インフラエンジニアは楽すぎって本当?理由や大変なこと・向いている人の特徴を解説

インフラエンジニアを「楽な仕事」と表現する声を時々耳にします。確かに、システム開発のような短期的な納期プレッシャーは比較的少なく、安定した環境で働けるという特徴はあります。
しかし、この「楽」という評価は、インフラエンジニアの仕事の本質を正しく理解していないことから生まれている誤解かもしれません。24時間365日稼働するシステムを支える責任、予期せぬ障害への対応、セキュリティ脅威への継続的な警戒など、実際の業務には高度な専門知識と強い責任感が求められます。
本記事では、インフラエンジニアの実態に迫り、その仕事の特徴や、向いている人物像について詳しく解説していきます。
インフラエンジニアとはどんな仕事?
インフラエンジニアは、企業や組織のITシステム基盤を支える専門家として、サーバーやネットワーク、データベースなどのITインフラの設計、構築、運用、保守を担当する職種です。
クラウドサービスの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、ビジネスのIT依存度は急速に高まっており、システムの安定稼働と効率的な運用を実現するインフラエンジニアの役割は、ますます重要性を増しています。
24時間365日途切れることなく稼働するシステムを維持するため、障害対応やセキュリティ管理、パフォーマンスの最適化など、多岐にわたる技術的課題に取り組んでいます。
インフラエンジニアが楽すぎと言われる理由5選
インフラエンジニアが「楽すぎ」と言われる理由はいくつかありますが、必ずしも全てのインフラエンジニアに当てはまるわけではありません。
考えられる理由としては、以下の5つが挙げられます。
- ルーティンワークが中心だから
- 他のエンジニアと比べて専門知識がなくてもできるから
- 既存のスキルを活かしやすいから
- 残業が少ない傾向にあるから
- 勤務形態が柔軟に選べるから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ルーティンワークが中心だから
インフラエンジニア、特に未経験者が担当する運用・保守や監視業務では、明確なマニュアルに沿って定時に決められた手順で作業を行うことが主な仕事です。
システムに問題が発生した場合でも、自身で対応するのではなく管理者への報告で済むことが多く、高度な専門知識やスキルが求められることは少ないため、「楽な仕事」というイメージにつながっています。一方で、この属人性の低さは容易に人材を代替できることを意味するため、キャリアアップの必要性も指摘されています。
他のエンジニアと比べて専門知識がなくてもできるから
インフラエンジニアの初期段階、特に監視業務や運用・保守業務においては、整備された手順書やマニュアルに従って作業を進めることが多く、アプリケーション開発のような独自のロジックやアルゴリズムの構築は必要ありません。
また、トラブル発生時も、マニュアルに沿った一次対応を行い、解決できない場合は管理者に報告するだけでよく、プログラミング言語や開発フレームワークなどの高度な技術知識がなくても、基本的な業務をこなすことができます。
既存のスキルを活かしやすいから
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークの基礎的な知識が一度身についてしまえば、異なる案件や職場でも同様の技術やスキルを活用できるという特徴があります。
開発エンジニアのように新しいプログラミング言語や技術を常に学び続ける必要性が低く、既存の技術と機器の組み合わせが中心となるため、習得したスキルを長期的に活かすことができます。このため、継続的な学習負荷が比較的少ない職種として認識されています。
残業が少ない傾向にあるから
インフラエンジニアはITインフラの24時間365日の安定稼働を実現するため、シフト制や交代制での勤務が一般的です。決められた時間で次の担当者と交代するため、基本的に残業は発生しにくい傾向にあります。
また、Webエンジニアなどと異なり、クライアントからの納期に追われることも少ないため、納期直前の残業に追われるような事態も起こりにくいのが特徴です。
勤務形態が柔軟に選べるから
シフト制や交代制を基本とするインフラエンジニアは、チームで24時間365日のシステム監視を分担するため、個人の生活スタイルに合わせた勤務時間の選択が可能です。
日中のみならず、夜勤や早朝勤務など多様なシフトから選べることで、育児や副業との両立がしやすく、また定時での引き継ぎが明確なため、突発的な残業も少なく、ワークライフバランスを重視した働き方を実現しやすいと言われています。
インフラエンジニアは楽なだけではない!きついと言われる理由3選
たしかにインフラエンジニアは「楽すぎ」と言われることもありますが、実際には多くの苦労や責任を伴う仕事です。ここでは、インフラエンジニアがきついと言われる理由を3つご紹介します。
緊急トラブルの際は夜勤・休日出勤が求められる
インフラエンジニアはシステムの安定稼働を担う重要な役割上、予期せぬトラブルが発生した際には、時間帯を問わず即座の対応が求められます。
深夜のサーバーダウンや休日のネットワーク障害など、システムの緊急事態には、プライベートの予定中であっても現場への駆けつけが必要です。このような不規則な緊急対応は、心身の負担となるだけでなく、家族との時間や個人的な予定も犠牲にせざるを得ない状況を生み出すことがあります。
幅広い知識をインプットする必要がある
インフラエンジニアは、サーバー、ネットワーク、データベース、セキュリティなど多岐にわたる技術領域の知識が求められ、さらに近年ではクラウドサービスやコンテナ技術など、新たな技術領域も増え続けています。
また、各技術の基礎知識だけでなく、それらが複雑に絡み合うシステム全体を理解し、トラブル発生時には原因の切り分けや適切な対応を迅速に行う必要があるため、継続的な学習と深い理解が欠かせない職種だと言われています。
成果が見えにくく評価されにくい
インフラエンジニアが手がけるITインフラは、正常に稼働していることが当たり前とされるため、日々の保守・運用業務をどれだけ丁寧に行っても、その努力が目に見える形で評価されることは少ないのが現状です。
一方で、システム障害が発生した際には即座に問題視され、それまでの安定運用の実績よりも、単一の障害による失態が強く印象づけられ、マイナス評価につながりやすい特徴があります。
【あわせて読みたい!】インフラエンジニアがやめとけと言われる理由7選!働くメリット・向いている人の特徴も解説
インフラエンジニアに向いている人の特徴
インフラエンジニアに向いている人は、安定したITインフラを構築・運用することに喜びを感じ、常に学び続ける意欲のある人です。
具体的には、以下のような特徴を持つ人が向いています。
ルーティンワークやマニュアル通りの作業が得意な人
インフラエンジニアの業務は、システムの安定運用を維持するために細かな手順やチェック項目が明確に定められており、それらを正確に実行することが求められます。
一見単純なルーティンワークに見えるこれらの作業も、システム全体に影響を及ぼす重要な役割を担っているため、決められた手順を省略したり、マニュアルを軽視したりすることは許されません。
そのため、綿密な作業を面倒がらず、むしろ決められた手順を着実にこなすことに安心感や充実感を覚える人は、インフラエンジニアとして高い適性を発揮することができます。
社会貢献ができる仕事がしたい人
インフラエンジニアは、現代社会に不可欠なITサービスの基盤を支える重要な職種です。スマートフォンやインターネットが当たり前となった今日、その背後では24時間365日稼働するITインフラの安定運用が必要不可欠となっています。
直接的にユーザーから感謝されたり、目に見える形で成果が表れたりすることは少ないものの、縁の下の力持ちとして社会のインフラを支える重要な役割を担っています。ライフラインとも言えるITインフラの維持管理を通じて、社会全体の安定的な運営に貢献したいと考える人にとって、やりがいを感じられる職種といえます。
コツコツと努力できる人
インフラエンジニアは、クラウド技術やセキュリティ対策など、IT業界の急速な進化に合わせて継続的な学習が必要な職種です。特に、システムの安定運用を担保しながら、新しい技術や知識を習得していく必要があるため、日々の業務の合間を縫って学習時間を確保し、地道にスキルアップを図る姿勢が重要になります。
また、一度習得した知識や技術も、時代の変化とともに陳腐化するリスクがあるため、長期的な視点で自己研鑽を継続できる粘り強さが、インフラエンジニアとしてのキャリアを築く上で不可欠とされています。
インフラエンジニアに関するよくある質問
ここからは、インフラエンジニアに関するよくある質問に回答していきます。
インフラエンジニアの年収はいくら?
厚生労働省「jobtag」によると、インフラエンジニアの平均年収は684.9万円です。経験、スキル、役職、勤務地、業界など様々な要素によって異なりますが、一般的には高い水準と言えます。経験やスキルを磨くことで、さらに高収入を目指せる可能性があります。
インフラエンジニアの年収については以下の記事も参考にしてみてください。
【あわせて読みたい!】インフラエンジニアの年収を年代別に解説!給与アップのポイントも紹介
インフラエンジニアに将来性はある?
ITシステムの重要性が高まる現代社会において、インフラエンジニアの需要は着実に増加しています。特にDXの推進やクラウドサービスの普及により、高度な設計スキルと運用経験を持つインフラエンジニアの不足は深刻化しており、企業のIT人材確保競争も激化しています。
日本全体でIT人材が不足している現状を考えると、インフラエンジニアは今後も安定した雇用とキャリアアップの機会が見込める職種だと言えます。
【あわせて読みたい!】インフラエンジニアの基本的なキャリアパスとは?キャリアアップに必要なことや求められる能力についても解説
まとめ
インフラエンジニアは「楽すぎ」「きつい」という相反する評価を受けることがありますが、これは個人の適性や働く環境によって異なるものです。マニュアル化された業務と柔軟な勤務形態という特徴がある一方で、24時間365日のシステム安定稼働を支える重要な責任も担っています。技術革新が進む現代において、インフラエンジニアはIT社会の基盤を支える不可欠な職種であり、継続的な学習意欲と責任感を持って取り組める方にとっては、やりがいのあるキャリアパスとなるでしょう。
ワールドインテックのITS事業部では、最先端技術を駆使したシステム開発やITソリューションを提供しています。幅広い業界で培ったノウハウと専門性を活かし、クライアントの課題解決とビジネス成長を支援。充実した研修制度やキャリア支援により、未経験者から経験豊富なエンジニアまで成長を続けられる環境を提供しています。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。