マシニングオペレーターの仕事内容はどんな人に向いている?年収や将来性・資格について紹介!
マシニングオペレーターは、工作機械を操作する仕事で「マシニングセンタ・オペレーター」とも呼ばれます。
マシニングセンタ・オペレーターは、具体的にどのような業務をするのでしょうか?この記事では、マシニングセンタ・オペレーターの業務内容、年収、向いている人の特徴を紹介します。
マシニングセンタ・オペレーターがどんな仕事か知りたい人や、求人への応募を検討している人はぜひ参考にしてください。
マシニングセンタとは
マシニングセンタとは、金属などの素材を切削加工する産業用ロボットの一種です。一般社団法人日本工作機械工業会『工作機械の種類と加工方法』では、マシニングセンタについて以下のように説明されています。
「中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行えるNC工作機械で、それぞれの加工に必要な工具を自動で交換できる機能を備えています。」
因みにNC工作機械とは、数値制御ができる装置が備わった工作機械のことです。
マシニングセンタには以下の種類があります。
マシニングセンタの種類 | 特徴 |
5軸制御マシニングセンタ | x、y、z軸に二つの回転軸が加わった5軸の制御ができる機械。複雑な加工が必要な製品に使用される。 |
門型マシニングセンタ | 正面から見て機械が門の形に見える機械。大型製品の加工に使用される。 |
立形マシニングセンタ | 加工物に垂直に取り付け、上から加工する機械。稼働時間が横型マシニングセンタより短いので少量生産に向いている。 |
横方マシニングセンタ | 主軸が横に付いていて、加工物を横から固定する機械。 軽い加工物の加工に使用する。 加工面が切りくずで傷付くリスクが少ない。 |
マシニングセンタ・オペレーターってどんな仕事?
マシニングセンタ・オペレーターとは、マシニングセンタを操作する人のことです。
マシニングセンタを動かすには、加工物をどう加工するかを数字で算出して機械に入力する必要があります。生産物の図面を見て数値を求め、マシニングセンタに入力して加工物を切削することがマシニングセンタ・オペレーターの仕事です。加工物をどう加工するかは、すべて数値で入力するのです。
機械での加工に伴い発生する熱によって加工物の金属が変形することもあるため、あらゆる加工物の性質についての知識が求められます。機械の扱いはボタンの入力で行うため体力や腕力は不要ですが、図面から加工プログラムを考えるため、図面が読める必要もあります。
マシニングセンタ・オペレーターの年収
マシニングセンタ・オペレーターになると、年収はいくらになるのでしょうか?
求人ボックスが発表している正社員のマシニングセンタ・オペレーターの平均年収は335万円で、ボリュームゾーンは300万円前後となっています。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の正社員の年収は300万円〜400万円がボリュームゾーンでした。マシニングセンタ・オペレーターの年収相場は全体の職種と比べると、同等か少し低いです。
担当業務によって収入にも差が出ます。図面を読むだけでなく、図面の作成からできるようになれば収入が上がり、年収400万円以上も狙えるでしょう。
マシニングセンタ・オペレーターの将来性
マシニングセンタ・オペレーターには将来性があるのでしょうか?
現時点では、これからマシニングセンタ・オペレーターの需要が増えていくと推測できます。現在、金属の加工物の生産を職人や熟練工が行っている企業でも、少子高齢化の影響により後継者がいなくなってくるでしょう。そのため、マシニングセンタを導入する企業は増えていく可能性が高いと思われます。
町工場や工作機械メーカーでは、金属加工の機械を扱える人材は不可欠です。そのためマシニングセンタ・オペレーターには安定的に求人があります。
体力勝負の仕事ではないため、性別に関係なく歳を重ねても働けるという点も魅力です。経験を積みスキルを磨くほどにキャリアアップが目指せる職種です。
マシニングセンタ・オペレーターを目指す人におすすめの資格
マシニングセンタ・オペレーターになるために必要な資格はありません。しかし、業務に関わる資格の取得によって給与が上がったり、採用に有利になったりする可能性は高いです。
マシニングオペレーターとして働く上で有利となる資格は以下の二つです。
- 機械加工技能士
- CAD利用技術者試験
二つの資格について詳しく紹介しますので、マシニングセンタ・オペレーターとして働いている人やこれから目指す人は、参考にしてください。
機械加工技能士
機械加工技能士とは、マシニングセンタを扱う技術を証明できる国家資格です。
難易度が高い順に特急、1級、2級、3級とレベルが分かれています。職種ごとに実技と学科の試験が行われ、合格すると合格証書が交付されて「技能士」と認められます。
資格に関する詳細は表の通りです。
資格名 | 機械加工技能士 |
運営 | 中央職業能力協会 技能検定部 企画管理課 |
試験日 | 前期、後期の年2回実施される。 前期:実技6月中旬〜9月上旬、学科7月末〜9月上旬 後期:実技11月下旬〜翌年2月下旬、翌年1月末〜2月中旬 |
受験料 | 標準金額:学科試験 3,100円 実技試験18,200円 (検定職種と都道府県ごとに異なる) |
合格率 | 6%前後 |
受験資格 | 受験には、以下の年数の実務経験が求められる。 特級:1級合格後5年以上 1級:7年以上 2級:2年以上 3級:不問 |
公式サイト |
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、建築や機械の設計ツールであるCADシステムに関する知識やスキルを評価する試験です。
試験の種類は以下です。
- 2次元CAD利用技術者試験(基礎、2級、1級)
- 3次元CAD利用技術者試験(2級、準1級、1級)
2次元では図面の作成、3次元CADでは立体モデルの作成を行います。マシニングセンタを扱う場合、生産するものの設計図をCADで作成します。
CAD利用技術者試験に合格することで、設計図の作成からできることが証明できます。マシニングセンタ・オペレーターとして働くとき、設計図から作ることのできるスキルは昇給にもつながります。
試験の詳細は表の通りです。
資格名 | CAD利用技術者試験 |
運営 | 一般社団法人コンピュータ教育復興協会 |
試験日 | 2次元CADの基礎・2級と3次元CADの2級は随時実施。 そのほかは前期、後期の年2回実施。 |
受験料 | 2次元CAD利用技術者試験 基礎:4,400円 2次元CAD利用技術者試験 2級:6,050円 2次元CAD利用技術者試験 1級:16,500円 3次元CAD利用技術者試験 2級:7,700円 3次元CAD利用技術者試験 準1級:11,000円 3次元CAD利用技術者試験 1級:16,500円 |
合格率 | 年度と種類によりによって大きく変動 詳しくは公式サイトの統計情報を参照 |
受験資格 | 2次元CAD利用技術者試験 基礎・2級:制限なし 2次元CAD利用技術者試験 1級:過去の1級有資格者、2級有資格者 3次元CAD利用技術者試験 2級:制限なし 3次元CAD利用技術者試験 準1級/1級:2級合格者 |
公式サイト |
マシニングセンタ・オペレーターに向いている人
マシニングセンタ・オペレーターは資格も不要で、年齢や性別に関わらず誰もが就くことができる仕事です。ではいったい、どんな適性が求められるのでしょうか。
ここからマシニングセンタ・オペレーターに向いている人の特徴を紹介します。
慎重な人
マシニングセンタ・オペレーターは、機械に数値の入力をする仕事です。加工物にどんな加工をするか1000分の1mm単位で調整するため、慎重な性格の人が向いています。何事も細かく観察して丁寧に行う性格は、何度も確認を重ねながら確実な数字値を入力する作業に生かせるでしょう。
逆に細かな数値にこだわれない大雑把な人は、精度の高い仕事ができないでしょう。
数学が得意な人
数値を扱う仕事であるため、数学が得意な人も向いています。図面を読み解き、機械に入力する座標の数値を計算する際には三角関数を使用するからです。数学好きであれば、どんな図面からも難なく座標を導き出せるでしょう。
逆に計算に苦手意識がある人は、このような作業はつらく感じるかもしれません。
ロボットやメカが好きな人
機械を操作する仕事なので、ロボットやメカが好きな人にも向いています。そのような人は、機械を自分の思い通りに操作できるようになりたいという気持ちがモチベーションとなってスキルアップしていけるはずです。自分が入力した数値によって機械が動き、意図したものが生産されることにやりがいを感じられるでしょう。
逆に機械に触れることに興味がない人は、仕事が退屈に感じてしまうかもしれません。
ものづくりが好きな人
ものづくりが好きなことも、仕事に向いている要素です。マシニングセンタ・オペレーターは、機械を操作して製品や製品部品を産み出す仕事です。ものづくりが好きであれば、良い製品が作れた際に誇りと喜びを感じられるでしょう。作業そのものだけではなく、作業の先にある製品にも情熱を注ぐことで、スキルを向上させていけるはずです。
まとめ
マシニングオペレーターはマシニングセンタを操作してものを加工する仕事で、マシニングセンタ・オペレーターともいいます。図面から機械に入力する数値を導き出し、入力することが基本作業なので年齢や性別を問いません。なるために資格は不要ですが、機械加工技能士やCAD利用技術者試験といった資格を取得することで、スキルや収入を上げることができます。今後、ものづくりの現場に機械が導入されていくに従い、需要も増えていく職種だと考えられます。