機械や設備のメンテナンス業務の仕事内容|向いている人やおすすめの資格を紹介!
ものづくりの現場では、機械や設備のメンテナンスが欠かせません。機械・設備の故障や劣化を防ぎ、正常な運転を維持するメンテナンス業務はどのような仕事で、どんな人が向いているのでしょう。今回はメンテナンス業務の仕事内容、年収、給料アップにつながる国家資格などについて紹介します。
機械や設備のメンテナンス業務はどんな仕事?
工場でのメンテナンス業務は、機械や設備システムなどの整備に関係する仕事です。工場の機械や設備は毎日稼働しています。定期的に点検し、修理することで安定して稼働することができます。
ロボットやセンサー、自動制御装置などの導入で、工場の自動化が進む中、機械や設備のメンテナンス業務の重要性はさらに高まっています。ほとんどの生産工程でロボットが働くようになると、トラブルを未然に防ぎ、異常が起こったときに対応する人材が必要です。
メンテナンス業務は工場では必要不可欠な存在といえるでしょう。
メンテナンス業務の仕事内容
メンテナンス業務の具体的な内容として、予防保全と事後保全があります。
予防保全とは定期点検のことで、スケジュールに沿って、メンテナンスや部品交換などを行います。部品メーカーに工事を依頼するのも仕事です。
事後保全はトラブル対応です。機械や設備が故障したとき、修理や部品交換を行います。
予防保全や事後保全のほかに、工場の自動化やIoTによる「見える化」に伴い、予知保全が注目されています。機械や設備の状況をモニターやセンサーなどで常に監視することで、不具合の兆候を察知し、異常の発生を防止します。
予防保全
詳しい分析を基に問題が再発しないよう対策を取り、実際に定期点検や改善業務を行うのが予防保全です。
毎日の点検や3カ月、半年、1年ごとと定期的に実施するもので、スケジュールが立てやすいのがメリットです。定期的に部品交換を行うと、機械や設備の寿命を延ばすことが可能になるだけでなく、不良率の低減、品質の安定化、故障のリスクを削減することができます。
事後保全
事後保全とは、機械や設備に異常が発生したときや品質に不具合が見つかったときに、不具合が発生した時点の情報を分析して、原因を追究し、再発しないように対策を講じるものです。
機械や設備が停止すると、生産することができなくなります。工場ではあらかじめ生産数が決まっているため、迅速に対応することが求められます。
自動化が進んだ工場では、生産稼働システムや監視モニターなどで、生産ラインを常に監視しているため、機械や設備が完全に停止することはめったに起こらなくなりました。
メンテナンス業務の年収
メンテナンス業務の年収は、企業や勤務地、経験や資格の有無などによって異なりますが、300万円~700万円の範囲が一般的で、平均は450万円前後となっています。
半導体製造における設備保全 | 649万円~795万円 |
ロボットメンテナンス | 400万円(メンテナンス経験者) 350万円(未経験者) |
ロボットメンテナンス | 330万円~550万円 |
経験や資格の有無で見てみると、未経験者は300万円~350万円前後、電気設備の経験者や有資格者は420万円~450万円前後で、およそ100万円の差となります。
日本における全ての業種の平均年収より若干低めですが、資格と経験があれば800万円以上の収入が見込めます。
機械や設備メンテナンス業務を行う人におすすめの資格
機械や設備のメンテナンス業務を行うためには、資格は必ずしも必要ではありません。しかし、資格を持っていると、スキルや技能を有している証明となるため、昇給につながりやすく、転職時にも役に立ちます。
メンテナンス業務を行う人におすすめの資格は、以下の通りです。
【メンテナンス業務におすすめ国家資格】
- 機械保全技能士
- 電気工事士
ほかにも国家資格として、電気主任技術士がありますが、こちらはメンテナンス業務の監督者になるために必要な資格です。メンテナンス業務を行いたい人向けの資格として二つに絞りました。
機械保全技能士
機械保全技能検定は、機械や設備の保全に必要な技能の習得レベルを評価する技能検定です。機械設備の保全業務において唯一の国家資格となっています。
合格者は「機械保全技能士」と名乗ることができるのが一番のポイントで、資格を取得したことで、機械設備に関する一定レベルの知識と技能があることを国が証明してくれます。
機械保全技能士の有資格者は製造業の現場でニーズが高く、就職や転職が有利に働きます。企業によっては資格手当が支給され、キャリアアップにもつながります。
特級、1級、2級、3級と分かれていて、3級は工業高校の授業と重なっているのが特徴です。ものづくりの技能検定試験の中で、受験者数が一番多い人気の資格です。
資格名 | 機械保全技能検定(特級、1級、2級、3級) |
運営 | 厚生労働大臣指定試験機関 公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会 |
試験日 | 2022年6月26日 3級(学科・実技) 2022年12月18日 2級(学科・実技) 2023年1月15日 特級、1級、3級(学科・実技) |
受験料 | |
合格率 (2019年度) | 特級:17.6% 1級:21.6% 2級:30.9% 3級:71.0% |
受験資格 | 特級:1級合格後5年以上 1級:7年以上 2級:2年以上 3級:0年(問わない) |
公式サイト |
電気工事士
電気工事士は、電気の設備工事や電気機器の設営、メンテナンスに従事するために必須の国家資格です。
第一種と第二種があり、第二種は小規模の電気設備の工事や一般住宅の電気工作物に関する資格で、合格すると個人経営の電気工事店を開業できます。第一種資格を取得すると、工場のほか、駅や百貨店など、最大出力が500kW未満の電気工作物の工事に携わることができます。
第二種の試験は年2回、5月と10月に実施されます。第一種の試験は年1回の実施となっています。
資格名 | 電気工事士(第一種、第二種) |
運営 | 一般財団法人電気技術者試験センター |
試験日 | 第一種 筆記:2022年10月2日 技能:2022年12月11日 第二種 筆記:2022年10月30日 技能:2022年12月24日または25日 |
受験料 | 第一種:インターネット 10,900円、郵送 11,300円 第二種:インターネット 9,300円、郵送 9,600円 |
合格率 (2021年度) | 第一種:67.0%% 第二種(下期):71.1% |
受験資格 | 第一種:3~5年の実務経験 第二種:問わない |
公式サイト |
メンテナンス業務に向いている人
メンテナンス業務は一日中、機械や設備と向き合う仕事です。
どんな性格でどのような特性を持っていると、メンテナンス業務に向いている人といえるのでしょうか。
ものを大切にする気持ちがある人
機械や設備の部品交換、修理などを行うため、ものを大切にする気持ちがある人が向いています。
日常生活において、ものを大切にする気持ちのある人は、壊れても修理して使うことが当たり前になっています。最後まであきらめず、故障原因を追究する姿勢は、ものを大切にする気持ちがある人と、ない人では大きく異なります。
ロボットやメカが好きな人
メンテナンス業務は機械や設備と向き合うのが仕事です。産業用ロボットやメカが好きな人だとピッタリの仕事といえるでしょう。
嫌いな人だと、誰とも話さずに黙々と行う作業が苦痛になり、長続きしません。定期点検では、同じことを何度も何度も繰り返すため、ロボットやメカ好きでないと務まらないかもしれません。
スピーディな対応ができる人
トラブルや異常事態が発生したとき、すぐ行動して、問題解決にスピーディに対応できる人はメンテナンス業務がおすすめです。
工場では製造個数があらかじめ設定されているため、長時間生産ラインが停止していると、時間のロスが生まれます。慌てずに落ち着いて行動ができる人で、しかも素早く的確に動ける人だと、製造ラインで働くスタッフからも感謝されるはずです。
まとめ
機械や設備のメンテナンス業務は工場の自動化が進む中で、よりニーズが高まっています。工場が安全に製造し続けられるのもメンテナンス業務に携わる人がいるからこそ成り立っているといっても過言ではありません。国家資格を取得すると給料もアップし、より稼げるようになります。機械や設備のメンテナンス業務は工場に必要不可欠な存在で、やりがいのある仕事です。