シフト制と変形労働時間制との違い|それぞれのメリットや勤務時間計算サイトなどをご紹介
求人情報から自分にあった仕事を選ぶ上で、シフト形態は重要なポイントです。よく「自由シフト制」や「固定シフト制」、「完全シフト制」などの条件を目にすることがありますが、どのように異なるのか、はっきり理解していない人もいるかもしれません。
ここでは、一口にシフト制といってもどんな種類があるのか、それぞれのメリットとデメリットについて説明します。今後、求人情報をチェックする上で参考にしてください。
シフト制とは
シフト制とは、曜日や時間を従業員同士で交替して働く働き方です。
勤務日や勤務時間が定められている固定勤務制と異なり、アルバイトやパートなどで業種を問わず導入されています。また、飲食業や販売業では労働時間が長いため、労働基準法が定める1日の所定労働時間の上限である8時間の枠内で、交替しながら働く必要があります。
シフト制の種類
シフト制には、自由シフト制、固定シフト制、完全シフト制があります。
- 自由シフト制
自由シフト制とは、時間や曜日が固定されておらず、月単位で希望シフトを勤務先に提出し、それに基づいて決められるシフト制です。コンビニ、スーパー、ファミレス、カフェ、ホテル、コールセンターなど業種を問わず、広く導入されています。
- 固定シフト制
固定シフト制とは、時間や曜日が固定されているシフト制です。一般的には半年あるいは1年単位で決められるため、シフトを変更する場合には十分前もって勤務先に連絡する必要があります。家庭教師や塾、工場の生産ラインなどで採用されています。
- 完全シフト制
完全シフト制とは、2交替制や3交替制のようにあらかじめ複数の勤務形態が用意されており、それに基づいてシフトを選択する勤務パターンです。24時間稼働している工場のラインや空港、病院などで採用されています。
シフト制と変形労働時間制の違い
変形労働時間制とは、労働時間を週や月、年単位で管理する制度です。例えば、月単位で管理しているため、忙しいときは1日の労働時間を長めに、暇なときは少なめに調整することが可能です。シフト制に似ているようですが、変形労働制の場合、決められた範囲内で所定の時間に達すればよいため、臨機応変に時間を変えられるのに対し、シフト制ではそうはいきません。
変形労働時間制には以下の4種類があります。
【変形労働時間制の種類】
- 1週間の変形労働時間制
- 1カ月単位の変形労働時間制
- 1年単位変形労働時間制
- フレックスタイム制
1週間単位の変形労働時間制
1週間単位の変形労働時間制は、30人規模未満である特定の事業(小売業・旅館・料理、飲食店)で利用できます。1週間40時間以内で、1日の労上限を10時間となるように労働時間を決めます。利用を希望する場合は労使協定を結び、労働基準監督署に届け出をして締結します。
1カ月単位の変形労働時間制
1週間単位の変形労働時間制は、1カ月内で1週間当たりの平均が40時間以内となるように労働時間を決めます。1週間単位より、自由度の高い調整が可能です。
1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制は、1カ月以上1年以内の期間において1週間当たり平均40時間の労働時間を設定します。ただし、以下のような制限があるので注意が必要です。
- 労働日数の上限が280日
- 労働時間は1日10時間、1週間で52時間まで
- 連続勤務は基本6日まで(繁忙期の場合は最長12日)
- 1週間に1回の休みは取得すること
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、1カ月内に所定の勤務時間を満たせばよい制度です。従業員が自由に出勤時間や退勤時間を決められることを前提にしていますが、完全に自由にするとミーティングなどを開催する上で不便です。そのため、多くの企業では、必ず出勤しなければならない時間である「コアタイム」を設定しています。
シフト制のメリット・デメリット
どの制度を選ぶべきかを選ぶ際にはそれぞれのメリット・デメリットについて理解しておくことが必要です。ここではシフト制のメリット・デメリットについて説明します。
【シフト制のメリット】
- 自分の都合に合わせて勤務できる
自由シフト制であれば、働く日を自分で調整できるため、仕事とプライベートのバランスを保ちやすい。
- 時給が高くなることがある
時給が高い深夜に集中的に勤務すれば、短期間で稼ぐことが可能。
【シフト制のデメリット】
- 先々の予定を立てにくい
固定シフト制に比べて、希望日を提出して勤務日が決まるまで、予定を入れられない。
- 生活が不規則になりやすい
深夜か昼間を固定せずに勤務時間を変化させるため、生活が不規則になりやすい。人によっては睡眠に影響を与える可能性もあり、体調を崩す恐れもある。
固定シフト制のメリット・デメリット
ここでは、固定シフト制のメリット・デメリットについて説明します。
【固定制のメリット】
- 出勤や帰宅時間をある程度予想できる
出勤や帰宅時間が予想できるため、家族との計画や先の予定の調整がしやすい。
- 生活のリズムが整いやすい
固定シフトは一般的に朝から夕方の勤務であり、「昼間は働いて、夜は睡眠」のリズムが作りやすい。
【固定制のデメリット】
- 業種がオフィスワークに偏る
固定制を採用している職場の多くがオフィスであり、業務内容がオフィスワークに偏る。
- 短期間でまとめて稼ぐのが難しい
固定シフト制の業務時間は昼間のことが多いため、深夜に比べると時給が低い。
変形時間労働制のメリット・デメリット
ここでは、変形時間労働制のメリット・デメリットを説明します。
【変形時間労働制のメリット】
- 所定労働時間の調整ができる
変形時間労働制は、1カ月や1週間などの単位で労働時間を管理しているため、状況に応じて調整がしやすい。
- 業務を効率化できる
変形時間労働制では、忙しいときに集中的に働き、忙しくないときは勤務時間を減らすことが可能で、業務の効率化が可能。
【変形時間労働制のデメリット】
- 導入までに時間がかかる
変形労働時間制を導入するには、就業規則を見直し、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出も必要であり、時間がかかる。
- 労働時間がばらつく
繁忙期には長時間働き、閑散期には業務時間が短縮されることを働きづらいと感じる可能性がある。
【企業向け】勤務体制の決め方
勤務体制には上述したシフト制、変形労働制以外にも、裁量労働制などもあり、それぞれにメリット、デメリットがあります。最適な勤務体制は業態によって変わってくるため、以下に示すそれぞれの特性についてよく理解しておくことが大切です。
勤務体制 | 特徴 |
シフト制 | 飲食店やコンビニなど、業務時間が長く、従業員を交替する必要がある業態に向いている。勤務者の自由な働き方を実現。 |
変形労働時間制 | 繁忙期と閑散期の差が大きい業種に向いている。変形労働時間制を採用することで、業務効率化を実現。 |
裁量労働制 | 仕事を成果で測る働き方。労務管理を簡素化できる。 |
シフト制で働いている人が現在の勤務時間を知るには
シフト制で働いていて、給与の計算をするにあたり、現在の勤務時間を知りたい人には以下のサイトがオススメです。
また、Excelで利用できる関数もあります。
まとめ
勤務時間が固定されていない勤務体制にもいろいろあります。また、シフト制、変形労働時間制がどう異なるか、理解することで自分の目指す働き方にぴったり合った求人を見つけられるでしょう。ここで紹介した内容を活用して、仕事とプライベート、家族のバランスを保つために最適な働き方を見つけましょう。