システムエンジニアがやめとけと言われる7つの理由とは?向いている人の特徴も解説
システムエンジニアは、IT業界の重要な職種でありながら、長時間労働やキャリアパスの難しさから「やめとけ」と言われることも少なくありません。
しかし、こうした問題は決して避けられないものではなく、工夫次第で充実したキャリアを築くことができます。
本記事では、システムエンジニアが「やめとけ」と言われる理由や、向いている人の特徴、必要なスキル、「やめたい」と思わないようにするためのポイントまで詳しく解説します。
システムエンジニアがやめとけと言われる主な理由7つ
IT業界で重要な役割を果たすシステムエンジニアですが、さまざまな理由から「やめとけ」と言われてしまうことがあります。
ここでは、主な7つの理由を紹介します。
- 残業・休日出勤が多い
- 給与が上がりにくい
- キャリアアップがしにくい
- 裁量権が低い
- 納期に追われやすい
- クライアント折衝がストレスになりやすい
- 常にキャリアアップをしなければならない
残業・休日出勤が多い
システムエンジニアは残業や休日出勤が多い仕事で、プロジェクトの納期に間に合わせるために長時間労働を強いられることも少なくありません。
システム開発は予定通りに進まないことも多く、遅れを取り戻すために休日返上で作業をすることもあります。これではプライベートの時間も減り、身体的・精神的な負担が増えてしまうでしょう。
ワークライフバランスを保つことが難しく、心身の健康を損なう恐れがあるため、「やめとけ」と言われてしまうのです。
給与が上がりにくい
システムエンジニアの給与は、経験を積んでも思うように上がらないことがあり、特に下請け企業で働く場合にその傾向が強くなります。
多重下請け構造となっているシステム開発業界では、一次請け企業の利益が大きく、下請けになればなるほど実際に作業する人の給与は上がりにくくなってしまうのです。
また、技術の進歩が速いため、常に新しいスキルを身につける必要がありますが、スキルを身につけてもそれが給与に反映されるとは限りません。あくまでプロジェクトの成果次第で評価が変わるため、給与が上がりにくいという面もあります。
キャリアアップがしにくい
システムエンジニアは、働く場所によってはキャリアアップが難しい場合があります。
システム開発は方式設計や要件定義などの上流工程と、詳細設計、コーディングやテストといった下流工程に大きく分けられます。
このような構造上、特に下流工程を担う下請け企業では上流工程を経験する機会がないため、キャリアアップは期待できない場合が多いでしょう。
裁量権が低い
特に下請け企業で働くシステムエンジニアや若手の場合、裁量権の低さもデメリットの一つです。
上司や顧客の指示に従って作業をすることが多く、自分のアイデアや創造性を発揮する機会はあまりありません。
こうした環境で決められた作業だけを機械的に行っていると、やりがいを感じられず、働く意欲が低下してしまう恐れもあります。
納期に追われやすい
システムエンジニアは納期に追われることが多い仕事です。
システム開発のプロジェクトは複雑で、しっかり計画を立てていても予期せぬトラブルの発生が付きものです。それでも決められた期日までに成果物を納めなければならないため、日々大きなプレッシャーを感じていることになります。
納期のプレッシャーで、休日でも頭の片隅には仕事がちらつき、ゆっくり休めないというケースもあるでしょう。
クライアント折衝がストレスになりやすい
システムエンジニアの仕事にはクライアントとの折衝も含まれていて、要件の確認や変更の依頼、進捗報告など多くのコミュニケーションが求められます。
しかし、技術的な内容を非技術者に分かりやすく説明することは難しく、スムーズに伝わらずにストレスを感じることも多いでしょう。
また、技術的な制約により実現できない要望を突きつけられたり、クライアントの要求が頻繁に変わったりすることもあり、精神的な負担を感じる折衝が多いのも現状です。
常にキャリアアップをしなければならない
IT業界は技術の進歩が速いため、システムエンジニアは常に新しい知識やスキルを身につける必要があります。
習得した技術がすぐに使われなくなってしまうリスクもあるため、常に学び続けなければなりません。探究心のある人にとってはやりがいとなりますが、終わりのない学習に疲れを感じる人もいるでしょう。
プライベートの時間を勉強に費やすことになるため、勉強熱心な人でも少なからず負担を感じる要因となり得ます。
システムエンジニアはやめとけと言われる人の特徴
システムエンジニアは向き不向きがはっきりしやすい仕事です。
以下のような特徴がある人は、システムエンジニアの仕事は向いていないかもしれません。
- 丁寧に仕事を進められない人
- スケジュールに沿って仕事ができない人
- 忍耐力がない人
- 新しいことを学ぶのが好きではない人
丁寧に仕事を進められない人
システムエンジニアは常に細かい部分まで注意を払い、丁寧に仕事を進める必要があります。
正確に作業を進め、何度もチェックすることを習慣づける必要がありますが、そういった進め方が苦手で大雑把に仕事を進めがちな人は、苦労する可能性が高いでしょう。
自分の作業が他の作業や全体のシステムにどのような影響を与えるのかを常に意識し、広い視野と細かい配慮をもって進めることが求められる仕事です。
スケジュールに沿って仕事ができない人
システムエンジニアの仕事には、厳しいスケジュール管理が求められます。
プロジェクト全体の進行に影響を与えないよう、自分が担当する作業は必ず期限内に仕上げなければいけないため、計画性がなく締め切り間際に慌てるような傾向がある人は苦労するかもしれません。
また、予期せぬトラブルが発生した場合は、関係各所に報告を行い、納期に間に合うよう再度スケジュールを調整します。スケジュール管理が苦手な人にとっては、ストレスを感じることもあるでしょう。
忍耐力がない人
システムエンジニアの仕事は、長時間同じ作業を続けたり、複雑な問題を粘り強く解決したりする姿勢が求められます。
エラーや不具合を修正するデバッグ作業など、原因の特定に時間がかかる作業も多いため、すぐに諦めがちな人や、ストレス耐性が低い人には向いていないかもしれません。
また、チームで作業する際には他のメンバーの進捗を待つ必要もあり、他人のペースに合わせるという点でも忍耐力が求められるでしょう。
新しいことを学ぶのが好きではない人
IT業界は常に進化しているため、システムエンジニアは常に新しい技術やツールを学び続ける必要があります。新しい技術を単に覚えるだけでなく、それを実際のプロジェクトに適用できる柔軟性や応用力も求められる仕事です。
学ぶことが苦手な人や、新しいことへのチャレンジよりも現状維持を好む人は、システムエンジニアとして長く働くのは難しいかもしれません。
常に最新の技術トレンドに関心を持ち、自主的に学習を続けられる人でないと、苦痛を感じてしまうことでしょう。
システムエンジニアに向いている人の特徴
一方で、以下のような特徴を持つ人は、システムエンジニアとして活躍できる可能性が高いでしょう。
- 論理的思考力を持っている
- 常に学び続ける意欲がある
- 臨機応変に対応できる
- 体力がある
- コミュニケーション力に長けている
それぞれについて具体的に解説します。
論理的思考力を持っている
複雑な問題を分析し、最適な解決策を見つける必要があるシステムエンジニアの仕事では、論理的に考え、物事を順序立てて整理できる能力が重要です。
抽象的な概念を理解して具体的なシステムとして設計する、アルゴリズムを考えて効率的なコードを書く、バグの原因を特定してパフォーマンスを最適化するなど、すべてにおいて論理的思考力が求められます。
そのため、物事を論理的に考えられる人に向いている仕事だと言えるでしょう。
常に学び続ける意欲がある
技術の進歩が速いIT業界で活躍するには、学習意欲が欠かせません。新しい言語やツール、開発手法などを積極的に学び、自分のスキルを常にアップデートする姿勢が重要です。
そのため、システムエンジニアの仕事は、業界のトレンドや最新技術に常にアンテナを張り、自己研鑽を続けられる人に向いています。
時には休日を学びに費やすこともあるため、好奇心旺盛で、学ぶことが苦にならないタイプの人なら、長期的に活躍できるでしょう。
臨機応変に対応できる
システムエンジニアは、クライアントの要望や技術的な制約、予算、スケジュールなど、さまざまな要素のバランスを取りながら、その都度最適な解決策を導き出す能力が求められる仕事です。
予期せぬトラブルや突然の要件変更に直面することも多々ありますが、そのような状況でも冷静に対応し、柔軟に解決策を見つけなければなりません。
そのため、どのような状況でも臨機応変に対応できる人はシステムエンジニアとして活躍できる可能性が高いでしょう。
体力がある
システムエンジニアの仕事は集中力を要する作業が続くことが多く、締め切り前の忙しい時期や緊急のトラブル対応など一時的に激務になることもあります。
そうした中でも質の高い仕事を続けられる体力と精神力が求められるため、体力に自信があり、ストレスに強い人の方が向いている仕事です。
健康管理をしっかりと行い、長時間のデスクワークに耐えられる体力を持っている人は、システムエンジニアとして長く働くことができるでしょう。
コミュニケーション力に長けている
システムエンジニアの仕事は、一人ではなく、顧客や他の部門の人々とも連携を取りながら進めていく必要があります。そのため、自分の考えを分かりやすく伝え、他人の意見を適切に理解する能力が重要です。
チーム内で他のメンバーと円滑に情報共有や調整ができるコミュニケーション力はもちろん、クライアントの要望を正確に把握し、技術的な制約を分かりやすく説明する能力も求められます。
そのためコミュニケーション力に長けていて、良好な人間関係を構築しながらプロジェクトを円滑に進められる人が向いているでしょう。
システムエンジニアになってから「やめたい」と思わないためにやるべきこと
システムエンジニアとして長く働き続けるために心がけたいことを3つ紹介します。
- システムエンジニアになりたい理由を明確にする
- 長期的なキャリアパスを明確にする
- 求人や募集条件をきちんと確認する
システムエンジニアになりたい理由を明確にする
まずはシステムエンジニアになりたい理由を明確にしておきましょう。
単に「給料が高そう」「かっこいい」といった表面的な理由でシステムエンジニアを目指してしまうと、IT業界の厳しい環境に耐えられずに「やめたい」と思ってしまう可能性があります。
技術への興味や社会貢献への意欲などより深い動機を持ち、自分の価値観や長期的なキャリアゴールとシステムエンジニアの仕事がどのように結びつくのかを考えることが大切です。
こうした明確な目的があれば、困難な状況でもモチベーションを保ちやすくなるでしょう。
長期的なキャリアパスを明確にする
システムエンジニアとしてのキャリアをどのように築いていきたいか、長期的な視点を持つことも大切です。
技術専門家として深い知識を追求するのか、マネジメント職を目指すのか、起業を考えているのかなど、自分の目標を具体的に設定しましょう。
明確なキャリアパスを描いていないと、刻々と進歩する技術を追いかけているうちに自分の目指すべきゴールを見失い、「やめたい」と思うことになりかねません。
また、目標を具体的に設定していれば、目標達成のために必要なスキルや経験を計画的に積むことができるでしょう。
求人や募集条件をきちんと確認する
システムエンジニアの仕事を選ぶ際は、給与だけでなく、労働条件や企業文化、技術スタック、キャリアパスなども十分に確認しましょう。
特に、大手企業と中小企業、自社開発と客先常駐型、一次請けと下請けなど、企業の特性によって仕事内容や成長機会が大きく異なります。多重下請け構造の中では、上流工程を担当できず、キャリアアップの見込めない働き方を強いられる可能性もあるでしょう。
働き始めてから「こんなはずじゃなかった」「やめたい」と思わないよう、自分のキャリア目標や希望する働き方に合った企業を慎重に選ぶことが重要です。
システムエンジニアの仕事に関するよくある質問
システムエンジニアの仕事に関して、よくある質問にお答えします。
システムエンジニアの年収は?
システムエンジニアの年収は、専門分野や経験によって異なります。
厚生労働省のデータによると、基盤システムを設計開発するシステムエンジニアの平均年収は約684.9万円、業務用システムやWebサイトの開発をするシステムエンジニアは約557.6万円です。
スキルレベル別に見ると、ITSS(ITスキル標準)レベル1~2の初級者で420万円〜620万円、中級のレベル3で450~700万円、上級のレベル4で500~780万円、そして最上級のレベル5以上では600~950万円となっています。
経験を積み、高度なスキルを身につけることで年収アップの可能性が高まるでしょう。ただし、企業規模や勤務地域、個人の能力によっても大きく変わるため、一概に言えない面もあります。
【参照】厚生労働省職業情報提供サイト job tag|システムエンジニア
https://shigoto.mhlw.go.jp/Uシステムエンジニアr/システムエンジニアarch/Result?keyword=%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2
システムエンジニアになるために必要な資格は?
システムエンジニアになるために必須の資格はありませんが、特定の資格を持っているとキャリアアップなどで有利になる可能性があります。
以下では、システムエンジニアを目指す方におすすめの資格を9つ紹介します。
<国家資格>
- 基本情報技術者試験(FE):基本的な知識とスキルを証明するIT業界の入門資格
- 応用情報技術者試験(AP):より広い知識と応用力が求められるFEの上位資格
- システムアーキテクト試験(SA):システム開発の上流工程をリードする能力を認定
- ネットワークスペシャリスト試験(NW):ネットワークに関するさまざまな知識を証明
<ベンダー資格>
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS):Microsoft Office製品の高度な使用スキルを認定
- オラクルマスター:Oracleデータベース関連の技術力を証明
- Linux技術者認定試験:Linuxシステムの構築・運用能力を示す
- シスコ技術者認定:ネットワーク機器の知識とスキルを認定
- DB2エンジニア:データベース「Db2」を扱うスキルを証明
これらの資格があると、企業や顧客に自身のスキルをアピールでき、キャリアアップにつながりやすくなるでしょう。
システムエンジニアは未経験でもなれる?
IT化の進展に伴い、システムエンジニアの需要は年々増加しているため、未経験者でもシステムエンジニアになるチャンスは十分にあります。
未経験者向けの採用や研修を行っている企業も多いため、自分のスキルや希望と合致する求人を確認して応募しましょう。
未経験であっても、事前にプログラミングの基礎知識を独学で身につけたり、論理的思考力を鍛えたりとスキルを磨いておくことがおすすめです。
まとめ
システムエンジニアの仕事には確かに厳しい面があり、「やめとけ」と言われる理由も納得できます。
しかし、技術への強い関心があり、論理的思考力や問題解決能力に長けている人にとっては、大きなやりがいのある職業だと言えるでしょう。
システムエンジニアとして長く活躍するためには、求人や募集条件をしっかりと確認し、自分の目標や価値観にマッチする企業を見つけることが重要です。
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