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ITストラテジストの年収は?仕事内容や資格など転職に役立つ情報を解説

ITストラテジストを情報通信業と捉えると、国税庁によれば平均年収は582万1,000円です。ITストラテジストは、企業課題の分析、IT戦略の立案、システム導入が主な仕事であり、経営戦略や関連法など、幅広い分野の知識が求められます。ITストラテジストへの就職を考えている人は本記事でITストラテジストの仕事内容や年収、似ている職種との違い、将来性などを把握し、自分に向いているか見極めましょう。

目次

IT ストラテジストとはなにか?

ITストラテジストは、試験名と職種を指します。ITストラテジスト試験は国家試験であり、情報技術者試験の1つです。試験では、情報セキュリティ技術に関する知識や情報システム戦略、技術開発戦略の立案など、IT関連以外にも、経営戦略や企業活動などについても問われます。

一方、職種の面から見ると、弁護士や医師、税理士などと同じく、厚生労働省に認められた高度な専門職であり、経営戦略に関わることが多いため、企業の経営陣の一角を担うことになるでしょう。具体的な仕事内容は後述しますが、主な仕事はストラテジスト(Strategist:戦略家)の名の通り、企業のIT戦略を練ることです。企業課題の分析、その解決に向けたIT技術の立案と導入、システムの開発や管理・保守のサポートに携わります。ITストラテジストは、企業をIT技術で支える重要なポジションです。


ITストラテジストと他の職種との違いは?


ITストラテジストは、IT(情報技術)に関する他の職種と比べ、広範囲にわたり業務を担うことになります。本項目では、下記3つの職種について、それぞれの仕事内容とITストラテジストとの違いを解説します。

  • プロジェクトマネージャ
  • ITコンサルタント
  • ITアーキテクト


ITストラテジストを目指すにあたり、どのような違いがあるか把握しておきましょう。

プロジェクトマネージャ との違い:プロジェクトの管理を行う

プロジェクトマネージャ(PM)は、プロジェクトを完遂するための責任者・管理者です。企業課題解決のためのシステム導入や開発が決まりプロジェクトが立ち上がった際に、プロジェクトマネージャとなる人物を決定します。その後、プロジェクトが滞りなく進むようチーム編成やスケジューリングの管理、現場の監督を行います。プロジェクトマネージャは、ITストラテジストが兼任する場合もあります。

ITコンサルタント との違い:IT戦略のサポートを行う

ITコンサルタントは、クライアント企業の課題を抽出し、IT戦略の立案を行います。そのほか、課題解決のために市場調査や、システム開発の提案・サポート、システムを活用した仕組みづくり、PMOのサポートなどに携わることもあります。ITストラテジスト試験に合格し、その資格を有しているITコンサルタントもいます。

ITストラテジストとの大きな違いとして、ITコンサルタントは外部の人材であることが多い点が挙げられます。また、ITコンサルタントはクライアントの意向によって、携わる業務範囲が変わることも特徴です。

ITアーキテクト との違い:アーキテクチャ設計を専門に行う

アーキテクトとは建設者、設計者という意味であり、ITアーキテクトの仕事は、企業課題解決に合わせたシステム構造(アーキテクチャ)を設計することです。ITストラテジストやITコンサルタントが導入を立案したシステムを、その企業に合わせた形に設計していきます。

そのほか、経営陣と実際にシステムを開発するプロジェクトチームとの橋渡し役となることや、インフラ構成の問題点を解決することなど、その仕事は多様です。また、企業によって具体的な仕事は異なる場合があります。

ITストラテジストは、ITアーキテクトより幅広い業務を担当しており、ITアーキテクトのメイン業務は、アーキテクチャの設計です。


ITストラテジストの仕事4つ


ITストラテジストの仕事は、大きく分けると下記の4つです。

  • 企業の課題を分析する
  • IT戦略を考え、提案する
  • システム開発計画を作成し、共有する
  • プロジェクトを実行する


ITストラテジストは企業課題の分析から、課題解決のためのプロジェクト実行まで幅広い業務を受け持っています。以下では、各仕事内容を解説します。

企業の課題を分析する

企業の現状や課題を経営層や現場の監督からヒアリングし、分析を行います。すでに課題として浮かび上がっていることだけではなく、今後課題になりそうな内在している課題を予想することが重要です。

銀行を例に挙げると、従来のやり方では本人確認を必要とする関係上、顧客とのやり取りが必ず対面になってしまい、時間や人件費がかかる課題がありました。表面的には時間や人件費の削減が目標だと分析できますが、ITを導入して解決した場合、高齢者の顧客はスムーズに対応できるかといった内在する課題が浮かび上がってきます。

IT戦略 を考え提案する

課題を分析したのち、解決のためのIT戦略を経営者層に提案します。最新のIT技術を取り入れることや自社用にシステム開発を行うなど、いくつか方法はありますが、ここで重要なのは、現行のシステムとの整合性を考えることです。闇雲に新しいシステムを導入しても、会社の仕組みに合わない、現行システムとかけ離れているなどの場合は、現場が混乱する可能性が否定できません。問題解決にあたり、最近のITソリューション情報や他社のIT導入事例を研究していくこともIT戦略立案のために必要です。

システム開発計画 を作成し共有する

提案したIT戦略が経営層から承認された後、戦略を実行するためのシステム開発計画を作成し、社内の関連ポジションに共有します。戦略を実行するために、どの業務範囲のシステム化が必要なのかなどを明確化する全体のシステム設計や、各業務に必要な個別のシステム化を策定していきます。

プロジェクト を実行する

システム開発のためのプロジェクトチームを立ち上げ、実行します。プロジェクトの遂行自体は、プロジェクトマネージャに任せることが多いですが、ITストラテジストがプロジェクトマネージャを兼任することもあります。

ITストラテジストはプロジェクトを進めるにあたり、トラブルの対策やリスク管理・分析を行います。また、プロジェクトの評価を実施し、経営層へ報告するのもITストラテジストの仕事です。


ITストラテジストの年収 は?


令和4年に国税庁が発表した「令和3年分民間給与実態統計調査 調査結果報告」によると、情報通信業の平均年収は582万1,000円でした。同調査の報告では、サービス業の平均年収308万4000円、医療・福祉の平均年収は339万8,000円となっており、情報通信業の平均年収のほうが高いことがわかります。

また、実際の求人情報を見ていくと、ITストラテジストに相当する業務の平均年収は420万円、600万円、1,000万円などと幅があり、企業や携わる業務ごとに平均年収が大きく変わることが予想されます。ただし、一貫して他業種より平均年収は高めです。


ITストラテジスト になるための試験とは?


ITストラテジストの資格を所有するためには、ITストラテジスト試験に合格する必要があります。ただし、ITストラテジストになるために、資格所有はほとんどの場合、必須ではありません。しかしITストラテジスト試験に合格すれば、IT戦略に関する確かな知識を証明することができるため、企業やクライアントも安心して仕事を任せられるでしょう。

ここでは、ITストラテジスト試験の試験内容を紹介します。

試験に合格すれば国家資格が取得できる

ITストラテジスト試験は、経済産業省が認可している国家試験です。かつて実施されていた上級システムアドミニストレター試験とシステムアナリスト試験が、統合・出題範囲が拡大されました。
試験は年1回行われ、現在は春期(4月)に実施されています。インターネットから申し込み、試験に合格すると資格を取得できます。受験手数料は7,500円(税込)です。クレジットカード決済やコンビニ払いが利用できます。

IT ストラテジストの試験内容とは

ITストラテジストの試験は、1日かけて行われます。午前は多肢選択式、午後は記述式の試験です。

試験では、テクノロジ系・ストラテジ系などの幅広いITの知識に加え、それを応用し企業課題を解決する戦略の立案、運用、コントロールしていく実践力が求められます。記述式の問題では、昨今のITに関する話題に触れ、実際に課題を解決するためにどのような分析を行うか、その結果に基づき立てた戦略などを論述しなければなりません。

実務経験がなくとも、試験勉強を通じて得た知識を活用し、「実際にITストラテジストになったらどう対応するか」を想定した内容が問われます。

ITストラテジストの合格率 は?

過去の合格率を見ていくと、下記の通りです。

  • 令和5年度春期合格率:15.5%
  • 令和4年度春期合格率:14.8%
  • 令和3年度春期合格率:15.3%


ITストラテジストの合格率は15%前後であり、難易度が高い試験だと言えるでしょう。独学で合格する人もいますが、実際には困難です。また、数回受験しつつ合格を目指すことを前提として、まずは午前中の多肢選択式試験に合格し、それを免除できる状態で記述・論述試験に挑む人もいます。


ITストラテジストに求められる能力4つ


ITストラテジストには、下記の4つの能力が求められます。

  • コミュニケーション能力
  • IT技術への深い知見と技術
  • 企業の課題を見つける分析能力
  • マネジメント能力


始めからすべてを兼ね備えている必要はありませんが、ITストラテジストとして活躍するには、以上のような能力が必要とされる場面が多々あります。各能力が、ITストラテジストの業務にどのように関わるのか解説します。

コミュニケーション能力 

ITストラテジストとして企業課題を解決するためには、経営者層やシステムを構築するエンジニア、IT戦略を実行していくプロジェクトのマネージャやメンバーたちとの協力は不可欠です。企業の課題を洗い出すためのヒアリング、IT戦略を提案するだけでなく、プロジェクトを円滑に進めるためにもマネージャやそのメンバー、エンジニアの意見を聞くなど、積極的にコミュニケーションをとる姿勢が必要となってくるでしょう。

IT技術 への深い知見と技術

IT戦略の策定にはIT技術への深い知見と、それを活用できる能力が求められます。ITストラテジストは、企業の改革プログラムを実施するに当たっての前提条件や、企業の経営戦略などを理解した上でIT戦略を練らなければなりません。そのため、どの課題にどういったIT技術を応用できるのか、さまざまなシチュエーションにおけるIT技術の活用法を理解してお区必要があります。

また、実際にシステム化計画を策定したり、システム開発・導入・分析・コントロール・評価をしたりする技術力も要求されるでしょう。

企業の課題 を見つける分析能力

企業が活用しているITの動向や事業環境を分析し、企業が抱えている課題を見つけ出す能力が求められるます。課題の発見・把握はIT戦略を組むための前提条件であり、最適なシステムが何かを判断するために必要だからです。表面的な課題だけではなく、内在している課題も見つけようとする姿勢が重要です。

マネジメント能力 

企業の課題を解決するIT戦略を組み、プロジェクトを立ち上げシステム導入をした後、その運用・保守を含めたマネジメント能力が求められます。プロジェクト自体は、プロジェクトマネージャが管理していくことになりますが、ITストラテジストはそのサポートや、マネージャを兼任することも少なくありません。プロジェクトが円滑に進むよう、そしてシステムが滞りなく使用されるよう、リスク管理能力もあると望ましいでしょう。


ITストラテジストの将来性は?


ITストラテジスト試験に合格することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ITストラテジストの資格、職種の将来性について解説します。

市場価値の高い 資格として重宝される

ITストラテジストは、今後需要が高まっていく資格・職種だと推測されます。デジタル庁は、データ戦略の推進を掲げており、世界各国との競争力を備えるためにもデータ量の増大、デジタル化の進展、AI能力の向上などを含めたデジタル社会の実現化を進めています。

一方、IT人材は質・量ともに不足が叫ばれており、エンジニアやプログラマー以上に、企業戦略を理解した上での俯瞰的なIT戦略を立案できるITストラテジストは今後重宝されていくでしょう。

また、IT業界以外でもIT技術の導入を考えている企業においてITストラテジストの知識は役立つため、今後活躍の場は広がっていくことが予想されます。

他の国家資格 の試験の一部免除につながる

資格の面でのメリットは、ITストラテジスト試験に合格していると、他の国家資格試験の一部が免除される点が挙げられます。免除の例は、下記の通りです。

  • 中小企業新診断士の第1次試験科目の一部免除
  • 技術士試験の第1次試験の情報工学部門の免除
  • 弁護士試験の論文式筆記試験選択科目の理工Ⅴの免除
  • ITコーディネーター試験の一部免除


以上は一例ですが、ITストラテジスト試験に合格していると、他の試験を受けやすくなるでしょう。


ITストラテジストのキャリアパス4つ


ITストラテジストとして活躍していくには、いくつかの手段があります。特定の企業に属し、その企業のITストラテジストとして働くだけではなく、独立開業や、コンサルティングファームで働くことも1つの方法です。

ここでは、4つのキャリアパスを紹介します。

ITコンサルタント として独立する

ITストラテジストの知識と技術力、マネジメント力を活かして、コンサルタントとして独立することも可能です。

ITストラテジストは、会社経営の知識も豊富でありマネジメント知識も持っているため、独立してフリーランスとして多くの企業と関わることができます。経営が順調であれば、企業に属しているよりも収入を多く得られる場合もあるでしょう。

IT系 のコンサルティングファームで働く

ITストラテジストとして実務経験を有している場合は、転職して、コンサルティングファームで働くケースもあります。コンサルティングファームとは、企業の課題解決をサポートする企業です。転職の際は、即戦力が求められる可能性が高く、ITストラテジストとして経験豊富であれば、転職しやすいでしょう。

また、プロジェクトマネージャの資格があれば、転職先の選択肢も広がるはずです。

情報 システム部門の責任者

企業の情報システム部門の責任者としてキャリアを積むことも可能です。情報システム部門は、IT戦略の実現に向けて、システム開発や運用、保守などを担っています。開発を外部委託する場合は、プロジェクトの進行管理を行うこともあるでしょう。

システム 開発のリーダーや責任者

IT戦略の細部まで把握しているITストラテジストは、システム開発のリーダーや責任者として資格を活かすことが可能です。経営戦略の観点からも意見することができるので、システム部門の責任者を経てCIO(最高情報責任者)として活躍できる可能性もあります。



まとめ


ITストラテジストは、試験名とその仕事を担う職種を指します。企業の課題をヒアリングし、それを解決するためIT戦略を練り、システムの導入や開発、管理、保守のサポートをすることなどが主な仕事です。情報通信業の平均年収は582万1,000円であり、他業種と比較して高い傾向にあります。

ITストラテジストになるために必要な資格などは特にありませんが、ITストラテジストの試験自体は国家試験であり、合格すれば国家資格を取得することになり、企業やクライアントからのIT技術に対する信頼度は確かなものになるでしょう。
ITストラテジストは、企業に属して情報システム部の部門長やシステム開発のリーダーとして活躍するケースもあれば、独立してフリーランスとして成長していくキャリアも考えられます。昨今のIT人材不足を背景にITストラテジストの需要は今後高まっていくことが予想されるため、積極的に資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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