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工事担任者資格の種類|試験の内容や難易度などの基本情報と資格取得のメリット

電気通信工事担当者資格とは、国家資格であり、電気通信に関する工事を担当する際に必要です。いくつかの種別に分かれており、アナログ・デジタルどちらの通信工事にも対応できるのが総合通信の種別です。総合通信は合格率が30%前後で、難易度が高いです。試験を受けず、養成課程を修了することでも資格の取得が可能です。本記事を読むことで、電気通信の工事担当者資格の各種試験内容や難易度、取得のメリットなどを把握できます。

目次

電気通信の工事担任者資格とは


電気通信の工事担任者資格とは、工事担任者として電気通信に関する工事を担当するのに必要な国家資格です。電話、テレビ、インターネット、防犯カメラ、火災報知器などを設置する工事は、電気通信の工事に該当します。資格試験では、電子工学や電気通信のような電気通信技術に関する基礎知識や、端末設備接続の技術や理論、法規などについても問われます。
令和3年度に制度が変更され、種別の名称が変わり、一部試験が廃止されることになりました。
 
工事担任者資格試験には下記の分類があります。

  • 総合通信(旧:AI・DD総合種)
  • 第一級アナログ通信(旧:AI第一種)
  • 第一級デジタル通信(旧:DD第一種)
  • AI第二種(令和5年度まで試験を実施ののち、廃止)
  • DD第二種(令和5年度まで試験を実施ののち、廃止)


また、養成課程を修了し、修了試験に合格することでも資格を得られます。下記で、工事担任者資格試験の詳細や、養成講座について解説します。

総合通信

総合通信の試験に合格すると、アナログ伝送路設備やデジタル伝送路設備に、端末設備等を接続する工事の担任者になれます。受験資格はなく、誰でも受験が可能です。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回(5月、11月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

8,700円(非課税)

100点満点中60点以上

令和3年度第1回:30.9%

令和3年度第2回:28.5%

令和4年度第1回:28.6%

令和4年度第2回:30.3%

合格率はあまり高くないものの、過去問に近い問題が出題されるため、しっかりと演習を行うことで対策ができます。法規のような暗記科目もあるので、単語帳アプリなどで隙間時間を有効活用することがポイントです。デジタル通信、アナログ通信どちらに関しても問われるので出題範囲が広いことが特徴です。テキストを一通り読んでから問題を解くのではなく、問題演習をしながら傾向をつかみ、公式などをも覚えていきましょう。

第一級アナログ通信

第一級アナログ通信に合格すると、アナログ伝送路設備に端末設備などを接続する工事を担当することができます。受験資格は、特にありません。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回(5月、11月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

8,700円(非課税)

100点満点中60点以上

令和3年度第1回:38.7%

令和3年度第2回:35.5%

令和4年度第1回:34.1%

令和4年度第2回:36.0%

35%前後の合格率ですので、総合通信よりは難易度が低いです。出題範囲の中でも、トラヒック理論はデジタル・アナログどちらに関しても問われる総合通信を除くと、第一級アナログ通信でのみ出題されます。市販されているテキストと問題集、公式サイトの過去問を駆使し、問題に慣れていきましょう。繰り返し解くことで、法規などの暗記科目も頭に入ってきます。

 第一級デジタル通信

第一級デジタル通信に合格すると、デジタル伝送路設備に端末設備などを接続する工事が行えます。受験資格は、第一級アナログ通信と同様に、特にありません。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回(5月、11月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

8,700円(非課税)

100点満点中60点以上

令和3年度第1回:27.5%

令和3年度第2回:31.2%

令和4年度第1回:32.3%

令和4年度第2回:28.1%

第一級デジタル通信に合格するためには、100時間程度の勉強が必要になるでしょう。過去問を解きながら、自分の苦手科目や、強化すべき科目について把握し、そこを重点的に勉強します。計算問題も出てくるので、苦手な方は早めに練習をしておくと安心です。


AI第二種(令和5年度まで)

AI第二種は、令和5年度まで実施される試験種別で、それ以降は廃止されます。しかし、取得した資格証や、工事・監督の範囲は引き続き有効です。AI第二種に合格すると、端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下かつ、内線の数が 200 以下のものに限ってアナログ伝送路設備に、端末設備等を接続するための工事ができるようになります。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回(5月、11月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

8,700円(非課税)

100点満点中60点以上

令和3年度第1回:26.4%

令和3年度第2回:19.4%

令和4年度第1回:33.3%

令和4年度第2回:21.2%

勉強方法は、第一級アナログ通信試験と同様で、市販のテキストや公式サイトの過去問を活用すれば、独学でも十分対応できます。


DD第二種(令和5年度まで)

DD第二種も、AI第二種と同様に、令和5年度まで試験を行い、それ以降は廃止されます。DD第二種を取得すると、接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒 100 メガビット以下のものに限り、デジタル伝送路設備に端末設備などを接続する工事の担当者となれます。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回(5月、11月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

8,700円(非課税)

法規、電気通信システム:100点満点中60点以上

伝送交換設備および設備管理、線路設備および設備管理:150点満点中90点以上

令和3年度第1回:26.6%

令和3年度第2回:10.5%

令和4年度第1回:15.7%

令和4年度第2回:10.2%

DD第二種の合格率の低さは、工事可能な適用範囲も限られていることによる受験者数の少なさが起因していると考えられます。他種別の試験と同じように、市販のテキストや問題集を活用し、対策をしていきましょう。

養成課程を修了する

電気通信の工事担任者の中で、総合通信・第一級デジタル通信・第二級デジタル通信は、養成課程を修了することでも資格を取得できます。決められた学習項目をeラーニングで学び、テストに合格すれば修了可能です。eラーニングはメンテナンス時間を除き、24時間365日使用できるため、自分の好きなときに繰り返し学習できるのがポイントです。

資格

標準受講期間

受講料(税込)

総合通信

8カ月

168,300円

第一級デジタル通信

5カ月

134,200円

第二級デジタル通信

3カ月

67,100円

工事担任者を取得するメリット


工事担当者の資格を取得するメリットは、電気通信工事において安全性の確保や信頼度の高い工事を行えること、電気通信の技術や法規制に関する深い理解を得られることなどがありますが、ほかにも、下記のようなメリットが挙げられます。

  • 技術者であることを証明できる
  • 電気通信工事の仕事に就職しやすい
  • 他資格が取得しやすくなる


下記で、メリットの詳細を解説します。

技術者であることを証明できる

工事担当者が資格を所有していることで、確かな技術・知識を持った人物が工事を担当していることの証明になります。技術者であることの証明は、顧客への信頼感につながります。そのため、顧客は安心して工事を依頼できるでしょう。

電気通信工事の仕事に就職しやすい

電気通信工事業界では、工事の際に工事担当者の資格を求められるケースが多いです。そこで、資格を取得していれば工事担当者として選ばれやすくなりますし、就職・転職の際も有利に働くでしょう。デジタル通信に関しては、今後も需要拡大が予想されるため、総合通信や第一級デジタル通信の資格を持っていれば、活躍の場が広がります。技術職として、資格を保有していることで、資格手当なども期待できるでしょう。

他資格が取得につながる

工事担当者の資格を持っていることで、他の資格を受験する際に、科目免除で受けられることがあります。例えば、工事担当者のなかで、総合通信、第一級アナログ通信、第一級デジタル通信の資格を所有していると、電気通信主任技術者試験のシステム科目が免除で受験可能です。
ほかにも、情報通信エンジニアの資格試験は、工事担当者の資格を所有していなければ、受けられません。情報通信エンジニアとは、成長著しい電気通信・情報通信分野において、新たな知識や技術を得る努力をしている技術者であることを証明できる資格です。

他の資格も併せて取得がおすすめ


電気通信工事では、通信・電気に関する工事が多いことから、下記2つの資格を併せて取得するのがおすすめです。
 

  • 第2種電気工事士
  • 電気通信主任技術者

 
資格を取得することで業務の幅が広がるため、給与アップも期待できます。下記で、資格の詳細について解説します。

第2種電気工事士

第2種電気工事士では、電気に関する基礎理論から配電理論や配電設計、電気工事の施工方法などが問われます。筆記試験と技能試験のどちらにも合格する必要があり、技能試験では実際に電線の接続や、配電工事、接地工事などを行います。取得すると、住宅や事務所、店舗などの、小規模電気工事を行えるようになります。600V以下で受電する屋内の照明やコンセントの設置が可能になります。受験資格はないので、誰でも受験可能です。

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

年2回 (筆記…上期:5月下旬、下期:10月下旬 技能…上期:7月下旬、下期:12月下旬)

全国各地の大学や専門学校など

インターネット申し込み:9,300円(非課税)

郵送申し込み:9,600円(非課税)

60点以上

2020年度(令和2年度):62.1%

2021年度(令和3年度):57.5%

2022年度(令和4年度):53.3%

勉強時間の目安は、80時間程度です。工具や図記号を暗記するために、隙間時間も活用しましょう。動画やホームセンターなどで実際に使用する工具を見ると、覚えやすくなります。また、過去問を繰り返し解き、傾向を把握することが重要です。公式サイトに、10年分以上の過去問が掲載されています。合格率は50%以上ですので、難易度は低めです。しかし、油断せずにテキストや問題集を用いて勉強しておきましょう。

電気通信主任技術者

電気通信主任技術者の主な業務は、電気通信ネットワークの工事の実施、監督や通信ネットワークシステムの設計、施工、保守、品質管理、顧客対応などです。電気通信主任技術者の試験は、伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験の2種類があります。伝送交換設備の工事か、線路設備の工事かどちらに携わるかで受験する種別を決定します。受験資格は、特にありません。

種別

試験日

受験場所

受験料

合格基準

合格率

伝送交換主任技術者試験

年2回(1月、7月)

札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇

全科目受験:18,700円(非課税)

法規、電気通信システム:100点満点中60点以上

伝送交換設備および設備管理、線路設備および設備管理:150点満中90点以上

2020年度(令和2年度)

第2回:29.5%

2021年度(令和3年度)

第1回:45.6%

第2回:32.8%

2022年度(令和4年度)

第1回:23.9%

※2020年度(令和2年度)第1回は、コロナのため中止

線路主任技術者試験

2020年度(令和2年度)

第2回:27.0%

2021年度(令和3年度)

第1回:61.3%

第2回:45.1%

2022年度(令和4年度)

第1回:43.2%

※2020年度(令和2年度)第1回は、コロナのため中止

電気通信主任技術者は、ここ数年コロナの影響もあり受験者数が前後し、開催中止もあった影響で、合格率が安定していません。しかし、例年の合格率は、伝送交換主任技術者試験、線路主任技術者試験ともに25%~30%前後であり、難易度は高めです。試験科目の中でも、法規は過去問を解きながら暗記していくのがおすすめです。その他の科目は、市販のテキストと問題集で慣れてから、過去問にトライするとよいでしょう。

まとめ


電気通信の工事担任者資格は、電気通信に関する工事を担当するのに必要な国家資格です。資格にはいくつか種別があり、第一級デジタル通信、第一級アナログ通信、デジタル通信・アナログ通信ともに対応できる通信総合などがあります。これら3つの種別は、試験に合格する以外にも、定められた養成課程を修了して資格を取得することも可能です。電気通信の工事担当者の資格を取得すれば、顧客に工事に関する技術の証明ができ、信頼感を与えられます。また、就職・転職する際も有利に働くでしょう。なお、電気通信の工事担当者の資格を所有していると、電気通信主任技術者試験のシステム科目免除で受験可能などのメリットもあります。併せて、第2種電気工事士や電気通信主任技術者の資格を取得すれば、仕事の幅を広げられるでしょう。

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