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デリックとクレーンの違いは?運転士免許の種類や取得方法を解説

デリックもクレーンと似たような大きな機械なため、クレーンと認識している人もいるかもしれません。これらはそれぞれ違うものです。

この記事では、デリックとは何か、クレーンとの違いに触れながら解説します。また、デリックやクレーンのそれぞれの種類や免許についても解説します。これから就業予定の人、資格を取ろうとしている人はぜひ参考にしてみてください。

目次


デリックとクレーンの違い


デリックとクレーンは、どちらも重い荷物を運んだり持ち上げたりする際に使用する機械です。デリックとクレーンは持ち上げ方や構造が異なっており、運転するにはそれぞれ資格が必要です。デリックとクレーンの詳細についてそれぞれ解説します。

デリックは 動力で荷物をつり上げる機械装置

デリックは、動力を用いて荷物を吊り上げることを目的とする装置です。デリックにはいくつか種類がありますが、どの装置でも人力で荷物を吊り上げたり、吊り上げ荷物が0.5t未満のものだったりする場合はデリックとはみなされません。デリックの中には荷物を水平移動できないものもあります。

デリックの大きな特徴は、ブームとワイヤーロープを操作する原動機が、別々に設置されている点です。軸となる部分からブームまでワイヤーを使って、荷物を持ち上げるためにブームを操作します。ウインチで操作をしながら、荷物を持ち上げることができることも特徴です。

クレーンは動力で荷物を水平に運搬する機械装置 

クレーンは動力を用いて荷物を吊り上げ、水平に運搬することを目的とする装置です。荷物を吊り上げる際に、人力で行うことはクレーンとみなされませんが、荷物を水平移動する場合は人力で行ってもクレーンとみなされます。また、吊り上げ荷物が0.5t未満の場合もクレーンとはみなされません。

クレーンの特徴は荷物を持ち上げる際に、油圧シリンダーやワイヤーなどを用いる点です。クレーンはデリックと比べると種類が多く、工場や倉庫での利用やコンテナの積み下ろし、建築工事など、用途に合ったものが使われています。


デリックとクレーンの種類


デリックとクレーンの種類をそれぞれ紹介します。デリックは6種類、クレーンは大きく分けて7種類あります。

デリックの種類 

デリックは大きく下記の5種類にわかれています。

  • ガイデリック
  • ジンポールデリック
  • スチフレッグデリック
  • 鳥居型デリック
  • その他


使用目的や設置場所などが異なるため、それぞれ解説します。

ガイデリック

ガイデリックは、360度の旋回が可能な機械で、設置の際には広い場所が必要です。機械の組み立てや、材料置き場などで使用されます。

ガイデリックは、固定されたマストステップに、直立した1本のマストが立っており、マスト上部がガイロープに支えられている構造です。操作する際には、本体から離れた場所にあるウインチでおこないます。

ジンポールデリック

ジンポールデリックは、巻き上げのみが可能な機械です。水平移動をおこなうことはできないため、機械の据え付けや組み立てなどに使用されます。

ジンポールデリックは1本の傾斜させたマストが、3本以上のガイロープで支えられている構造です。

スチフレッグデリック

スチフレッグデリックは240度まで旋回が可能な機械で、巻き上げ・起伏・旋回がおこなえます。重量のある特殊な荷物の吊り上げに使用されています。

スチフレッグデリックは直立した1本のマストの先端を、2本のステーで後方から支えている構造です。

鳥居型デリック

鳥居型デリックは、巻き上げと巻き下げのみが可能な機械です。旋回などはできないため、重量のある荷物の持ち上げに使用されることが多いです。

2本のマストとその両端を結ぶ横張りからなっており、名前のとおりの鳥居型の構造になっています。

その他

その他にも、二又デリックやタワーデリック、Aフレームデリック、ブレストデリックなどがあります。デリックの製造許可によって上記の種類に分けられていますが、その他のデリックはそれぞれ独立した種類として取り扱われています。

クレーンの種類 

クレーンには大きく分けて下記の7種類があります。

  • 天井クレーン
  • ジブクレーン
  • 橋型クレーン
  • アンローダ
  • ケーブルクレーン
  • テルハ
  • スタッカークレーン


使用目的や設置場所などが異なるため、それぞれ解説します。

天井クレーン

天井クレーンは、天井付近に設置された可動式のクレーンで、建物の両側の壁に沿って設置されている走行軌道を走ります。天井クレーンの中にもいくつかの種類がありますが、主に工場の機械や部品を運ぶために使用されます。

走行軌道に沿って動くため、可動域に制限がありますが基本的には巻き上げや走行、横行の動作が可能です。

ジブクレーン

ジブクレーンは、旋回可能なジブと呼ばれるアームを持っているクレーンで、大きく分けて低床・塔形・クライミング式があります。基本的にはジブの先端に巻き上げ用のロープを通して、荷物を吊る構造です。

種類によって用途は様々ですが、主にふ頭や造船所などで使われています。巻き上げや起伏、旋回が可能で、最近では高層ビルの建設でも活躍しています。

橋形クレーン

橋型クレーンは、天井クレーンの両端に脚を設置するため、橋のような形をしています。地上や地上に敷かれたレールの上を走行するクレーンです。屋外に設置されることがほとんどで、ふ頭での貨物の運搬や機械工場での運搬に使用されます。

また、作業範囲を拡大するために、片側しか脚がないものやカンチレバーを設けたものもあります。

アンローダ

アンローダーは、港湾などで船やはしけから石炭や砂利、チップなどを陸揚げするための専門のクレーンです。ほとんどの機内にホッパとコンベアが設置されており、砂や石炭などのばら物を受け取り、処理しやすい作りになっています。

アンローダーは大きく2種類に分かれており、橋型クレーン式と引込みクレーン式があります。

ケーブルクレーン

ケーブルクレーンは、2本の塔の間にメインロープを張っているクレーンです。長い距離のロープを張ることが多く、ダム工事や河川の改修、橋梁の架設などの土木工事に使用されます。

両端に高低差のあるものや片側の塔のみが走行するもの、両塔が走行するものなど様々な種類があります。

テルハ

テルハは荷物の上げ下げと、レールに沿った横行のみを行うクレーンです。工場や倉庫などの天井に鉄骨レールを設置し、ホイストやチェーンが吊り下げられている構造です。

小規模で簡単に操作できるものが多く、倉庫や機械工場などで材料や製品の運搬に使用されています。

スタッカークレーン

スタッカークレーンは、直立した2本のガイドフレームに沿って上下に動くクレーンです。自動倉庫の棚などの間に設置されることが多く、荷物の出し入れに使用されます。

クレーンの運転方法はさまざまで、すべて自動的に作業を行うものもあります。


クレーン免許の種類 


クレーン免許には下記の4つの種類があります。

  • クレーン・デリック運転士免許
  • クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
  • クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
  • 移動式クレーン運転士免許


クレーンの免許は、労働安全衛生法に定められた国家資格です。クレーンやデリックの運転の業務につくには、免許取得以外にも技能講習もしくは特別教育等の資格が必要になります。それぞれの免許を詳しく解説します。

クレーン・デリック運転士免許

クレーン・デリック運転士免許とは、吊り上げられる荷物が5t以上のクレーンとデリックを操作できる免許です。限定免許ではないので、クレーン・デリック運転士免許を持っていれば全てのクレーンとデリックを操作できます。

しかし、地上に設置されたデリックと船の上に設置されたデリックでは資格が異なり、船の上で操作するには別の資格が必要になるため注意が必要です。

また、以前はクレーンとデリックの運転免許は異なっていましたが、2006年4月に合同免許になりました。

クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)

クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)とは、吊り上げられる荷物が5t以上のクレーンを操作できる免許です。クレーン限定となるため、デリックの操作や運転はできません。

クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)

クレーン・デリック運転士免許(床上運動式クレーン限定)とは、吊り上げられる荷物が5t以上の床上運転式クレーンを操作できる免許です。

移動式クレーン運転士免許

移動式クレーン運転士免許とは、吊り上げられる荷物が5t以上の移動式クレーンを操作できる免許です。


技能講習によって取得可能なクレーン資格 


技能講習によって取得可能なクレーン資格は下記の3つです。

  • 小型移動式クレーン運転技能講習
  • 床上操作式クレーン運転技能講習
  • 玉掛け技能講習


免許取得の難易度は高いですが、技能講習によって得られるクレーン資格もあるため、まずはこちらの資格を取ることも視野にいれておきましょう。

小型移動式クレーン運転技能講習

小型移動式クレーン運転技能講習とは、釣り上げられる荷物が5t未満の移動式クレーンを操作できる講習です。20時間の学科講習と7時間の実技講習を受ける必要があります。すでに保有している資格や、業務経験がある場合には免除される学科講習もあります。

講習はいろんな場所で開催されており、料金は大体3万円程度です。

床上操作式クレーン運転技能講習

床上操作式クレーン運転技能講習とは、釣り上げられる荷物が5t以上の床上操作式クレーンを操作できる講習です。床上運転式クレーンとの違いは、床上操作式は運転する人が荷物の移動とともに移動する点です。

床上操作式クレーンのロープから荷物をかけたり下ろしたりする際には、別の資格が必要になるため注意しましょう。床上操作式クレーンの資格は、2万〜3万程度で取得できます。

玉掛け技能講習(1トン以上)

玉掛け技能講習とは、クレーンに1t以上の荷物をかけたり下ろしたりする際に必要な講習です。クレーンに限らず、デリックに荷物をかけ下ろしする際にも必要な資格です。概ね5年ほどで再講習を受ける必要があります。

すでに保有している資格や業務経験によりますが、15時間〜19時間の講習で、料金は2万2千円程度です。


特別教育によって取得可能なクレーン資格 


特別教育によって取得可能なクレーンの資格は下記の2つです。

  • 跨線テルハ
  • デリック特別教育


それぞれ詳しく解説します。

跨線テルハ

吊り上げ荷物が5t以上の跨線テルハと、吊り上げ荷物が5t未満のクレーンを操作するには、クレーン運転業務特別教育を受ける必要があります。跨線テルハとは、荷物を乗せた車両などを、線路を超えて運搬するためのクレーンです。

9時間の学科講習が行われ、実技教育は各事業所で行われることがほとんどです。料金は1万円程度で取得できます。

デリック特別教育

デリック特別教育とは、5t未満のデリックの操作や運転をするためのものです。デリックのみを運転する場合は、免許ではなく特別教育を受講しておけば問題ありません。5t以上のデリックを操作する場合は、クレーン・デリック運転士免許を取得する必要があります。


デリック・クレーンの仕事に向いている人の特徴 


デリック・クレーンの仕事に向いている人の特徴は下記のとおりです。

  • 最低限のコミュニケーションはできる人
  • 車や機械の操縦が好きな人
  • 細かい作業が好きな人


どのような人が向いているのか、それぞれ解説していきます。

最低限のコミュニケーションができる人

デリックやクレーンの仕事は、安全を保つことが大切なため、他の作業員とのコミュニケーションが必要です。効率よく作業を進めたり、事故なく進めたりするためにもコミュニケーションを取ることを意識しましょう。

複数人で仕事をすることが多いため、社交的である必要性はあまりありませんが、最低限のコミュニケーション能力を持っていることが望ましいです。

車や機械の操縦が好きな人

デリックやクレーンの仕事は、大型の機械を操作することがほとんどです。そのため、ある程度機械や車の操縦に慣れている人、操縦が好きな人が向いています。

また、操作するためには、資格や免許を取得しなければいけません。国家資格なので簡単ではないため、車や機械の操作が好きな人のほうが勉強が捗るでしょう。学べば学ぶほど、扱える機械の種類が増えるため、学ぶ意欲がある人も望ましいです。

細かい作業が好きな人

細かい作業が好きな人も、デリックやクレーンの仕事に向いています。大きな荷物を扱うことがほとんどなため、荷物の重さや形状に応じてクレーンの高さや角度を微調整する必要があります。

取り扱うサイズによっては、慎重に扱わなければいけないものもあるため、安全に運搬できるように細部まで気を張ることも必要です。


まとめ


デリックとクレーンは、どちらも重い荷物を運搬するための機械ですが、全く異なる安全規則が定義されています。どちらもさまざまな種類があり、それぞれの機械を扱うには必要な免許や資格が存在します。

デリックやクレーンの資格は誰でも取得できますが、ときには危険も伴うこともあるため、安全に仕事をすることや、正しい知識をつけることは欠かせません。高い技術を伴う仕事なので、やりがいがある仕事ともいえます。


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