溶接作業指導者(WL)とは|資格取得難易度や試験情報などを徹底解説!
溶接作業指導者とは、現場において技術者の指導・管理をするのに欠かせない資格です。溶接作業指導者の試験は特定の条件を満たせば受けることができ、3日間の講習と最終日の筆記試験が課されます。本記事では試験の詳細や、溶接作業指導者に求められる能力などを解説します。この記事を読んで、溶接作業指導者に必要なことを学びましょう。
溶接作業指導者とは
溶接作業指導者(WL)とは、溶接やそれに関わる作業の指導、監督、助言を行うための資格です。溶接作業をする人に、作業工程や溶接設計などの指導を行います。一般社団法人日本溶接協会という団体による民間資格で、下記二つの条件を満たしていることで講習の受講が可能です。
- 25歳以上である
- 特定の技術資格を保有している
技術資格については、手溶接、チタン、アルミニウムなどの技術検定に合格しているか、特定の資格保有期間が3年以上であることが条件となります。
溶接作業指導者の資格を所得するためには、全3日間の講習を受け、講習最終日の筆記試験に合格しなければなりません。講習会兼試験は、2022年は前期の5月、後期の10月と2回開催されています。合格率は約100%と非常に高いですので、基本的に落ちることはないでしょう。受講資格など溶接作業指導者の試験の詳細は、本記事の最後で解説します。
溶接管理技術者との違い
溶接作業指導者と名前が似ている資格で、溶接管理技術者(WES)があります。同じく一般社団法人日本溶接協会が実施している、民間資格です。溶接の現場には、溶接管理技術者の常駐が定められています。溶接作業指導者との違いは、下記の通りです。
溶接作業指導者 | 溶接管理技術者 | |
資格内容 | 溶接に関する作業を指導・管理する能力を有する | 溶接の技術、施工計画・管理のスキルを有していることを証明する |
級 | 級はなし | 上から順に「特別級・1級・2級」 |
溶接作業指導者の資格は、指導・管理をする者を想定とした内容であり、溶接管理技術者は、溶接の設計・品質管理の責任者を想定した資格です。
溶接作業指導者・溶接管理技術者・溶接技能者の関係性
溶接作業指導者は、現場で指導・監督をする者であり溶接現場のまとめ役です。作業者が危険なやり方で作業をしていれば指導をしますし、溶接管理技術者に作業実施記録の報告をすることもあります。つまり、溶接作業指導者は、溶接管理技術者と溶接技能者の仲介役を担っているのです。
溶接作業指導者に求められる能力と仕事内容
溶接作業指導者に求められる能力は、溶接に関する高い技術と知識を保有していることと、そして施工管理能力です。ベテランの溶接者をイメージして作られた資格のため、仕事内容は、作業順序や溶接条件などを現場で作業者に指導すること、その作業の監督などです。また、実演による技術指導をすることもあるでしょう。このように、リーダーとしての働きが求められます。実際に溶接作業指導者が活躍している現場は、橋梁(きょうりょう)やビル、工事現場、自動車工場などです。
溶接作業指導者の年収相場
溶接作業指導者の年収は、平均で300万円~400万円だといわれています。溶接班の班長として勤務している場合の年収相場です。
溶接作業指導者の試験に関する詳細
溶接作業指導者の試験に関して、下表にまとめました。詳細を項目ごとにお伝えしていきます。
【試験に関する詳細】
資格の概要 | 一般社団法人日本溶接協会よる溶接やそれに関わる作業の指導、監督、助言を行い、現場のリーダーとなるために有用な民間資格 |
受講・受験日 | 前期:5月、後期:10月(2022年度実施要項参照) |
取得条件 |
|
合格率 | 約100% |
受講・受験料(税込) | 新規受験:51,700円 WES8103資格保有者の新規受講・受験:19,800円 再試験:13,200円 |
資格の概要
溶接作業指導者は、溶接やそれに関わる作業の指導、監督、助言を行い、現場のリーダーとなるために有用な資格であり、一般社団法人日本溶接協会が講習会、試験を実施しています。現場では、作業者への実技による指導や助言、現場全体の監督が求められます。また、施工管理の責任者である溶接管理技術者に対し、作業実務を報告したり、不具合をフィードバックしたりします。
資格は3日間の講習を受け、最終日の筆記試験に合格することで取得が可能です。
難易度・合格率
合格率は約100%といわれており、難易度は低いです。講習最終日に筆記試験があるため、講習内容をしっかり復習しておくことが鍵となるでしょう。
2つの取得条件
資格取得にあたっては、下記二つの条件を満たす必要があります。
- 25歳以上である
- 技術資格を保有している
技術資格に関する詳細は、下記の通りです。
技術資格:JIS Z 3801(手溶接)、JIS Z 3805(チタン)、JIS Z 3811(アルミニウム)、JIS Z 3821(ステンレス鋼)、JIS Z 3841(半自動)を保有しているか、公的な団体が実施する技能検定において、次のいずれかに該当する資格を保有、または保有していた人
a) 管の突合せ継手で裏当て金なしの資格保有期間が3年を超えている
b) 板の突合せ継手で裏当て金なしの下向以外の異なる2溶接姿勢以上の資格保有期間が
それぞれ3年を超えている
c) 上記以外の場合で、下向以外の姿勢の資格保有期間が通算9年を超えていること(連続
しなくてもよい)。ただし、2種目以上の資格が重なった期間は重複して加算しないこと。
受講内容
3日間にわたる受講では、下記のことを学びます。
日程 | 内容 |
1日目 |
|
2日目 |
|
3日目 |
|
溶接指導における一般知識から始まり、各種溶接について学び、3日目には管理についても習得します。最終日に筆記試験があり、ここで合格すると資格が取得できます。
受講日・受講場所・受講料
下記に2022年の受講日、受講場所、受講料をまとめました。今後各項目については変更の可能性もあるので、来年以降の詳細は一般社団法人日本溶接協会のサイトでご確認ください。
前期 | 後期 | |
受講(受験日) | 大阪:5月10日(火)~12日(木) 東京:5月17日(火)~19日(木) 名古屋:5月24日(火)~26日(木) | 北九州:10月11日(火)~13日(木) 東京:10月18日(火)~20日(木) 大阪:10月25日(火)~27日(木) |
受講(受験場所) | 大阪、東京、名古屋 | 北九州、東京、大阪 |
受講料 | 新規受験:51,700円 WES8103資格保有者の新規受講・受験:19,800円 再試験:13,200円 |
まとめ
溶接作業指導者とは、溶接班のリーダーとなる人が、現場の作業者を指導・監督するために有用な資格です。取得することで溶接作業指導者として活躍でき、技能者に作業工程や溶接設計などの指導、実演による実技指導などを行います。また、溶接管理技術者へ作業内容を報告したり、施工計画などの不具合をフィードバックしたりする役割を担っているため、溶接者と溶接管理技術者の橋渡しのような役割を果たします。試験は条件を満たせば受けることが可能で、3日間の講習を受け、講習最終日の筆記試験に合格することで取得が可能です。合格率は約100%と非常に高いので、現場における仕事の幅を広げるためにも、チャレンジしてみましょう。