研究職のキャリアプランを就職先・研究内容別に紹介!身につけるべきスキルも解説
研究職のキャリアプランについて悩んでいないでしょうか。
大学、公的機関、民間企業など、キャリアの選択肢は多岐にわたりますが、自分に合った道を見つけるのは容易ではありません。
本記事では、研究職の主なキャリアプランを就職先別、研究内容別に詳しく解説します。さらに、理想のキャリアを実現するために必要なスキルも紹介します。
【就職先別】研究職の主なキャリアプラン
まずは、研究職の主なキャリアプランを大きく3つに分けて紹介します。
- 大学・大学院
- 公的機関
- 民間企業
大学・大学院
大学・大学院の研究職は、専門分野の研究を深めるだけでなく学生の指導も行う仕事です。就職した企業から大学とのパイプ役として派遣されるケースや、公募などから大学のポストに応募するケースがあります。
キャリアプランの例として、(博士号を取得している場合)助教から始まり、准教授を経て教授になる道があります。また、研究成果を積み重ね、自分の研究室を持つことも目標になります。論文発表や学会活動を通じて、分野での知名度を上げていくことも大切です。
ただし、大学の研究者は競争も激しく安定したポストを得るまでに時間がかかることもあります。
公的機関
公的機関の研究職は、国家公務員と地方公務員で仕事内容が大きく変わります。
国家公務員の研究職は、水産・生物・土木・農業などさまざまな分野で基礎研究から開発まで携わります。各省庁の国立研究機関に配属され、海洋汚染分析や科学捜査など、国家レベルの課題に取り組みます。
一方地方公務員の研究職は、都道府県庁や市役所、公設試験研究機関などに勤務し、地域の特性に応じた研究や調査を行います。地域を盛り上げるための技術研究や情報提供、地元企業との共同研究なども重要な仕事です。
どちらも社会のニーズに応じた研究活動を通じて、国や地域に貢献する役割を担っています。
民間企業
民間企業の研究職は、会社の利益につながる研究開発を行います。新製品や新技術の開発が主な仕事です。
研究成果が製品化されるなど、自分の研究が社会に直接影響を与える喜びを感じられる一方で、企業の方針変更などによって研究テーマが変わることもあります。
具体的なキャリアプランを4つ紹介します。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、研究プロジェクトの計画から実行、評価までを管理します。複数の研究者をまとめ、目標達成に向けてチームを導く役割です。
このポジションには、リーダーシップやコミュニケーション能力が欠かせず、一研究者としての経験も重視されます。また、予算管理や人員配置も踏まえてチームを導く必要があります。
部署や企業全体のマネジメント
研究部門の管理職や経営陣になるキャリアプランです。研究開発の方向性を決定したり、他部門と連携して新事業を立ち上げたりします。
ビジネスセンスと戦略的思考が必要で、異なる部署間の調整役にもなります。リーダーシップと決断力も重要です。
研究者としての専門知識を活かしつつ、経営的な視点で判断を下すことが期待されるでしょう。
スペシャリスト
ある分野で高い専門性を持つエキスパートになるキャリアプランです。最先端の研究開発を行い、新製品や新技術を生み出していきます。
最先端の知識や技術を学び続けるだけでなく、競合他社に負けないようスピーディに研究開発を行う必要があります。論文発表など外部への発信も欠かせず、専門外の人に対して研究成果を分かりやすく説明するスキルも大切です。
企業内でのアドバイザー的役割や若手研究者の育成にも携わります。
他部署や他企業への異動・転職
企業の方針によっては常に自分がやりたい研究をできるわけではありません。そうした中で、他部署や他企業への異動・転職もキャリアの選択肢として挙げられます。
自分の専門性やスキルをより活かせる環境を選ぶことで、満足できるキャリアプランを歩めるでしょう。また、これまで関わってこなかった業界に移ることで経験の幅を広げることもできます。
大学・公的機関へ入職
企業での経験を活かし、大学や公的機関で研究を続けるキャリアプランです。ビジネススキルに強い研究者になれ、産学連携プロジェクトでリーダーシップを発揮するチャンスも増えるでしょう。
自分の専門性を活かせる研究を行える一方で、資金獲得などの新たな課題もあります。
起業
研究で得たスキルや知識、人脈を活かして起業する道もあります。研究成果を製品化したり、新技術サービスを提供したりできます。経営や資金調達のスキルも必要ですが、専門性を最大限に活かせます。
リスクは大きいですが、アイデアを形にして社会にインパクトを与えられる可能性もあるでしょう。研究者としての問題解決力や論理的思考力が起業家としても役立ちます。
【研究内容別】主なキャリアプラン
続いて、研究内容別のキャリアプランを3つ紹介します。
- 基礎研究
- 応用研究
- 開発研究
基礎研究
基礎研究は、自然現象や原理の解明を目指す研究です。すぐに実用化できなくても、将来の技術革新につながる可能性のある研究を行います。
キャリアプランとしては、「部門長」を目指すことが多いです。部門長とは、部門全体や研究者たちを管理するポジションです。研究員から主任研究員を経て、課長、部長を目指すことになります。
ただし、部門長の次となる役職は用意されていないことが多く、収入も伸び悩むことがあるでしょう。
応用研究
応用研究は、基礎研究の成果を実用化につなげる研究です。社会で起こっている問題を解決するのに役立てられます。
キャリアプランとしては、同じく「部門長」を目指すことになりますが、専門性の高さゆえに次なる役職が用意されておらず、キャリアチェンジも難しい傾向にあります。
裏を返せば、自分の興味がある研究をやり続けられるだけでなく、専門性を高めることが可能です。実用化に結びつけば、社会にインパクトを与えられるでしょう。
開発研究
開発研究は、「基礎研究」と「応用研究」を踏まえて、新製品や新サービスの具体化を目指す研究です。市場のニーズに合わせた新製品開発や既存製品の改良を行います。
キャリアプランとしては、「管理職」を目指すことが一般的です。開発研究部門を統括したり、管理したりする役割を果たします。また、研究開発部門と他部門をつなぐ役割を担い、経営企画の立案に関わることもあります。
研究職で理想のキャリアプランを叶えるために必要なスキル5選
研究職で活躍するために必要なスキルを5つ紹介します。
- 文章作成力
- プレゼンテーション力
- 英語力
- コミュニケーション力
- プログラミングスキル
文章作成力
研究職と文章作成力はマッチしないように思われるかもしれません。しかし、文章作成力は研究成果を論文にまとめたり、報告書を作成したりする際に必須です。
論理的な文章を書く能力は、研究の成果を伝え、評価を得るために欠かせません。
このスキルを身につけるには、日々の練習が大切です。研究ノートを丁寧にまとめる習慣をつけたり、学会誌や論文を積極的に読んでいい文章の構造を学んだりしましょう。また、上司に文章を添削してもらい、フィードバックを得ることも大切です。
プレゼンテーション力
プレゼンテーション力は、学会発表や社内報告会など、自分の研究を他者に説明する際に求められるスキルです。
複雑な内容を分かりやすく伝え、説得力をともなうことで、研究者としての評価を高めるだけでなく、共同研究や研究費獲得のチャンスにもつながります。
このスキルを磨くには、まず練習あるのみです。研究室内で定期的にアウトプットする場を設けたり、勉強会で発表したりして経験を積みましょう。発表を録画して自己分析するのも効果的です。
また、うまい人のプレゼンテーションを観察してテクニックを学ぶのもいいでしょう。
英語力
研究の世界では、英語が共通言語として扱われます。国際学会での発表、英語論文の執筆、海外の研究者とのコミュニケーションなど、英語力は研究の基礎スキルとして欠かせません。
英語力を高めるためには、高校までで習った英語の基礎をおさらいするだけでなく、TOEICなどの資格試験に挑戦し、目標を持って学習するのも一つの方法です。
オンライン英会話サービスを利用して、定期的に英語に触れる機会を設けるのもいいでしょう。短期留学なども、英語力を磨くチャンスになります。
コミュニケーション力
研究は一人で行うものではありません。チームでの協力や他部署との連携が常に関わってきます。
彼らと良好な人間関係を築き、アイデアを効果的に伝え、また他者の意見を理解するコミュニケーション力は、研究の進展や新たな発見につながります。
コミュニケーション力を高めるには、まず他者と話す時間を増やすことが大切です。研究室内でのディスカッションへ参加したり、社会人の交流会に参加したりしましょう。
また、「聞く力」を磨くことも重要です。コミュニケーション力というと話すことばかりイメージしがちですが、相手の話を聞いて理解してはじめてコミュニケーションが成立します。
プログラミングスキル
現代の研究では、データ解析やシミュレーションなど、コンピュータを使う場面が増えています。プログラミングスキルがあれば、自分のニーズに合わせたツールを作成したり、大量のデータを処理したりすることができます。
プログラミングスキルを身につけるには、まず自分の研究に関連する言語(PythonやRなど)を選び、基礎から学び始めましょう。
オンラインの学習プラットフォームなどを活用すると、自分のペースで学習できます。実際の研究データを使って小さなプロジェクトを始めるのもいい練習になるでしょう。
まとめ
研究職のキャリアプランは、就職先や研究内容によってさまざまな可能性があります。
大学・大学院では教育と研究の両立、公的機関では社会貢献、民間企業では製品開発といった特徴があります。また、基礎研究、応用研究、開発研究といった研究内容によっても、キャリアの方向性が異なります。
どの道を選んでも、文章作成力、プレゼンテーション力、英語力、コミュニケーション力、プログラミングスキルは、活躍するために欠かせないスキルです。
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