セキュリティエンジニアとは?仕事内容や向いている人の特徴、おすすめの資格も紹介
情報セキュリティの脅威が年々高まる現代社会において、セキュリティエンジニアの役割は企業のデジタル資産を守る最前線として、かつてないほど重要性を増しています。サイバー攻撃の手法が日々進化し、データ漏洩やランサムウェアなどのインシデントが後を絶たない中、高度な専門知識と技術力を持つセキュリティエンジニアは、組織の安全性と信頼性を確保する要となっています。
本記事では、セキュリティエンジニアの具体的な仕事内容や、求められるスキル、そしてキャリアパスに ついて詳しく解説していきます。
セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアとは、デジタル時代における組織の安全を守る重要な専門家です。主にネットワークやシステムのセキュリティ対策を担当し、外部からのサイバー攻撃や内部からの情報漏洩を防ぐための包括的な防御戦略を立案・実行します。
具体的には、セキュリティシステムの設計・構築から、日常的な監視・運用、インシデント発生時の対応まで、幅広い業務を担います。また、組織全体のセキュリティレベルを向上させるため、セキュリティポリシーの策定や従業員への教育・啓発活動も重要な責務です。
近年では、クラウドセキュリティやAIを活用した防御など、新しい技術への対応も求められており、継続的な学習と技術革新への適応が不可欠です。デジタルトランスフォーメーションが進む現代社会において、セキュリティエンジニアの役割は、組織の持続的な成長と信頼性確保のために欠かせない存在となっています。
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セキュリティエンジニアの仕事内容
先述したように、セキュリティエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。
以下に、主な業務について詳しく説明します。
- セキュリティ対策の企画・提案
- セキュリティシステムの設計・構築
- セキュリティシステムの運用・保守
- セキュリティインシデントの対応
セキュリティ対策の企画・提案
セキュリティエンジニアの主要な仕事の一つは、組織全体のセキュリティ対策の企画と提案です。この過程では、まず組織の現状のセキュリティ態勢を詳細に分析し、想定されるサイバー攻撃やデータ漏洩などのリスクを特定します。
その評価結果に基づき、技術的な対策からセキュリティポリシーの整備、従業員教育まで含む包括的な防御計画を立案します。計画には必要な予算、人員配置、実施期間などの具体的な実行計画も含まれ、これらを経営層や関係部署に対して説得力のある形で提案します。
特に、セキュリティ投資の必要性や費用対効果を明確に示し、組織全体の理解と協力を得ることが重要です。提案が承認された後は、実際の導入計画の策定から実施まで、一連のプロセスを主導的に進めていきます。
セキュリティシステムの設計・構築
セキュリティエンジニアの業務として、組織の情報資産を保護するためのセキュリティシステムの設計・構築があります。これは、組織のニーズとリスク分析に基づいて、最適なセキュリティ対策を実装する重要な工程です。
具体的には、ファイアウォールの設定、ウイルス対策ソフトの導入、アクセス制御システムの実装など、複数のセキュリティ製品を効果的に組み合わせて、包括的な防御体制を築きます。システムの設計においては、高度なセキュリティ確保と業務効率のバランスを慎重に検討し、組織の生産性を維持しながら堅牢な防御を実現します。
また、システムの導入前には、様々なシナリオを想定した入念なテストを実施し、セキュリティ対策の実効性と運用上の課題を検証します。このプロセスを通じて、組織の特性に適合した、実用的かつ効果的なセキュリティ環境を構築しています。
セキュリティシステムの運用・保守
セキュリティエンジニアの中核的な業務の一つが、セキュリティシステムの運用・保守です。これには、ファイアウォールやIDS/IPS、アンチウイルスソフトなどの防御システムの24時間体制での監視が含まれ、不審な活動や潜在的な脅威を早期に検知して対応します。
また、各種セキュリティツールやソフトウェアの定期的なアップデート、セキュリティパッチの適用を通じて、システムの脆弱性対策を行います。日々発生するセキュリティアラートの分析と対応、インシデント発生時の緊急対応と原因究明、さらには得られた知見を基にした再発防止策の策定も重要な責務です。
このように、セキュリティエンジニアは組織のデジタルインフラを常に最適な防御状態に保つため、予防的な保守管理から事後対応まで、包括的なシステム運用を担っています。
セキュリティインシデントの対応
セキュリティエンジニアの主要な業務の一つが、セキュリティインシデントへの対応です。不正アクセスやマルウェア感染、データ漏洩といった事態が発生した際には、まず被害状況の即時把握と影響範囲の特定を行います。その上で、攻撃の遮断やシステムの一時停止など、被害の拡大を防ぐための緊急措置を実施します。
同時に、ログ解析やフォレンジック調査を通じて侵入経路や攻撃手法を詳細に分析し、インシデントの全容解明を進めます。さらに、調査結果に基づいて脆弱性の修正や防御策の強化といった再発防止策を講じ、経営層や関係部門への報告も行います。
このように、インシデント対応では技術的スキルに加えて、緊急時の冷静な判断力やコミュニケーション能力も重要となるのです。
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴
ここからは、セキュリティエンジニアに向いている人の特徴を紹介していきます。
- セキュリティに対する強い興味と関心を持っている人
- 論理的思考力と問題解決能力が高い人
- 忍耐力と集中力がある人
- コミュニケーション能力が高い人
- 責任感と倫理観がある人
セキュリティに対する強い興味と関心を持っている人
セキュリティエンジニアに最も適しているのは、情報セキュリティの分野に対して純粋な探究心と持続的な興味を持つ人材です。日々進化するサイバー攻撃の手法や、次々と登場する新たな脆弱性に対応するためには、常に最新の技術動向をキャッチアップし、自己研鑽を続ける強い意志が不可欠です。
特に、セキュリティ分野は技術革新のスピードが速く、知識の陳腐化も早いため、学習意欲が高く、自発的に新しい知識や技術を吸収できる人が向いています。このような知的好奇心と学習への情熱が、セキュリティエンジニアとしての専門性を深め、キャリアの成長を支える重要な素質となります。
論理的思考力と問題解決能力が高い人
セキュリティエンジニアに特に適性があるのは、複雑な問題を論理的に分析し、効果的な解決策を見出せる人材です。日々進化するサイバー攻撃の手法や、組織特有のセキュリティリスクに対して、原因を的確に特定し、実行可能な対策を導き出す必要があるためです。
また、限られた予算やリソース、時間的制約の中で最適な解決策を見出すには、論理的な思考プロセスと柔軟な問題解決アプローチが不可欠です。システムの脆弱性を体系的に分析し、優先順位を付けながら対策を実施できる論理的思考力は、セキュリティエンジニアの成功に欠かせない要素となっています。
忍耐力と集中力がある人
セキュリティエンジニアに求められる重要な資質として、高い忍耐力と集中力が挙げられます。サイバーセキュリティの分野では、システムの脆弱性を特定したり、不正アクセスの痕跡を追跡したりする際に、膨大なログや技術情報を綿密に分析することが必要です。
また、セキュリティインシデントが発生した際には、原因の特定から対策の実施まで、長時間にわたる緻密な作業が求められます。このような状況で、集中力を維持しながら粘り強く問題解決に取り組める能力は、セキュリティエンジニアとして成功するための重要な要素です。
コミュニケーション能力が高い人
セキュリティエンジニアにとって、高いコミュニケーション能力は不可欠な資質です。複雑な技術的内容を、経営層や他部署のメンバーにわかりやすく説明し、セキュリティ対策の重要性を効果的に伝える必要があるためです。
また、セキュリティインシデントが発生した際には、迅速な情報共有と的確な指示が求められ、社内外の様々な関係者と緊密に連携を取りながら対応を進めなければなりません。そのため、技術的なスキルだけでなく、他者との円滑なコミュニケーションを図れる能力が、セキュリティエンジニアの成功には重要な要素となっています。
責任感と倫理観がある人
セキュリティエンジニアに最も求められる資質として、強い責任感と高い倫理観が挙げられます。企業や組織の機密情報を扱い、重要な情報資産を防衛する立場にあるため、その職務が組織の存続に直結する重要性を理解し、誠実に業務に取り組む姿勢が不可欠です。
特に、情報漏洩やシステム障害が組織に致命的な影響を与える可能性があることを常に意識し、法令や社内規定を厳格に遵守しながら、細心の注意を払って業務を遂行できる人物が、この職種には適しています。情報セキュリティの最後の砦として、揺るぎない倫理観を持ち続けることが重要です。
セキュリティエンジニアになるために有利な資格
セキュリティエンジニアの仕事は、資格がなくても就職することは可能です。しかし、資格を持っていると、多くのメリットがあります。
代表的な資格としては、以下のようなものがあります。
- 情報処理安全確保支援士試験
- シスコ技術者認定
- CASP+
- 情報セキュリティマネジメント試験
- LinuC
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)は、国内最高峰のセキュリティ資格として認知され、法律で定められた唯一の情報セキュリティのための国家資格です。合格後に登録することで「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができ、企業での評価が非常に高いです。
難易度は高く、高度な専門知識と実践的な問題解決能力が必要です。応用情報技術者試験レベルの基礎知識が前提となります。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定(CCNA/CCNP Security)は、ネットワークセキュリティの実務スキルを証明する世界的に認知された資格です。特にCCNP Securityは、エンタープライズセキュリティの専門性を示せます。
CCNAの難易度は中級レベルで、基礎的なIT知識があれば3-6ヶ月の学習で取得可能です。CCNP Securityは上級レベルで、実務経験が実質的に必要です。
CASP+
CASP+(CompTIA Advanced Security Practitioner)は、高度なセキュリティ知識とリスク管理能力を証明できる上級資格です。特に米国政府関連の仕事や国際的な企業での評価が高いです。
難易度は高く、Security+取得後、最低でも5年程度のセキュリティ実務経験が推奨されています。技術的な知識に加えて、マネジメントスキルも問われます。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、セキュリティ管理の基礎知識を証明できる入門レベルの国家資格です。特に新卒採用や若手エンジニアのキャリアステップとして有効です。
難易度は比較的低く、基本的な情報セキュリティの知識があれば、2~3ヶ月の学習で取得可能です。実務未経験者でも十分に合格できるでしょう。
LinuC
LinuC(旧LPIC)は、Linuxサーバーのセキュリティ管理に必要な知識を証明できます。多くのセキュリティツールがLinux上で動作するため、基盤的なスキルとして重要です。
Level 1の難易度は中級レベルで、3-6ヶ月の学習で取得可能です。Level 2、3と上がるにつれて難易度は上がり、実務経験が必要になってきます。
セキュリティエンジニアになるためのキャリアパス
セキュリティエンジニアへのキャリアパスは、主に三つのルートが一般的です。
- セキュリティベンダー
- ネットワークエンジニア
- スペシャリスト
最も直接的なのは、情報系の学部や専門学校でセキュリティの基礎を学び、セキュリティベンダーや関連企業に新卒入社するルートです。実践的な環境で経験を積みながら、専門性を高めていくことができます。次に、システムエンジニアやネットワークエンジニアなど、他のIT職種からの転向も有効なキャリアパスとなります。インフラやシステム開発の経験は、セキュリティ業務において大きな強みとなるためです。
さらに、社会人経験を経てからセキュリティ関連の資格取得にチャレンジし、スペシャリストとして転職するケースも増えています。特に情報処理安全確保支援士やCISSPなどの上位資格は、専門性を証明する強力な武器となります。
その他のキャリアパスとして、新しいセキュリティ技術の研究開発に携わったり、セキュリティに関する法規制の知識を活かして法務部門で活躍したりといった道も考えられます。
いずれのパスにおいても、技術の進化に合わせた継続的な学習と実践的な経験の蓄積が、キャリアの成功を左右する重要な要素です。
セキュリティエンジニアの仕事内容に関するよくある質問
ここからは、セキュリティエンジニアの仕事内容について質問に回答していきます。
セキュリティエンジニアの年収は?
厚生労働省「jobtag」によると、セキュリティエンジニアの平均年収は558,3万円です。
ただし、エンジニア職は経験やスキル、勤務先によって収入に大きな差が出やすいものです。年収を上げたい場合は、スキルアップが欠かせません。
セキュリティエンジニアとシステムエンジニアの違いは?
システムエンジニアが顧客のニーズに応じたシステムの設計・開発・運用を主軸とし、ビジネス要件をシステムとして実現することに注力するのに対し、セキュリティエンジニアはそれらのシステムや情報資産を外部の脅威から保護することに特化しています。
また、システムエンジニアがプログラミングやデータベース設計などの開発スキルを重視するのに対し、セキュリティエンジニアは脆弱性診断や侵入テスト、インシデント対応など、防御と分析に関する専門知識が求められます。
まとめ
セキュリティエンジニアは、組織のデジタル資産を守る専門家として、セキュリティ対策の企画から、システムの設計・構築、運用・保守、インシデント対応まで、幅広い業務を担当します。キャリアパスとしては、セキュリティベンダーへの新卒入社、他IT職種からの転向、資格取得を通じたスペシャリスト化などが一般的です。技術の急速な進化に伴い、継続的な学習と実践的経験の蓄積が、この職種での成功には不可欠です。
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