食品業界における歩留まりの意味|歩留まり率の計算方法や改善策は?
工場で働いている人であれば、歩留まりという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「よく耳にするけど、どんな意味なのか分からない」という人もいるかもしれませんね。
そこでこの記事では、食品業界における歩留まりの意味や歩留まり率について解説しました。
歩留まりが悪くなる原因や改善方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
歩留まりとは
歩留まりは、「ぶどまり」と読みます。
耳慣れない言葉ですが、製造業で利益を上げることを考えるのであれば知っておくべき言葉です。
歩留まりは、原料に対して実際に得られた出来高のことを指します。
歩留まりの「歩」は自分の取り分という意味です。「歩(自分の取り分)」が留まるから「歩留まり」というわけです。
ですから不良品や廃棄が多くなれば、歩留まりも悪くなるということになります。
歩留まり率とは
歩留まりの割合を歩留まり率といいます。
歩留まりは、自分の取り分であり得られる出来高ですから、歩留まり率も高いに越したことはありません。
歩留まり率が100%であれば、使用した原料が余すことなく使われ廃棄もなかったということになります。
しかし実際には、製造の過程で少なからず不良品は出てくるものです。
100個の製品が完成して、そのうち30個が不良品だった場合、歩留まり率は70%となります。
歩留まり率と良品率の違い
次に、歩留まり率と良品率の違いを見ていきましょう。
それぞれの割合は以下のように計算します。
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歩留まり率が原材料に対しての割合なのに対し、良品率は完成品の数に対しての割合なのです。
歩留まり率が80%の生産ラインで100個の製品ができても、同ラインの良品率が50%だと利益につながる製品は50個ということになります。
食品業界における歩留まり
食品業界では、可食部位がどのくらいあるのかを歩留まりといいます。
食品における歩留まりと歩留まり率の計算式は以下の通りです。
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例えば10kgの牛肉を仕入れて、加工の過程で2kgのロスが出た場合、歩留まりは8kg、歩留まり率は80%となります。
歩留まり率はバランスが重要
歩留まり率が高い方が良いことはすでにお伝えした通りですが、扱う食品によってはどうしても一定のロスが出るものです。
野菜でいうと、枝豆・とうもろこしなどは歩留まり率の低い野菜です。
殻や芯があることで可食部が少なくなるので、歩留まり率は50%~70%となります。
ほうれんそう・白菜・トマトなどは捨てるところがほとんどない野菜です。
歩留まり率も90%以上と高くなります。
歩留まり率はとにかく高ければいいというものではありません。
歩留まり率が高い食材もあれば低い食材もあります。
歩留まり率を上げるために、本来食べられない部分までを無理やり可食部にしては、製品の品質が下がるだけでなく、人体に悪影響を与える可能性もあります。
適正な歩留まり率は、扱っている食材によって変わることを覚えておきましょう。
歩留まりが悪化する要因
歩留まりが悪くなる原因として挙げられるのが、食材に含まれる水分です。
肉でも野菜でも、鮮度の良い食材には多くの水分が含まれています。
しかし適切に加工しなければ、どんどん歩留まりが悪くなるのです。
鮮度が落ちたり、加熱しすぎたりすることでも食材の水分は失われます。
食品の歩留まり率を改善するには
食品の歩留まり率を改善するポイントは以下の通りです。
- 可食部を増やす
- 食材の保管状態に気を付ける
- 現場で問題意識を共有する
詳しく見ていきましょう。
可食部を増やす
歩留まりの改善で最初にやるべきなのは、食材の可食部を増やすことです。
通常野菜であれば、皮やヘタ、芯の部分は捨てます。
しかし工夫次第で、捨てていた部分が可食部となる場合もあるのです。
例えば、野菜の皮をできるだけ薄く剥き、ヘタや芯を取り除くときは可食部まで落とさないようにします。
魚や肉の場合なら、商品にはならなくても社員販売なら消費できる場合もあるでしょう。
このような工夫の積み重ねで、歩留まりを改善できます。
食材の保管状態に気を付ける
冷凍の肉や魚などを解凍する場合は、解凍方法にも注意しましょう。
解凍方法によって、歩留まりが良くなることもあります。
早く解凍しようと冷凍の食材をお湯に入れて溶かすと、大量のドリップが流れ出て歩留まりが悪くなります。
冷凍の食材は、適切な温度や時間で解凍しなくてはいけません。
そのためにも、日ごろからの温度管理を徹底して最適な解凍条件を見つけておくことが大切です。
現場で問題意識を共有する
歩留まりを上げようと思っても、現場で食材を扱う従業員に問題意識がなければ、改善は難しいでしょう。
おすすめなのは、現場でロス食材などのデータを把握してもらうことです。
自ら食材ロスを集計することで、歩留まり改善に対する意識が高まります。
上からの指示にただ従うのと、自分で問題意識を持って取り組むのでは、その結果にも大きな差が出るはずです。
まとめ
食品業界における歩留まりは、可食部を増やしたり、食材の温度管理を適切に行ったりすることで改善できます。
ただし歩留まり率を上げるために、本来食べない部分まで可食部に含めることはやめましょう。
食材によって、可食部やロスの割合は大きく変わります。
数字だけにとらわれず、全体的なバランスを考えて、歩留まりの改善目標を立てましょう。