ものづくりエンジニアとは?主な職種や未経験からでも転職できる方法を解説
エンジニアとは、工学(エンジニアリング)に関して専門的な知識をもつ技術者のことです。エンジニアと一口に言ってもその種類は多岐にわたります。その一つが、「ものづくりエンジニア」です。この記事では、ものづくりエンジニアの仕事内容や平均年収、主な職種、求められるスキルについて解説します。「エ ンジニアになりたい」「ものづくりに携わりたい」と思っている方はぜひ参考にしてください。
ものづくりエンジニアとは
「ものづくり」とは、製造業と同義語として使われていることが多いですが、ここで言う「ものづくりエンジニア」とは製造業で働くエンジニアのことを指します。一口に「ものづくり」と言っても複数の工程から構成されています。
一般的にものを作る際は、「設計→生産技術→生産」という流れで行われており、ものづくりエンジニアと言っても仕事の幅は広いです。また、メーカーもさまざまであり、中には自動車メーカーや医療機器などを作る精密機械メーカー、家電などを生産する家電機械メーカーなどの業界があります。
ものづくりエンジニアの仕事内容
ものづくりの工程である「設計→生産技術→生産」以外にも、エンジニアが関わることがあります。その中には、品質管理や保証・メンテナンス・製品企画などの仕事があります(詳細は後ほどH2を用いて詳しく説明します)。
ものづくりのどの工程に関わるかによって、求められる知識や技術は異なります。ものづくりエンジニアは、仕事内容の全範囲を担当するのではなく、専門の分野のみをそれぞれ担当するのが基本です。
ものづくりエンジニアの平均年収
ものづくりエンジニアの職種ごとによって平均年収は異なります。例えば、生産技術職の平均年収は400〜560万、機械設計職の平均年収は450〜610万円と言われています。
国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、全業種の平均年収は約377万円であるため、比較するとものづくりエンジニアは比較的年収が高い仕事と言えるでしょう。
ものづくりエンジニアの主な職種
モノづくりエンジニアの主な職種には以下のような分野があります。
・基礎研究
・製品企画
・機械設計・金型設計・光学設計
・生産技術
・評価・実験・ディバック
・整備士・サービスエンジニア
基礎研究
基礎研究とは、すぐにビジネスに結びつかなくても、10年後、20年後の製品化を視野に、新しい技術や仕組みを研究する仕事を指します。例えば、医療や工業、農業などの数多くの分野で最先端の研究が行われているおかげで、自動運転や光で野菜を栽培することが可能です。
基礎研究においては、研究結果や研究過程を論文やレポートにまとめることも重要な仕事です。
製品企画
製品企画とは、自社製品のバージョンアップや新製品の開発に伴い、市場調査や企画を考える仕事のことです。企画する上では、競合製品の分析や、既に同様の新製品が出ている海外の市場調査も仕事に含まれます。ものづくりエンジニアにおいては、プラスαの技術を考案できる人材として、ソフトウェアやITのエンジニア経験者が製品企画として活躍するケースも増えています。年収はものづくりエンジニアの中では高めと言えるでしょう。
機械設計・金型設計・光学設計
設計のプロセスは、一般的には「仕様設計・要件定義→基本設計→詳細設計」の順に進められますが、機械設計は、製品を動かす仕組みを設計する仕事です。CADを用いた設計図の作成や品質・安全面・コストを踏まえたうえで生産前の設計図を作成します。
それに対して、金型設計は、自動車のボディやTV・PCの筐体などを作る際に必要な金型を設計する仕事であり、製造工程や原料のコストを実現するための設計図を作成します。
さらに、光学設計では、デジタルカメラや医療機器などのレンズなどの設計を行う仕事で、性能解析やコーティング技術の検討が求められる場合もあります。
生産技術
生産技術とは、製品・部品を「高品質」「効率よく」「低コスト」で生産するための方法を検討・実行する仕事です。具体的には、安全かつ効率的に低コストで生産するための工程を決めたり、必要な設備の導入を検討することに加えて、既存の設備をカスタマイズしたりします。
近年では、工場作業の自動化が進んでいることもあり、ロボットのプログラミングを担う技術が求められることもあります。
評価・実験・ディバック
「評価・実験・ディバック」とは、製品の試作品を実際に動かし、強度や安全性の確認を行う仕事を指します。デバッグとは、プログラムや電気機中の「バグ」、つまり欠陥を見つけ出して取り除き、動作を設計仕様書通りにするための作業です。
作業中に不具合が見つかった場合は、設計担当者とともに対応を検討するため、評価・実験・デバッグを担当するエンジニアから設計職にキャリアチェンジするケースも目立ちます。また、評価・実験・ディバックを外注する企業もあるようです。
整備士・サービスエンジニア
整備士・サービスエンジニアは、製品の購入・納品後のメンテナンスや修理などの作業である「アフターサービス」を担当する仕事です。整備士は自動車や船、飛行機など国家資格が必要で、サービスエンジニアは自社製品についての専門知識を活かして修理などを担います。
エンドユーザーの違いによって、BtoB、BtoCサービスがあり、扱う製品や納入先によっても作業内容は異なります。
ものづくりエンジニアに求められるスキル
ものづくりエンジニアになりたいと思っている人には一般的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは、次の3つのスキルについて解説します。
・専門知識
・諦めない姿勢
・好奇心
専門知識
専門知識はどの分野でものづくりエンジニアになりたいかによって異なります。例えば、機械系なら四力(機械力学、熱力学、材料力学、流体力学)、電気/電子なら電磁気学や電気回路の知識などが必要です。
当然ながら、未経験者よりも、大学で専門知識を学んだ人が就職には圧倒的に有利です。また、職種によっては、電気・電子回路やプログラミング言語、分析や解析の知識、CADの知識が必須なことも多いので、自分の希望職種によって求められる専門知識が何か把握しておく必要があります。
諦めない姿勢
ものづくりエンジニアには、諦めない姿勢が欠かせません。実際、各分野のものづくりエンジニアが諦めずに研究や調査、改善を繰り返してくれていることで、日々便利な製品が生み出されています。答えが用意されているわけではないので、諦めずにどうすれば可能になるのかを追求し続ける姿勢が大切と言えるでしょう。
好奇心
テクノロジーがどんどん進化が進む中で、ものづくりエンジニアには、常に最先端技術の情報を取り入れ、応用できないか追求する姿勢が求められます。そのため、ものづくりエンジニアにとっては、好奇心を持って最新の技術を学び、応用に繋げられるかどうかが重要です。
また、生産工程に不具合が生じた際や、市場にない新しいものを生み出す際は、「客観的な視点」と「好奇心」が必要になるでしょう。
未経験からものづくりエンジニアになるためには
ものづくりエンジニアになりたい方の多くは大学や専門学校で特定の分野の知識や技術を学んでいる方ではないでしょうか。しかし、中には未経験からものづくりエンジニアを目指す方もいるかもしれません。
ものづくりエンジニアに関しては、未経験を募集していることは珍しいですが、ゼロではないので挑戦はできます。以下では、その方法を3つ紹介します。
・転職エージェントを活用する
・未経験でも可能な職種を探す
・資格取得や語学力をつけておく
転職エージェントを活用する
未経験者がものづくりエンジニアになるためには、転職エージェントを活用してみましょう。転職エージェントによってそれぞれの分野に特化しているため、自分が希望する分野に強いエージェントを選部ことが大切です。
すでに実績があるエージェントであれば採用に繋げやすかったり、求人には掲載されていない情報を得られたりすることもあります。転職エージェントの登録は無料で行えるケースもあるため、まずは気軽にいろんなサイトにアクセスするのも一つの方法です。
未経験でも可能な職種を探す
多くはありませんが、ものづくりエンジニアの中には、未経験でも可能な職種があります。
例えば、人手不足や、社内研修があるため未経験でも採用してくれることがあります。転職の場合、これまでの職歴を生かせる職種を探したり、具体例を出して好奇心や諦めない姿勢を語ったりすることも大切です。企業によっては、経歴よりも、人柄やマインドが重視されます。
ただし、今後のキャリアを考えると、未経験で転職したい場合はなるべく若いうちが良いでしょう。
資格取得や語学力をつけておく
未経験でものづくりエンジニアになりたい場合は、資格を取得したり、語学力をつけたりすることも有利に働きます。例えば、独学や専門学校での資格取得もできるため、狙う職種によっては、CAD利用技術者試験や計算力学(CAE)技術者資格認定、生産技術者マネジメント認定の資格をとっておくと良いかもしれません。
また、最新技術の情報を読み解くには英語が必要になることもあります。また、海外展開をする企業が今後増えていく可能性は大いにあるため、語学力があるに越したことはないでしょう。
まとめ
ものづくりには様々な分野や工程あるため、自分のスキルや職歴、経験とマッチした職種を選ぶことが大切です。専門知識や技術があると有利ですが、多くの企業が諦めない姿勢や好奇心など、ものづくりに必要な資質やマインドを重視していることも覚えておきましょう。未経験からのものづくりエンジニアへの転職は決して簡単ではありませんが、チャンスがないわけではありませんので、エージェントを活用するなどして挑戦してみてはいかがでしょうか。