日本の 四大工業地帯とは?各工業地帯の特徴も解説!
「日本の四大工業地帯は?」と聞かれて、全てを答えられますか?
「勉強したはずだけど、全部は出てこない」という人もいるのではないでしょうか。
何とか工業地帯の名称は答えられても、工業地帯別の特徴や有名な生産物までは答えられない人も多いでしょう。
この記事では、日本の四大工業地帯について解説しています。
「そもそも、工業地帯ってどんなところ?」という人にも分かりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
工業地帯とはどんな場所?
工業地帯とは、景観や機能的な面からも工業活動が盛んな地域のことです。
日本の場合、主な工業地帯は、原料を輸入しやすい沿岸部にできやすい傾向があります。
なぜなら日本は、原材料の調達を輸入に頼っている側面があり、工業に使われる原材料は船で輸送されることが多いためです。
石油・石炭・鉄鋼などは船を使って輸送されるものの主たる例でしょう。
ただし、工業地帯が必ず沿岸部にできるわけではありません。
たとえば精密機械は空輸も可能ですので、海岸部にこだわる必要はないでしょう。
食品工業などは、消費地と近いほうが良いということもあります。
【ポイント】
- 工業地帯とは工業活動が盛んな地域のこと
- 沿岸部にできることが多い
三大工業地帯と四大工業地帯の違い
日本にはたくさんの工業地帯がありますが、これまでは京浜・中京・阪神・北九州にある工業地帯が「四大工業地帯」と呼ばれていました。
しかし最近では、北九州を除いた京浜・中京・阪神の3カ所が「三大工業地帯」と呼ばれるケースが増えています。
【ポイント】
- 四大工業地帯は京浜・中京・阪神・北九州の4カ所
- 京浜・中京・阪神の三大工業地帯とされる場合もある
工業地域との違い
「工業地帯」と「工業地域」は、どのように違うのかも気になるところですが、両者に明確な違いはありません。
ただ最近では、工業生産額が低迷した北九州の工業地帯は、「北九州工業地域」と呼ばれることが多くなりました。
【ポイント】
- 「工業地帯」と「工業地域」に明確な違いはない
日本の四大工業地帯の特徴
続いて、日本の四大工業地帯の特徴を見ていきましょう。
- 京浜工業地帯
- 中京工業地帯
- 阪神工業地帯
- 北九州工業地帯
各工業地帯について詳しく解説します。
京浜工業地帯
京浜工業地帯は、東京から神奈川県の横浜にかかる工業地帯です。
京浜工業地帯の「京浜」とは、東京と横浜からそれぞれ一文字ずつ取って付けられました。
東京を中心に栄えた工業地帯で、機械工業や印刷業が盛んです。
東京と横浜、川崎の3カ所に巨大な積み出し港があります。
【ポイント】
- 機械工業や印刷業の比率が高い
- 東京を中心に発達した工業地帯
- 巨大な積み出し港が東京・横浜・川崎の3カ所にある
中京工業地帯
中京工業地帯は、愛知県東部から三重県北東部にかかる工業地帯で、愛知県名古屋市を中心に栄えました。
日本で最も生産額の大きい工業地帯であり、従業員数も日本の工業地帯で最大となっています。
愛知のトヨタ自動車は、誰もが知る有名な会社です。
三重県四日市は、石油化学コンビナートで知られています。
生産物のほとんどが機械で、金属や化学関係の生産はあまりありません。
元々は織物や紡績、陶磁器などの生産が盛んでした。
自動車や石油化学関係の産業が栄えたのは第二次世界大戦後です。
【ポイント】
- 日本最大の工業地帯
- 第二次世界大戦後に自動車や石油化学関係の産業が発達した
阪神工業地帯
阪神工業地帯は、大阪から兵庫にかかる工業地帯です。
大阪と神戸を中心に栄えた経緯があり、阪神工業地帯の「阪神」は、大阪と神戸からそれぞれ一文字ずつ取って付けられています。
第二次世界大戦前は日本一の工業地帯で、機械や金属、鉄鋼、石油化学などを中心に発達してきました。
中小企業の工場が多く、金属関係、化学関係、機械関係の生産バランスが良いのも特徴の一つです。
【ポイント】
- 大阪と神戸を中心として発展してきた
- 第二次世界大戦前は日本一の工業地帯だった
- 中小企業の工場が多く、金属・化学・機械のバランスが良い
北九州工業地帯
北九州工業地帯は、福岡県を中心とした九州北部の工業地帯です。
明治時代に、八幡製鉄所をきっかけとして鉄鋼業を中心に発達しました。
これまでは日本の四大工業地帯の一つとされてきましたが、生産量の衰退により、北九州工業地帯を除いた三大工業地帯という認識が主流になっています。
南関東から北九州にかけて連なる工業地帯を「太平洋ベルト」といいます。
太平洋ベルトの工業生産額は、国内工業生産額の約3分の2を占めています。
【ポイント】
- 明治時代に八幡製鉄所をきっかけとして鉄鋼業を中心に発達した
- 南関東から北九州にかけての工業地帯を「太平洋ベルト」という
- 太平洋ベルトは、国内工業生産額の約3分の2を占める
日本の主要工業地域も覚えておこう
日本には、四大工業地帯のほかにもたくさんの工業地域があります。
ここでは、主要な四つの工業地域を紹介します。
- 瀬戸内工業地域
- 関東内陸工業地域
- 東海工業地域
- 京葉工業地域
各工業地域の詳細を確認していきましょう。
瀬戸内工業地域
瀬戸内工業地域は、重化学工業が盛んな工業地域です。
これは、瀬戸内工業地域が石油や鉄鉱石を大量に輸入できる沿岸部の工業地域であることと、埋め立て地で工業用地を確保できたことが要因でしょう。
広島ではマツダ株式会社が有名です。
岡山県倉敷市水島地区と山口県周南市の石油コンビナートも覚えておきましょう。
石油コンビナートと自動車工業が有名であることからも分かるように、輸送用機械を中心とする機械工業や、化学工業が多いという特徴もあります。
【ポイント】
- 重化学工業が盛ん
- 広島のマツダ株式会社
- 岡山県倉敷市水島地区の石油コンビナート
- 山口県周南市の石油コンビナート
関東内陸工業地域
関東内陸工業地域は、群馬県太田市を中心に発達しています。
機械工業が盛んで、機械工業の生産額は40%以上です。
京浜工業地帯の工業用地不足や環境破壊が問題となり、内陸に移転したのが始まりです。
内陸で発展した工業地域として珍しいケースといえるでしょう。
自動車工業も盛んで、群馬県太田市は株式会社SUBARU発祥の地でもあります。
内陸の工業地域なので、石油化学工業の割合が少ないのも特徴の一つです。
【ポイント】
- 機械工業・自動車工業が盛
- 内陸の工業地域なので石油化学工業の割合は少ない
東海工業地域
東海工業地域は、浜松市と富士市を中心に発達した工業地域です。
機械工業の割合が50%を超えています。
ホンダ、スズキ、ヤマハなどの有名メーカーがあり、輸送用機械の生産額が多いのも特徴でしょう。
浜松市では楽器・オートバイの生産が多く、富士市では製紙・パルプの生産が多くなっています。
【ポイント】
- 機械工業が50%以上
- ホンダ、スズキ、ヤマハがある
- 輸送用機械の生産額が多い
京葉工業地域
京葉工業地域は、化学工業の割合が高く、40%となっています。
化学工業が盛んな工業地域ですが、機械工業の割合が少ないのも特徴的でしょう。
千葉県には成田国際空港があることも伴って、輸出入額は日本で第1位です。
化学工学装置、通信機、集積回路など、空輸しやすい軽量な製品が多くなっています。
【ポイント】
- 化学工業の割合が高く、機械工業の割合は少ない
- 輸出入額は日本で1位
- 空輸しやすい軽量な製品が多い
まとめ
日本の工業地帯は、北九州を入れるかどうかで、三大工業地帯なのか四大工業地帯なのかが変わります。
近年では、北九州工業地帯を除いた三大工業地帯が主流であると覚えておきましょう。
工業地帯は、地形や歴史によって盛んな産業も変わります。
有名企業なども併せて覚えると、分かりやすいですよ。
今回紹介した、工業地帯ごとの特徴も参考にしてくださいね。