プレス加工の作業に資格は必要?優遇される四つの資格を紹介
求人募集の広告やWebサイトで、「プレス加工」という仕事を見かけたことはありませんか?
これからプレス加工の求人に応募しようと考えている人もいるかもしれませんね。
そこで気になるのは、「どんな資格が必要なんだろう」「資格がなくても働けるのだろうか」ということではないでしょうか。
この記事では、プレス加工の仕事内容とともに、持っていると優遇される資格についてもまとめました。
プレス加工の仕事のやりがいや、仕事に向いている人の特徴も紹介しているので参考にしてください。
プレス加工とはどんな仕事?
プレス加工とは、プレス機械を使用して金属を成形する加工方法です。
機械に金型を取り付け、圧力を加えることで加工を施します。
車の車体やドアなどの大きなパーツのほか、腕時計やスマートフォンなどの精密機器まで、金属を使う製品の製造には欠かせない技術です。
打ち抜き・曲げ・絞りなどの工程があり、加工目的に合った金型の取り付けや材料のセット、試し打ちや金型の調整などを行います。
設備によっては、自動化されていることもあるでしょう。
自動化されている場合は、金型を取り付けた後は制御盤の監視や操作を行うことになります。
主な勤務先
プレス加工技術者の勤務先は主に、金属部品メーカー、自動車メーカー、電気メーカーなどです。
下請けでプレス加工を行う部品専門のメーカーもたくさんあります。
自動化が進んでいる企業では、自動プレス機の操作や保守に、専門的な知識と技術が求められます。
雇用形態は、知識や技術を持つ正社員と、実際に作業を行う非正規労働者に分かれるでしょう。
新卒の場合は、学校や職業安定所からの紹介で採用されることが多いようです。
他業種からの転職者も多く、中途採用の場合は、職業安定所からの紹介のほか、求人広告で仕事を探すこともできます。
板金加工との違い
プレス加工と似ている仕事に板金加工があります。
どちらも金属の加工に携わる仕事で、その違いは曖昧です。
完成した製品を見ただけでは、どちらの加工法で製造されたのかを判断するのは難しいでしょう。
プレス加工と板金加工の主な違いは、加工に使う金型です。
プレス加工では製品に合わせた専用の金型を使うのに対し、板金加工では汎用金型を使用します。
商品に合わせて金型を作るプレス加工では、1回のプレスで必要な加工が完了しますが、金型を作るのに時間と費用がかかるので、小ロットの生産には向きません。
汎用金型を使う板金加工では、1回のプレスで1カ所の加工しかできないので、加工個所と同じ回数プレスを行う必要があります。ただしプレス加工のように、製品に合わせた金型を用意する必要がないので、少ロット生産にも対応可能です。
以下に、プレス加工と板金加工の違いをまとめたので確認しましょう。
プレス加工 | 板金加工 | |
生産性 | 大量生産 | 少量生産 |
コスト | 高い | 安い |
生産を開始するまでにかかる時間 | 長い | 短い |
ワークの大きさ | 小さい | 大きい |
加工精度 | 金型の精度による | 作業者の技術による |
プレス加工に関わる資格
プレス加工の仕事は、無資格でも可としている求人がたくさんあるので、仕事に就くハードルは比較的低いでしょう。
ただ、資格があれば優遇される場合もあります。
これからプレス加工の仕事に就きたいと考えている人はもちろん、今プレス加工に携わっていてこれからスキルアップを目指すという人も、資格の取得は視野に入れておいた方がよいでしょう。
ここでは、プレス加工の仕事で持っていると優遇される四つの資格を紹介します。
金属プレス加工技能士
金属プレス加工技能士は、プレス加工の技術を証明する国家資格です。
都道府県職業能力開発協会が実施する試験で、学科試験と実技試験に合格すると取得できます。
区分 | 受験資格 | 受験料 |
特級 | ・1級合格後5年以上の実務経験 | ・学科試験:3,100円 ・実技試験:18,200円 ※都道府県によって異なる |
1級 | ・7年以上の実務経験 ・2級合格後2年以上もしくは3級合格後4年以上の実務経験 ※学歴により異なる | |
2級 | ・実務経験2年以上もしくは3級合格者 ※学歴により異なる |
プレス機械作業主任者
動力駆動のプレス機械を5台以上保有する事業場で、当該機械による作業に従事する労働者がいる場合に、事業者は、プレス機械作業主任者を専任しなくてはなりません。
これは労働安全衛生法第14条で定められており、プレス機械作業主任者は、プレス機械作業主任者技能講習を修了していることが条件となります。
作業指揮や厚生労働省で定められた職務を行うのが、プレス機械作業主任者の役割です。
受験資格 | 受験料 |
・プレス機械による作業に5年以上の従事経験 ・厚生労働大臣が定める者 | ・12,100円 ・テキスト代:1,540円 |
動力プレス特別教育
動力駆動のプレス機械を取り扱う場合は、動力プレス特別教育を受けなくてはなりません。
これは労働安全衛生規則第36条2号で定められており、金型・安全装置・安全囲いの取り付けや取り外し、調整などに関する知識や点検方法、関連する法令について学びます。
受験資格 | 受験料 |
満18歳以上 | ・9,675円 ・テキスト:1,100円 |
工場板金技能士
工場板金技能士は、手作業や加工機械で金属板を加工する技術を証明する国家資格です。
都道府県職業能力開発協会が実施する検定試験です。
工法ごとに、曲げ板金作業・打ち出し板金作業・機械板金作業・数値制御タレットパンチプレス板金作業の四つに区分されます。
区分 | 受験資格 | 受験料 |
特級 | ・1級合格後、5年以上の実務経験 | ・学科試験:3,100円 ・実技試験:18,200円 ※都道府県によって異なる |
1級 | ・7年以上の実務経験 ・2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験 ※学歴により異なる | |
2級 | ・実務経験2年以上、または3級合格者 ※学歴によりなる | |
3級 | 不問 |
プレス加工のやりがい
続いてプレス加工という仕事のやりがいについて見ていきましょう。
プレス加工のやりがいとして挙げられるのは以下の通りです。
- 未経験から始められる
- 最先端の技術を学べる
未経験から始められる
プレス加工の仕事を始めるのに、特別な資格はいりません。
機械の取り扱いに注意必要ですが、作業自体は簡単です。
無資格で始めたとしても、自分の経験や技術にあわせて資格を取得することもできます。
必要に応じた資格を取得することで、キャリアアップや独立も目指せるでしょう。
最先端の技術を学べる
プレス加工の仕事では、日本の最先端技術を学べます。
小さな町工場が海外からの発注を受けることも珍しくありません。日本のプレス加工技術は、世界に誇れるものづくりの技術といえるでしょう。
このような最先端技術を働きながら学べるのは、プレス加工の仕事をするメリットの一つといえます。
プレス加工の仕事で大変なこと
プレス加工は、やりがいのある魅力的な仕事ですが、働くにあたり大変なこともあります。
プレス加工の仕事で大変なこととして挙げられるのは以下の通りです。
- 作業が単調になりがち
- 事故やケガのリスクがある
- 作業環境が過酷
作業が単調になりがち
プレス加工は、同じ作業を繰り返す単調な仕事です。
同じ作業をひたすら繰り返すことが苦痛だと感じる人もいるでしょう。
機械操作がメインなので体力は必要ありませんが、単調な仕事が続くことで集中力が散漫になることもあります。
単調な作業が苦手な人は、プレス加工の仕事に向きません。
事故やケガのリスクがある
プレス加工で取り扱う機械には様々な種類がありますが、どの機械も扱い方を間違えると危険です。
作業自体は難しくないものの、ちょっとした気の緩みが事故やケガにつながる可能性もあります。
製造現場では、徹底した安全管理が行われているものですが、作業者が注意散漫で規定を守れなければ意味がありません。
事故やケガのリスクがあるので、常に集中して作業に臨む必要があります。
作業環境が過酷
プレス加工を行う工場は、作業環境が過酷になりがちです。
稼働中のプレス機械は高温になるので、必然的に室温も高くなります。
夏場は冷房を入れても室温が30℃を超えることもあるでしょう。
機械の稼働音も大きく、騒音が苦手な人にとっては、働きにくいと感じるかもしれません。
肌が弱い人は、金型に使う油で手が荒れることもあります。中には油のにおいが苦手だという人もいるでしょう。
暑さ・騒音・においなど、作業環境が過酷なのは、プレス加工の仕事で大変なことの一つです。
プレス加工の仕事に向いている人
どのような人がプレス加工の仕事に向いているのでしょうか。
ここでは、プレス加工の仕事に向いている人の特徴を紹介します。
ものづくりに興味がある人
ものづくりに興味のある人は、プレス加工の仕事に向いているでしょう。
日本のプレス加工技術は、世界的もトップクラスです。
身近な日用品や業務用機器など、国内の需要にとどまらず、海外からの発注を受けることも少なくありません。
工程の中でも特にグローバルな製品の流れを知ることができます。
ものづくりが好きで、専門的な技術を身に付けたいという人は、プレス加工の仕事にやりがいを感じられるでしょう。
集中力がある人
プレス加工では、集中力を持って作業しなくてはいけません。
加工に使う機械は、取り扱いを間違えると事後につながる危険性もあります。
作業自体は簡単だからこそ、長時間高い集中力を保つのは大変です。
集中して物事に取り組むのが得意な人は、プレス加工の仕事に向いているでしょう。
まとめ
プレス加工の技術は、金属の部品を扱う製造業に欠かせません。
日本のプレス加工技術は、国内にとどまらず、海外でも高く評価されおり、将来性もある仕事です。
やりがいのある仕事ですが、機械を扱うのでケガや事故のリスクもあり、作業環境が過酷だという一面もあります。
これからプレス加工の仕事をしようと考えているのであれば、今回紹介した優遇される資格やプレス加工の仕事に向いている人の特徴も参考にしてくださいね。