使う
- インバータが付いていない家電の電源にフィルターを付ける など
インバータによるノイズの発生は、今後インバータ技術を開発するうえでの大きな課題となるでしょう。
まとめ
インバータは、現代社会に欠かせない仕組みのひとつです。
家電製品をはじめ、日常生活に欠かせない様々なインフラや産業用機械にもインバータが使われています。
ただインバータ回路とインバータ装置では、仕組みや役割がまったく違います。
さらにインバータとコンバータという、似た言葉もあり混乱しがちです。
インバータ回路とコンバータ回路は、インバータ装置に含まれるものであることを覚えておきましょう。