食品関係の工場の仕事|仕事内容ややりがい・向いている人の特徴を解説
食品工場は、弁当や菓子、飲料、水産加工食品や冷凍食品などを扱っている工場です。調理や盛り付けなどの仕事があり、基本的には一つの作業のみを担当します。同じ作業をコツコツと続けられる方や、きれい好きな方、責任感がある人が向いているでしょう。本記事では食品工場の種類や仕事内容、メリット・デメリットを解説します。この記事を読んで、自分が食品工場の仕事に向いているかどうか確認しましょう。
食品関係の工場の種類
食品工場では、さまざまな食品を生産しています。食品工場で作られている製品の中で、代表的な下記の六つについて紹介します。
- 飲料
- 畜産
- 水産
- パン・菓子
- 弁当
- 冷凍食品
それぞれの作業内容や主な販売先、仕事上での注意点を見ていきましょう。
飲料
飲料の工場では、飲料そのものの製造だけではなく、容器の製造を行っている工場もあります。工場では、原材料を調合したり、飲み物となる液体を加熱殺菌したり、ペットボトルや缶、紙パックなどの容器を製造したりします。飲料を容器に充填(じゅうてん)し、ラベルを貼って、検品・梱包ができたら出荷します。できあがった飲料が販売される場所は、コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなどです。自動販売機でも売られています。仕事上では飲料となる液体に別の材料の液体が混ざらないよう注意したり、異物が混入したりしないよう集中して作業をしなければなりません。また、衛生面でも細心の注意が必要ですので、常に身だしなみを整え、手洗い・うがいなども徹底できることが求められます。
畜産
畜産物の工場では、動物の食肉を加工しています。ハムやベーコン、ソーセージなどに加工するほか、調理がしやすい大きさにカットしてバラ売りできるようにしているのも畜産物の工場です。包丁で直接食肉を切ったり、スライサーという機械を使ってカットしたりします。カットしたあとのパック詰めや検品、梱包作業も行います。畜産工場で加工された製品が販売される場所は、スーパーやデパートなどです。
食肉を扱うため丁寧な身支度が必要とされることが多く、たいていの場合は全身の消毒をしてから作業に入ります。従って衛生面に気を配れる注意深さが必要です。
水産
水産加工の工場での仕事は、水産物を適切な大きさにカットすることが主です。ただし、畜産工場と違って魚の頭や内臓の下処理をしなければなりません。カットしたあとに鮭フレークや、ツナ缶、燻製、佃煮のような加工品を製造している工場もあります。カットだけなのか、加工品も製造するのかによって作業工程は異なります。
食肉加工の工場と同様、細かい衛生面への配慮が必要です。また魚独特の匂いが気になる人は、少しつらい職場となるかもしれません。
パン・菓子
パンや菓子工場の仕事は、生地作りや成形、焼成が中心です。パン製造では材料をミキサーで混ぜて練り上げ、生地を作ります。その後、発酵、分割、成形を行い、オーブンで焼き上げてから種類によってはクリームを入れたりシロップを塗ったりします。菓子工場も同様ですが、ケーキやアイスクリームなども菓子類に含まれるので製品の種類が多く、扱う材料や工程も種類が豊富なことが特徴です。また、製造以外にも検品や梱包作業も行います。製品はスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどに並びます。パン製造は仕事の開始が朝早いことが多いので、出勤時間をよく確認しましょう。また、製菓工場では機械操作の作業が多く手作業で生地を作ったり成形したりすることは少ないため、普段お菓子作りをよくする人ほど仕事内容にギャップを感じるかもしれません。
弁当
弁当の製造は、おかずから作り始めます。具体的な仕事内容は、材料の数をチェックすることや下ごしらえ、調理、容器に食品を入れること、ラベルを貼ることなどです。他の製造工場同様、検品と出荷の作業もあります。各工程で注意することが違うので、注意力と集中力が求められます。作られた弁当は、スーパーやコンビニエンスストア、デパートなどで販売されます。
冷凍食品
冷凍食品の製造では冷凍された食材を加工する仕事や、容器に詰める仕事、検品、梱包などの仕事を担当します。また、箱詰めされた製品を冷凍庫へフォークリフトを使って運ぶ仕事もありますが、こちらは男性が担当することが多く、通常女性は製造に携わります。弁当の製造と似ているものの大きな違いは、すでに冷凍保存されている食材を扱うことと、基本的にマイナス15℃以下の環境下で作業することです。防寒具などは支給されますが、寒さが苦手な人はつらい職場となってしまうでしょう。製造された冷凍食品は、スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどで販売されます。
食品関係の製造業の仕事内容
食品製造工場での一般的な業務内容は、下記の四つです。
- 仕込み
- 調理
- 盛り付け
- 検査
それぞれの仕事内容の詳細と、仕事のやりがいについて説明します。
1.仕込み
仕込みの工程では調理前に材料を切ったり、材料を規定量に分けたりします。最初は一定の大きさに切ったり、規定量を量ったりすることが難しく感じるかもしれません。しかし繰り返すうちに慣れ、スムーズに作業を進めることができるようになります。魚をさばいたり、素早く野菜や肉を切ったりなど日常生活にも役立つスキルを取得できることが、やりがいにつながります。
2.調理
調理は仕込みが終わった材料を使い、料理を作る工程です。メニューはその日によって変わることもあるので、焼く・煮る・揚げるなどさまざまな調理方法を担当することになるでしょう。調理工程の醍醐味は、さまざまな料理の調理工程を知ることができることです。家庭で使うものより大きな調理用の機械を使う場合もあるので、取り扱いには注意が必要です。半面、大量の料理を一気に作るという工場ならではの経験にやりがいを感じられます。
同じ作業を繰り返すことが多い他の工程と違い、メニューが変わると扱う材料や調理方法も変わります。そのため、同じ作業に飽きることは少ないでしょう。
3.盛り付け
できた料理を容器に盛り付けたり、飾り付けをしたりする仕上げの工程です。弁当製造を例にとってみると、一人ですべてのおかずを載せるのではなく、ライン上に流れてくる容器にご飯だけを盛り付ける人、サラダだけを盛り付ける人のように決められたものだけを入れます。弁当の盛り付け以外にもケーキなどの洋菓子に飾り付けをしたり、容器にふたをしたり、ラベルを貼ったりする作業も盛り付けの工程に含まれます。完成間近の食品を見られることが、盛り付けの工程のやりがいといえるでしょう。
盛り付ける分量が決まっているので、ライン上での流れを止めないようにスピーディーかつ正確に料理を盛り付けることが求められます。また、単調な作業が続くので、飽きないように自分なりの工夫が必要な工程です。
4.検査
できた製品に不備がないか、機械や目視でチェックする工程です。チェック項目はあらかじめ決まっているので、それに従って検査をします。最終的には人の口に入るものを作っているので、異物混入や異変がないかを確かめる重要な作業です。工場製品の安全性を保つ仕事に携われることにやりがいを感じられるでしょう。
仕事上では、どんな小さな異変も見逃さない注意力と細やかさが求められます。普段から注意深い人や、細かい部分によく気付く人はその才能を発揮できる仕事です。
食品工場で働くメリット
食品工場で働くメリットは、下記の2点です。
- 未経験の人でも応募できる
- 職場の温度が一定に保たれている
製造の仕事というと経験者が優遇されたり、必要なスキルがあったりしますが、食品工場では未経験の人でも応募できます。また工場の室温は、食品に影響がないよう一定に保たれていることも特徴です。各メリットの詳細を確認しましょう。
未経験の人でも応募できる
食品工場の多くは、未経験の人でも応募できます。用意されたマニュアルに沿って作業をするので、初めての人でも問題なくできる仕事内容だからです。一つの工程のみを任されるため、仕事に慣れるのも早いでしょう。仕事に慣れれば気持ちにも余裕ができますし、楽しく勤務できるようになります。
職場の温度が一定に保たれている
食品を扱うため、工場内は一定の温度に保たれています。加えて衛生面も重視されているのできれいな環境で働けます。ただし、扱っている食品によっては高温や低温に偏ることもあるので注意しましょう。例えば、加熱調理をしている工場では室温が40℃以上になることも珍しくありません。また冷凍食品の工場では、マイナス15℃以下に保たれていることが多いです。工場内の気温に合わせて対策はしてくれていますが、暑さや寒さが苦手な人は、応募するときに工場内の環境について確認しておきましょう。
食品工場で働くデメリット
未経験者でも応募が可能と門戸の広い食品工場ですが、デメリットも存在します。具体的には下記の2点です。
- 立ちっぱなしの仕事であること
- 身なりに制限がある
働く前にデメリットを把握し自分に合っているかを見極めた上で、応募しましょう。
立ちっぱなしの仕事であること
重労働は少ないものの、基本的にどの工程も立ったままの作業です。ライン上での作業は他の人にも影響するため、途中で手を止めることもできず数時間立ちっぱなしで仕事をします。また同じ姿勢で同じ作業を繰り返すので、肩こりや腰痛にもなりやすいです。
休憩時間にストレッチをしたり、着圧靴下を履いたり、サイズの合った靴を着用することで、多少足腰への負荷が軽減されます。座りながら仕事ができる食品工場もあるので、応募の際に確認してみましょう。
身なりに制限がある
メイクができない、アクセサリーは外さなくてはいけないなど、身なりに関する制限があります。食品への異物混入を防ぐためです。クリーンスーツと呼ばれる体の大部分を覆う服を着ての作業になるので、おしゃれをして仕事をしたい人には向いてないかもしれません。
食品工場で働くのは、どんな人が向いているか
食品工場で働くのに向いているのは、以下のような人です。
- コツコツと仕事ができる人
- きれい好きな人
- 責任感のある人
具体的にどのような場面で上記のポイントを生かせるか、説明します。
コツコツと仕事ができる人
コツコツと同じ作業を続けられる人が向いています。食品工場では、一つの工程を担当しその仕事を繰り返すことになるからです。幅広い作業を任されるのではなく、材料をカットするだけ、容器に盛り付けるだけのように同じ作業を続けることが得意な人に向いている職場です。コツコツと仕事ができる能力は、食品工場のどの工程でも生かされるでしょう。
きれい好きな人
普段からきれい好きな人にも、向いている職場といえるでしょう。食品工場は衛生面で非常に気を使うからです。メイクやアクセサリーの制限があっても気にせず、きれいな工場で働くことを優先したい人は、食品工場での仕事が適しています。
責任感のある人
責任感がある人も、食品工場に向いています。食品を扱う以上、少しのミスも許されないからです。異物が混入しないことはもちろん、形や量が違うこともクレームにつながってしまいます。特に、検査の作業ではその責任感を生かし、製品に異常がないかを隅々までチェックできるでしょう。食品を作るだけではなく、消費者の安全や企業イメージも担っていると考えられる人は、食品工場での仕事に向いています。
まとめ
食品工場では弁当・菓子・パンをはじめ、食肉加工や水産加工、冷凍食品など、食品に関するものを幅広く取り扱っています。製造している食品によってさまざまな工程を経ていますが、主な仕事は仕込み・調理・盛り付け・検査の四つです。食品工場で働く際には、一つの作業を任されることになり、それを黙々と続けられる体力や集中力が必要とされます。また、食品を扱うため他の工場よりも衛生面での規制が厳しく、メイクやアクセサリーが制限されることも特徴です。室温が一定に保たれていることが多く、比較的働きやすい環境です。ただし、調理工程によっては高温多湿な場合もあるので、暑さが苦手な人は事前に確認をしましょう。きれいな職場で、コツコツと働きたい人には食品工場はおすすめです。