研究職の転職が難しい理由は?おすすめの転職先9選と未経験業界に転職するコツ
キャリアアップや年収アップのためにも、転職を検討される研究職の方は少なくないと思います。しかし、研究職は専門性の高い仕事であるため、「自分には無理なのでは」と思ってしまうかもしれません。
ここでは、研究職の転職理由や難しいといわれる原因を説明していきます。転職を成功させるコツや主な転職先なども紹介するため、参考にしてみてください。
研究職の転職理由
研究職の転職理由はさまざまなあるため、共感できる部分があるかもしれません。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
違う分野で活躍したい
研究職は専門分野に特化して仕事に取り組むため、タイミング次第では知識やスキルを活かして違う分野で活躍したいと感じてしまう人も少なくないでしょう。
例えば、「化学系」の研究職の中でも、基礎研究や応用研究、製品開発、製造・生産技術開発職などの種類が存在するため、自分が理想とする仕事ができていないケースが存在します。
このような背景から、「違う分野に挑戦したい」「未知の可能性を広げたい」と憧れを抱き、自分の専門性を活かせる環境に転職しようと考える人もいるのです。
まったく新しい仕事にチャレンジしたい
研究職は専門分野を突き詰める仕事なため、広く使えるスキルが磨かれないことに不安を感じ、転職を検討される人も存在します。
例えば、商社で働いた場合は営業や事務業務だけでなく、コミュニケーション能力、管理能力、ビジネスセンスなど違う環境でも通用するスキルをしっかりと学べます。一方、研究職ではいろんな能力を身につける機会は頻繁にないため、「自分の可能性を信じて新たな環境で挑戦したい」と思う人は転職を検討されるのでしょう。
職場に不満がある
研究職における転職理由で一番多いのは、待遇や人間関係での悩みとされており、自分の仕事に対する将来性に不安を感じるといいます。
研究職の労働環境は、以下のように一般的な職業に比べると魅力的な数字となっていますが、「能力や成果に見合った給与が支給されない」「年収が上がらない」など、すべての職場が該当するわけではありません。
- 平均総実労働時間は157.9時間
- 残業などの所定外労働時間の平均は13.4時間
- 平均年収は449万円
人間関係においても、固定のメンバーで長期間働く環境下であるため、人によっては合わないと感じるケースも存在するのです。
研究職の転職は難しいといわれる原因
ここでは、研究職の転職は難しいといわれる原因について2つ説明します。
求人の募集が少ない
研究職からの転職を検討する際、一般職と比べて求人数が少ないうえに人気の職業であるため、求人倍率が読めません。離職率は一般的な平均13.9%よりも低く、一度ついた職場を離れる人が少ないことも求人募集が少ない理由のひとつでしょう。
求人がなかなか出回らない現状はすぐには変わらないため、転職を望む方々にとって、新たな職場を見つけるのはそう簡単ではありません。
スキルを活かせる仕事が少ない
研究職の場合、その専門性の高さから、他の会社で経験やスキルを活かせない恐れがあります。一般的に中途採用は即戦力を求める傾向があるため、専門的なスキルしかない研究職からだと通用しないと判断されてしまうのも少なくありません。
とはいえ、研究職は潰しが利きにくい職種でもあるので、英語力・ITスキルなど、どこの企業でも役立つ汎用的なスキルを学んでおくと転職活動も有利に進められます。
研究職の転職を成功させるコツ
ここでは、研究職の転職を成功させるコツを紹介します。研究職の転職は難しいといわれていますが、成功させている人もいるためコツを学んでみてください。
将来のビジョンを考える
転職活動を始める際、どのようにキャリアを築き上げたいのかを自分に問いかけ、目標を設定していきましょう。例えば、将来研究職としてスペシャリストを目指したい、異職種で新しい活動をしたいなどまずは5年後、10年後の具体的なキャリアパスを考えて理由を考えてみてください。
企業は新たな人材に期待し、志望者がどのように組織に貢献できるかを知りたいので、要望に答えられる回答ができるようになるでしょう。
明確な転職理由を考える
転職理由を明確にすることで、次の転職先を探す際の軸になります。例えば、自分の価値観やキャリア目標を理解した後に、「自分の可能性を広げられる環境で仕事したい」と思う場合は、異業界や別分野に転職を行った方がスムーズです。
企業に対して自己アピールを強化し、志望動機を伝えやすくなるため、自分がなぜその企業や職種に適しているのかを相手にわかりやすく説明できるようになりましょう。
自分のスキルや能力を把握する
実際に転職活動を行っていく際、自身のスキルや経験、実績などを十分に理解しておきましょう。Webサイトなどで職業適性診断を受け、自分の強みや改善点を事前に明確にしてみてください。
なお、転職に活かせるスキルや能力として、問題解決力、コミュニケーション能力、プロジェクト管理スキルなどが挙げられます。こちらは研究職で培った分析や実験スキル、論理思考と似ている点があるため、他の分野でも活かせるスキルといっても良いでしょう。
自分のスキルに合った職種やポジションを選ぶことができれば、自己PRは自ずと企業のニーズに応えられるものになります。
徹底的に企業研究する
応募したい企業が見つかったら、企業研究を徹底的に行いましょう。企業のビジョン、価値観などの調査を行ったり、過去の業績や成長戦略、業界のトレンドを把握したり、企業の方針や将来性を研究しましょう。
また、従業員の声や評判もリサーチして、職場環境やカルチャーに自分が合っているのかも確認してみてください。企業研究すれば、志望先企業がどのような人材を求めているか知れるだけでなく、企業独自の強みを盛り込んだ相手に響く自己PRが作成できるため役立ちます。入社後のミスマッチを防げるのにもつながるのでおすすめです。
研究職から転職する具体的な方法
ここでは、研究職から転職する具体的な方法について解説します。
転職サイトを利用する
研究職からの転職をスムーズに進めたい方は、まず転職サイトを利用してみましょう。信頼性の高い転職サイトを選び、自分のプロフィールや職歴を入力すれば、自分に合った転職先を紹介してもらったり、求人の案内が届いたりすることもあります。
転職サイトを利用するメリットは、多くの求人情報から、希望条件に合った職場を絞って探せるところです。一方、デメリットとしては、手軽さゆえに競争率も高いうえ情報が本当に正しいかも判断しづらい点です。
研究職に強い転職エージェントに相談する
転職エージェントとは、転職のプロが面接対策や履歴書の添削などを無料で行ってくれたり、非公開求人を紹介してくれたりするサービスです。研究職に強いエージェントに相談できれば、市場動向や求人情報に精通しているため、希望条件に合った職場を数多く紹介してもらえます。研究職に特化した情報提供やアドバイスも受けられるでしょう。専門知識を活かし、適切な職場を見つける助けにもなります。
一方、デメリットとしては、一部のエージェントには費用がかかる場合があることや、提供される求人情報に限定性があることが挙げられます。
リファラル採用を目指す
リファラル採用とは、自分のネットワークや友人のつながりを活かし、転職先の関係者に転職の意向を伝えることを意味します。「コネ入社」というイメージとは異なり、SNSやプロフェッショナルネットワークを活用し、新たなつながりを築いてからリファラル採用を検討する人もいるため、正当な転職方法です。
メリットとして、内部から推薦されるため、採用までの展開が早く進んだり、応募者自身も企業にアピールしやすくなったりする点です。
デメリットとしては、途中で入社を辞退したいとなった場合に、紹介者との関係性が気まずくなってしまう可能性があることでしょう。
研究職の主な転職先
研究職の主な転職先は、主に2種類に分けられます。
- 研究職のスキルを活かせる職場
- 研究職以外の異業種
それぞれの特徴について、以下で詳しく確認してみましょう。
研究職のスキルを活かせる職場
研究職のスキルを活かせる職場には、以下の3種類があります。
- メーカー等の民間企業
- 大学等の教育機関
- 省庁等の公的機関
メーカー等の民間企業
年収を重視したいという方にとっては民間の研究部署が最適です。新商品の研究開発や品質管理、プロジェクトマネジメントなどに取り組めるため、研究職で培った分析力や実験スキル、論理思考が活かせます。
競争が激しい中でスキルを試し、成果を出しやすい環境が好きな人にもおすすめといえるでしょう。自分のやりたい研究を行うより、企業のリソースを使い、社会のニーズを満たす製品を開発するためにはどのような研究をすればよいかを考える能力が問われます。
大学等の教育機関
基本的に2〜3年間の任期になっており、ポストドクターの期間に研究成果を出すことで助教などの大学教員として採用されます。仕事内容は、教育や研究を通じて学生に知識やスキルを教えたり、新たな研究プロジェクトを展開したりするなどです。
研究の自由度が高い環境があるのがおすすめの点であり、学術界での評価や共同研究の機会にも恵まれているため、幅広いキャリアの経験値を積めます。研究職で培った分析力や論理的思考、プレゼンテーションスキルを活かし、学生の成長や学問の発展に貢献できます。
なお、教育機関に就職するためには学位や教育資格が必要なため、研究職からの転職を検討する際には、大学の公募情報をチェックし、応募手続きを行ってみましょう。
省庁等の公的機関
公務員として研究職で働き、日本のためになるような研究を行いたい方には最適です。職務には政策研究、データ分析、規制改革、公共プロジェクト管理などが含まれており、研究職の経験が活かされます。
警視庁や都道府県警察本部に設置された科学捜査研究所や、警察庁にもある科学警察研究所で調査分析を行う職種もあります。
公的機関がおすすめの理由は、公共事業の計画などに関与できることや、給与と福利厚生が整っており、安定感がある点です。研究職で極めた専門性は、公的機関での政策立案や実施、データ解析において大きく活かせるでしょう。
興味がある方は、各省庁や地方自治体の公募情報を確認して応募したり、自分の能力が活かせる仕事の公務員試験を受験したりしてみてください。
研究職以外の異業種
さらに、研究職以外の異業種ついて以下6つを紹介します。
- コンサルティング
- 品質管理
- 営業
- 知財部
- マーケティング
- エンジニア・プログラマー
コンサルティング
コンサルティング業界では、クライアントへの戦略的アドバイス、プロセス改善の提案、市場調査やデータ解析など企業の抱える課題や悩みをヒアリングし、解決までをサポートします。研究職で培った知識や、データの取り扱いに関するスキルがコンサルタントとしても役に立ちます。
多くのクライアントと協力し、さまざまな業界や課題に関われる点は魅力的であり、問題解決に貢献する過程でやりがいを生み出します。特に戦略コンサルティングや市場調査などの領域で大いに能力を発揮できるため、コンサルティング業界では研究職の専門的知識が重宝されているのです。
品質管理
品質管理とは、製造した商品の不備を確認したり、品質が保たれているかをチェックしたりする仕事です。データ解析能力や実験スキル、システムの構築が品質管理での仕事には必要となってくるため、研究職でのスキルが活かせます。
製品の品質向上に貢献する過程にはやりがいを感じることもあり、研究職でのスキルや能力は、品質問題の根本原因を解明し、改善策を提案する際に役立ちます。
営業
個人・法人に対し、商品やサービスを売り込む仕事がメインで、研究職としての専門性に特化したコミュニケーションスキルや継続力が活かせる環境です。
営業は未経験者も積極的に採用している機会が多いため、研究者の方でも転職は難しくありません。研究職からの転職者は専門知識が豊富でデータ分析のスキルもあるため、クライアントを納得させられるような提案ができる能力を備えているでしょう。
知財部
特許や商標の出願・登録、知的財産権の監視と侵害対策、契約関連の法的アドバイスなどを行うため、ここでも研究職で培った専門知識や分析力、論理思考が仕事において役立ちます。
知的財産権が企業の競争力を向上させる重要な要素であり、それを保護・活用する役割は誰にでもできる仕事ではありません。研究職出身者であれば、科学的な専門知識やデータ分析スキルを通じて、特許や商標の管理、侵害対策、法的なアドバイスなどを正確にこなせるでしょう。専門知識を生かして企業の知的財産権戦略を策定し、競争環境に合わせて調整する役割で能力を発揮することで貢献できます。
マーケティング
マーケティングは市場調査・分析、商品企画の立案などに取り組む仕事であり、研究職で得た分析スキルや論理的思考力は、マーケティングの分野でも活かせるメリットがあります。
また、研究職出身者はデータの分析能力や科学的なアプローチが得意なため、市場調査やプロモーション戦略の最適化にも専門的な知識から貢献できるでしょう。他にはない視点から市場データを分析し、市場動向を把握できるため、消費者のニーズをより明確にできる能力を現場で活かせます。
エンジニア・プログラマー
研究者から、IT企業でエンジニアやプログラマーとして働く道もあります。エンジニアとはクライアントの要望に沿ったシステムを設計し、プログラマーはプログラミング言語を用いてコードを書く仕事です。論理思考や問題解決能力、実験データの分析スキル面で研究職は役立てます。
現代の技術は進化が急速で、常に新しいことを学び、スキルを向上させる機会が豊富です。研究職出身者で、科学的なアプローチや実験設計のスキルを活かし、プログラムの最適化や新しいアルゴリズムの開発などに貢献したい方にはおすすめの転職先だといえます。
研究職からの視点で問題解決能力を発揮し、複雑な課題に取り組む姿勢を見せていけば、スムーズに貢献できる環境だといえるでしょう。
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研究職からの転職は難しいと感じる声は多いですが、新たなキャリアに挑戦する機会がないわけではありません。違う分野で活躍することで、職場の不満を解消につながるケースもあります。
また、研究職から成功するためには、将来のビジョンを明確にしつつ、転職理由を考え、自分のスキルや能力を把握しましょう。1人では難しいと感じる場合は徹底的に企業研究を行いながらも、転職サイトや転職エージェントを上手く活用してみてください。
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