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自動車エンジニアとは?仕事内容や年収、必要な資格について解説

自動車業界は100年に一度と言われる大変革期を迎えています。電気自動車(EV)や自動運転技術の急速な進歩により、自動車エンジニアの役割はますます重要になっています。
 
ただ、自動車エンジニアになるにはどのような技術や能力、知識が求められるのでしょうか。

本記事では、自動車エンジニアの仕事内容や求められるスキル、役立つ資格について解説します。自動車技術の最前線で活躍したい方、ものづくりに情熱を持つ方はぜひ最後までお読みください。

目次

自動車エンジニアとは



自動車エンジニアは、自動車メーカーにおいて車の本体やパーツの研究開発を担当する専門職です。安全性、効率性、環境への配慮を考慮しながら、車両を設計・開発する重要な役割を果たしています。
 
自動車エンジニアの仕事は、車両全体のコンセプト設計から個別のパーツ開発まで幅広く、機械工学、電気工学、材料科学などさまざまな知識と技術を求められるでしょう。
 
また、最新の技術トレンドや市場ニーズを把握し、それらを実際の製品開発に反映させる必要があります。


自動車エンジニアの仕事内容



自動車エンジニアの具体的な仕事内容は、その専門分野や所属する部署によって多岐にわたります。
 
主な業務内容を詳しく見ていきましょう。
 
(※以下でご紹介するすべての業務を一人で担うとは限りません。企業や部署によって異なります)
 

設計・開発

設計・開発は、自動車エンジニアの中心となる業務です。
 

  • 新しい自動車や部品の設計
  • CADソフトウェアを使用した3Dモデリング
  • 性能、安全性、燃費効率の向上

 
市場調査から得られた消費者ニーズや最新の技術動向を踏まえ、新しい車両や部品の構想を練ります。CADソフトウェアを駆使し、車体、エンジン、サスペンション、内装など車両のあらゆる要素を3Dモデリングします。
 
既存モデルの改良にも取り組むことが可能です。例えば、軽量化による「燃費の向上」、新素材を用いた「安全性能の強化」、EV技術の導入による「環境性能の向上」などが挙げられます。
 
こうした改良は、単に性能向上だけでなく製造コストや生産性も踏まえて進められます。
 

テスト・評価

設計段階で作成された3Dモデルをもとに、実際のプロトタイプ(試作車)を製作し、各種テストを実施します。
 

  • プロトタイプの製作と試験
  • 各種性能テストの実施(衝突試験、空力試験など)
  • データ分析と改善点の特定

 
衝突試験では、さまざまな角度や速度での衝突をシミュレートし、乗員や歩行者の安全性を評価します。空力試験では、風洞装置を用いて車体の空気抵抗を測定し、燃費性能や高速安定性を検証します。
 
また、異なる気候条件下での性能を確認するため、極寒地や熱帯地域でのテスト走行が行われることもあるでしょう。
 
これらのテストで得られたデータを分析し、設計上の問題点や改善の余地が特定されます。この結果を基に、エンジニアは設計の修正や部品の改良を行い、再度テストを繰り返します。
 

製造プロセスの最適化

設計された車両を量産するため、製造プロセスを最適化することも自動車エンジニアの業務の一つです。
 

  • 生産ラインの設計と改善
  • 品質管理システムの構築

 
生産ラインの設計では、各工程の順序や作業時間、必要な設備や人員配置を細かく計画します。最新のロボットやIoTを活用し、生産効率を最大化しつつ、作業者の負担を抑える方法を模索します。
 
品質管理システムの構築では、製造過程における各段階の品質チェックポイントを設定します。

また、AI技術を活用した画像認識システムなど、最新技術を取り入れた品質管理手法の開発にも取り組みます。
 

技術革新

自動車業界は現在、100年に一度と言われる変革期を迎えています。自動車エンジニアは、この変革を牽引する重要な役割を担っています。
 

  • 電気自動車や自動運転技術などの新技術開発
  • 環境に配慮した材料や製造方法の研究

 
電気自動車(EV)の開発では、高性能バッテリーの設計やモーター制御システムの開発に取り組みます。充電時間の短縮や、航続距離の延長など、EVの実用性を高める研究が進められます。
 
自動運転技術の分野では、AIを活用した画像認識システムや高精度GPS、各種センサー技術の統合に取り組みます。
 
環境に配慮した材料や製造方法の開発も、重要なポイントです。バイオプラスチックやリサイクル可能な新素材の研究、製造過程でのCO2排出削減など、自動車のライフサイクル全体での環境負荷低減に取り組みます。

プロジェクト管理

自動車開発は、複雑で大規模なプロジェクトのため、効率よく管理する必要があります。
 

  • 開発スケジュールの管理
  • チーム間の調整や連携

 
開発スケジュールの管理では、企画、設計、試作、テスト、量産準備など各段階の進捗を綿密に管理します。特に、複数の部品やシステムの開発が並行して進む中で、それぞれの進捗を調整し全体として整合性のとれた開発を進めることが重要です。
 
チーム間の調整や連携においては、機械、電気、ソフトウェアなど異なる専門分野のエンジニアチーム間のコミュニケーションを図ります。
 

規制対応

自動車には安全性、環境性能、燃費といった面で、厳しい規制が設けられています。自動車エンジニアは、規制をクリアする車両設計を行う責任があります。
 

  • 安全基準や排出ガス規制などの法規制への適合

 
例えば、安全基準への適合では衝突安全性能や歩行者保護、電磁両立性(EMC)など、多岐にわたる要求事項を満たさなければなりません。海外に自動車を輸出する際は、各国・地域で異なる規制に対応するため、グローバルな規制の動向を常にチェックし、それに沿った設計を行います。
 

コスト管理

競争の激しい自動車業界において、コスト管理は重要です。自動車エンジニアには、高品質を維持しつつコストを最適化する努力も求められます。
 

  • 材料やプロセスの最適化によるコスト削減

 
例えば、材料の最適化では新素材の採用や、既存材料の使用方法の工夫により部品の軽量化やコスト削減の両立を図ります。
 
製造プロセスの改善では、生産ラインの自動化や効率化により、人件費や生産時間の削減を目指します。また、「モジュール化設計」の採用により、部品の共通化を進め、開発コストと製造コストを削減します。


自動車エンジニアの平均年収は712万円



出典:自動運転開発エンジニア(自動車)|職業情報提供サイト jobtag

自動車エンジニアの平均年収は712万円です。

年齢とともに平均年収は上がり、30代で600万円を超え、40代後半で800万円を超えます。50代後半で935.71万円のピークを迎え、60代以降は急速に減っていきます。
 
70代以降で平均年収が高まっているのは、定年後の再雇用や、転職で現場に指南役などで復帰しているケースが考えられます。


自動車エンジニアになるために必要な資格



ここからは、自動車エンジニアになるために必要な資格を解説します。
 
ただし、職業として目指すうえで必須の資格ではありません。
 
次のような資格があると、就活時やキャリアアップを目指す際に有利に働くでしょう。
 

  • 技術士(機械部門)
  • 自動車整備士
  • CAD利用技術者試験
  • 品質管理検定(QC検定)
  • 電気自動車整備士
  • 情報処理技術者試験
  • 英語能力証明(TOEIC、TOEFLなど)
  • 安全管理者
  • 公害防止管理者

 

技術士(機械部門)

技術士(機械部門)は、機械工学の高度な専門知識と応用能力を有する技術者を認定する国家資格で、自動車設計や開発分野におけるトップクラスの資格です。
 
合格率は一次試験で30〜40%、二次試験で約11%です。特に二次試験では実務経験に基づく応用力が問われます。
 
機械設計や製造プロセスの最前線で活躍したい方にとって、価値ある資格といえます。
 

自動車整備士

自動車整備士は、自動車の構造や整備に関する知識を証明する国家資格で、1級、2級、3級の3つの等級があります。自動車業界志望者や機械工学の基礎知識を身につけたい方におすすめです。
 
3級の筆記試験の合格率は60〜70%、2級は40〜90%、1級は50〜60%です。他にも口述試験や実技試験もありますが、年度によってかなり合格率が変動します。
 
エンジンやトランスミッション、電子制御システムなど、機械工学の基礎となる知識をカバーしているため、自動車業界以外でも役立ちます。
 

利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、2次元CADや3次元CADの操作スキルを証明する民間資格です。機械設計、建築設計、電気設計などの分野で働く技術者や、それを目指す学生に適しています。
 
2次元CADと3次元CADの試験があり、基礎、1級、2級などのレベル分けがあります。合格ラインは70%以上の正答率です(※1級、2級ではその他条件あり)。
 
CAD利用技術者試験は、CADスキルの証明だけでなく、学習する中でCADの使用方法や設計の基本的な考え方を身につけられるため、実務レベルの向上にも役立つでしょう。
 

品質管理検定(QC検定)

品質管理検定は、製品やサービスの品質管理能力を評価する資格です。4級から1級まであり、4級は基本の理解、3級は基本的活動、2級は自立した活動、1級はリーダーシップを評価します。
 
品質管理に関わるすべての人におすすめで、キャリアアップに有効です。
 
難易度は級によって異なり、4級の合格率は約85%ですが、1級は約2.5%と難易度が高くなります。製造現場から管理職まで、品質向上に関心のある方に適した資格です。
 

電気自動車整備士

電気自動車整備士は、EVやハイブリッド車の整備・点検に特化した専門資格です。
 
ガソリン車とは異なる電気システムや高電圧バッテリーの知識が必要です。自動車整備士としての基本スキルに加え、電気工学や電子制御システムの深い理解が求められます。
 
ディーラーや整備工場、EV専門サービスセンターでの活躍が期待されます。難易度は比較的高く、通常の自動車整備士資格取得後、さらなる専門学習と実務経験が必要です。
 

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は、ITの基礎知識を幅広く評価する国家試験です。ソフトウェア開発、システム設計、データベース、ネットワークなどの知識が問われます。
 
自動運転技術やコネクテッドカー(ICT端末機器のある自動車)の開発に携わる方におすすめです。IT未経験者でも合格を目指せる「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント」に関しては、合格率が60%ほどです。
 
自動車業界のデジタル化が進む中、エンジニアのキャリアアップや転職に有利な資格として注目されています。
 

英語能力証明(TOEIC、TOEFLなど)

TOEIC、TOEFLは国際的な英語能力評価試験です。グローバルな環境で働く自動車エンジニアに有用で、海外との研究交流や国際企業での活躍に役立ちます。
 
TOEICは700点以上、TOEFLはiBTで70点以上が実用レベルとされます(※諸説あり)。難易度は個人の英語力により異なりますが、学習を継続することでスコアアップを目指します。
 

安全管理者

安全管理者は、労働安全衛生法に基づく事業場の安全管理を担当する資格です。主に従業員50人以上の特定業種の事業場で選任が義務づけられています。
 
作業場の安全点検、危険防止措置の実施、安全教育、災害原因調査などを担当します。
 
自動車関連の工場や研究施設で働くエンジニア、管理職におすすめです。資格取得には、一定の実務経験(学歴により2~7年)と、厚生労働大臣が定める研修の修了が必要です。
 
難易度は中程度で、実務経験を積んだうえでの専門知識が求められます。研修は1日ほどで修了します。
 

公害防止管理者

公害防止管理者は、工場などからの大気汚染、水質汚濁、騒音、振動などの公害を防止するための国家資格です。大気、水質、騒音・振動、ダイオキシン類など専門分野ごとに区分されています。
 
自動車企業の環境管理部門や、排出ガス対策、廃水処理、騒音対策に携わるエンジニアにおすすめです。
 
資格取得の難易度は高く、2023年度の合格率は大気関係第1種で20%ほど、水質関係第1種で30%ほどです。一発合格は難しいですが、「科目別合格制度」を活用して取得を目指せます。


まとめ



自動車エンジニアは、設計・開発から製造プロセスの最適化まで幅広い業務を担当し、平均年収は712万円です。技術士や自動車整備士などの資格取得はキャリアアップに有効です。
 
100年に一度の大変革、と言われる自動車産業のサポートができるのが、ワールドインテックのテクノ事業です。大口需要のアウトソーシングに対応し、IoTやAIなど先端技術を取り入れた自動車関連の製品開発に携わっています。スキルの高いエンジニアが集まり、若手を育成しながらチームとして働ける体制を整えています。
 
また、全国規模のネットワークを活用した採用活動や独自の育成プログラムにより、スキルと人間力を兼ね備えたエンジニアを育成し、定着率を高めています。ご興味のある方は気軽にご相談ください。


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